4話 初仕事
僕達はギルドを出て、ドワーフのねぐらへと向かった。
ドワーフは通常、鉱山に住んでいる。この街にも、一応鉱山がある。そんな大したものは取れないと聞いたけど。
しかし彼の洞窟内に入ると、その認識を改めざるを得なかった。
そこにはミスリル鉱石の山。キラキラと青く輝いている。そんなの見た事無い。
「こ、これは!? どうしたんですかこの鉱石!」
叫ぶ僕。
「あん? 掘ったに決まってるだろ。この辺は意外と穴場だったな」
そう言うドワーフ。
「そ、そうなんですか。しかし凄いですね。これだけあれば、家だって買えるんじゃ?」
そう言う僕。
「家なんぞ要らねえよ。それで? 斧はちゃんと直してくれるんだろうな」
そう言うドワーフ。
「もちろんです。鍛冶場をお借りしても良いですよね?」
僕は言った。
「鍛冶場でやるのか? まあ良いけどよ」
そういうドワーフ。
ドワーフはかならず鍛冶場を持っている。それを使い、地道に直すのだ。錬金術というのは、あんまり便利ではない。根性と気合が必要なのだ。
「さてと……。ではまずは、ミスリルの純度を高めますね」
僕は言った。
「ああ。……しかしそう聞くと地味だな。俺らの仕事と変わらねえじゃねえか」
ドワーフは言った。
「ですよね……」
同意する僕。
鉱石を炉に叩き込み、熱を与える。ミスリルを溶かし、集めるのだ。僕はしっかり装備を固め、ミスリルを集めていった。
出来上がったのは、青い塊。
「青いですね。これただのミスリルじゃないですよね」
僕は言った。
「ブルーミスリルだ。最高級品だぜ」
そういうドワーフ。
僕はイメージを膨らませる。出来上がりの姿をイメージするのだ。しかし……、これは斧にするのは少々もったいないかもしれない。
「いかがでしょう? この際、大剣にされては」
僕は言ってみた。
「大剣だと? 依頼は斧の修復だぞ」
文句を言うドワーフ。
「確かにそうですが、これだけ質のいい素材ですから。完全な100%のブルーミスリルソードを作れば、あらゆる戦況に対応できるかと」
僕はそう言った。
「ふむ……。まあいいぜ。大剣持ちのドワーフもそんなに珍しくはねえしな。ただ、ロクでもないものを作るんじゃねえぞ。もったいねえしな」
そう言うドワーフ。
「わかってます」
僕は答えた。
僕は青ミスリルの塊を熱し、ハンマーで叩きのめす。だが塊が硬く、上手く行かない。
「ほらよ」
ドワーフがハンマーを貸してくれた。青ミスリルのハンマーのようだ。
「ありがとうございます!」
僕はそのハンマーでひたすら叩く。
徐々に形ができてきた。刃を付けていく。別の塊で柄をつけ、完成だ。
「できました」
僕は剣を差し出した。美しい青い大剣だ。
「ほほう。ドワーフが持つにはちょっとお洒落すぎだな」
そうは言いつつも上機嫌のようだ。剣を振り回す。
「気に入っていただけると幸いですが。あ、料金は頂けますよね?」
僕は聞いた。
「もちろんだ。あいよ」
そう言って銀貨一枚を投げて渡したドワーフ。僕の最初の収入だ。
「ありがとうございます!」
僕は感謝し、お辞儀した。