3話 ドワーフ
僕達は魔法学園を卒業した。
成績優秀な人は王国の騎士団とか、宮廷魔術師とかになれるんだろうけど、僕がそんなものになれるはずもなく。
僕はその日のうちに、冒険者ギルドに登録した。
そうして錬金術師として、パーティーに入れてくれる人がいないかと待ってたんだけど、待てども暮らせども誰も構ってはくれなかった。
「錬金術師はちょっと……」
「ぶっちゃけ要らない子だね」
と言う感じで。
やはり錬金術師は要らない子なんだろうか。
そんな感じで一カ月が過ぎた。さすがに僕も諦めたほうが良いかと思い始めていた。
そんな折、一人のドワーフがやってきた。
髭もじゃのおっさん。傷が各所についた鎧を着て、いかにも熟練の冒険者と言った感じだ。ちなみにドワーフは背はちっちゃいけど、その力は折り紙付きで、パワーなら人間をはるかに上回る事が多い。
「おい小僧。来る日も来る日も何してやがる」
そう言うドワーフ。
「こんにちは。僕は錬金術師で、どなたかパーティーに入れていただけないかと……」
そう言う僕。
「馬鹿かテメエは。錬金術師なんぞパーティーに入れてもすぐ死ぬだろうが。第一迷惑だろ。邪魔じゃねえか」
はっきり言うドワーフ。まあそうですよね。
「すいません。でも僕もその、お金欲しいし、生きていかないといけないので……」
悲しそうに言う僕。
「まあいいわ。実は俺の斧がボロボロになっちまってな。直せるか?」
そう言うドワーフ。斧を見せた。
それは何とも立派な斧だった。柄は木製だが硬い。刃はミスリル。最高級品だ。だが、確かに相当傷んでいた。
「素晴らしい斧ですね。どなたが作られたので?」
僕は聞いた。
「里のドワーフさ。ただあいつは出払っててな。それで? 直せるのか直せないのか、答えを聞こうか」
そう言うドワーフ。ごまかしは駄目だろう。
「もちろん直せますよ。ただ、素材が無いと無理ですけど。この刃はミスリルですよね?」
そう聞く僕。
「そうだな。まあ、ミスリルなら俺のねぐらにはいくらでもあるから、できるんなら使っていいぞ。料金は?」
そう聞くドワーフ。
「……とりあえず、銀貨1枚頂けるなら……」
僕は言った。
「安いな。んじゃ頼むわ」
そう言ってドワーフは歩き始めた。