32話 復旧
コーネリア兵は、基本的に剣を使う。
とは言え、他の武器が使えないというわけではない。しかし剣を使う人が多いため、他の武器を使う人は少ない。
しかし例外はある。騎兵隊だ。
この騎兵隊は、遊牧民を集めて作られた、新しい部隊だ。コーネリアにも数は少ないが遊牧民が居るのだ。そして彼らは弓の扱いに長ける。狩りをするからだ。
つまりこの騎馬隊は、弓矢を扱うことのできるものが多い。それがこの部隊の特徴と言える。多くの兵士は、馬上から弓矢を放つ事も可能だ。
さて僕達は、船に馬を乗せ、南方に渡った。敵は西方に陣を張っている。それらを避け、敵の後背へと入りこむ。
ドラコニアからコーネリアに入るルートは限られている。しかもそのほとんどはコーネリアの城塞に塞がれ、未だ開かれては居ない。つまり、敵が補給できるルートは一つしかない。
僕達はそのルートに入った。かつてコーネリアが築いた城塞は破壊されていたが、石垣や堀は残っており、復旧できそうだ。敵の姿は見えない。
「こりゃ良いな。このまま城塞を回復してしまおう」
僕は言った。
「……何故敵はここを見張ってないんでしょう? 不用心ですな」
そういうシギス。
「まあそうだよね。あいつら、長期戦を考えてなかったのかな」
僕は何となくそう言った。
僕達は城塞に入り、直しはじめた。死体を埋葬し、城壁を補修する。堀を掘り、門を直す。
「おい! 貴様ら何をしている!」
敵の警備隊に見つかったようだ。5、6人ぐらいか。
「敵だ! 戦闘を!」
僕達は弓矢を放った。敵に次々と突き刺さる。
「ぐわああああ!」「ぎゃあああああ!」
混乱する敵。すぐさま騎兵部隊が襲い掛かり、仕留めて行く。
「お、おのれ…… 覚えていろ!」
撤退していく敵。
「追いますか?」
そう聞くシギス。
「必要無いよ。それよりこの城塞の守備を固めよう」
僕はそう言った。