表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不遇の錬金術師  作者: 秀一
第二章 湖の国 コーネリア王国編
29/146

29話 ダークエルフの少女


「勝鬨を上げろ!」

 シギスが命じた。騎兵たちは勝鬨を上げた。

「うおおおおおおおおおおおお!」

「勝ったぞおおおおおおおおおお!」

 そんなわけで盛り上がるコーネリア兵。少女はただ怯えている。

 

「おいお嬢ちゃん、何でこんな所に来たんだ?」

 兵士の一人が聞いた。

「……」

 黙り込む少女。

「黙ってちゃわからんだろうが!」

 叫び、脅す兵士。

「ひっ」

 怯えながらも、何かを話す気は無いようだ。

 

「やめろみんな。怯えさせても仕方ない」

 僕は言った。

「そうは言いますがね。こいつも敵兵なんだし、ここは拷問でもして情報を聞き出すべきでは」

 そういうシギス。少女はさらに怯える。

 

「そんなことをするべきじゃない。お嬢ちゃん、どうせ何故攻撃してきたか、話してはくれないんでしょ?」

 僕は聞いた。

 

「……お前たちのせいだ!」

 そういう少女。

「?」

 疑問に思う兵士たち。

 

「お前たちは私達の森を燃やし、多くの仲間を殺した! だから復讐に来たんだ!」

 そう言う少女。

「……」

 黙る兵士たち。

 

「そうか……、そりゃ、すまない」

 僕は謝った。

「謝って済む問題じゃない!」

 そう言う少女。まあそうだよね。

 

「勇敢な奴だな……。隊長、こいつどうするんです?」

 そう聞くシギス。

「とりあえず、城に連れて帰ろう。処遇は姫様に聞く」

 僕は言った。

「ま、そうですな。それが良い」

 シギスも同意した。

 

 僕達は彼女をダークエルフの連れていた馬に乗せ、連行する。逃げるのは不可能だろう。

 

「お嬢さん、僕はフェイ。名前を教えてくれないか?」

 僕は聞いてみた。

「……何故?」

 そう聞く少女。

 

「別に良いじゃないか。名前も知らないんじゃあ、不便でしょ」

 僕はそう言った。

「私はドロテア。あなたは変わった人ね」

 そう言うドロテアちゃん。

 

「そもそも僕はこの国の人間でさえないしね」

 僕はそう言った。

「……? そうなんだ。何故こんな国に仕えているの?」

 そう聞くドロテア。

「今の姫様は良い人だよ。前の王様と違ってね」

 僕はそう言った。

「……そっか。でもどちらにせよ、もう手遅れだ」

 ドロテアはそう言った。

 

 僕達は城下町から城に帰還した。しかし城の中の人数が少ない。

 しかも玉座の間は封鎖されていた。

 

「どうした?」

 僕は封鎖している兵士に聞いた。

「姫様は出陣されました」

 そう言う兵士。

「出陣? どこに?」

 僕は聞いた。

「西部のドラコニアから、龍人族が大挙押し寄せてきたのです。姫様は今、戦っておられます」

 兵士はそう言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ