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不遇の錬金術師  作者: 秀一
第二章 湖の国 コーネリア王国編
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18話 氷柱鉱山


 そんなこんなで、僕達は馬に乗り、鉱山へ向かう。

 

 姫様は白馬だ。白馬に乗ったお姫様だ。……やっぱり、何かを間違えているような気がする。ミカエルさん、ドミニク、僕が続く。3人の馬は普通の栗毛だ。

 

 鉱山はすぐ近くだった。ドワーフが一人居た。

 

「ここは閉鎖ですよ」

 そう言うドワーフ。

「構いません。このフェイ様が鉱山を再開してくださいます」

 やっぱり無茶を言う姫様。

 

「そうはおっしゃいますが、姫様。あの猪は相当に危険な相手ですぞ」

 そういうドワーフ。敵は猪なのか。

 

「ふむ、そうですか。フェイ様、どうするのが良いと思います?」

 そう聞く姫様。

「そうですね。罠を仕掛けるとか……」

 僕はそう言った。

 

「時間がかかり過ぎますな」

 ミカエルは言った。

「もうええやん。適当に倒して帰ろうや」

 投げやりなドミニク。

 

 その時猪が一頭、鉱山から飛び出してきた。中には一杯いるのだろうか?

 

「フェイ様、今こそあなたの力を見せる時です!」

 やっぱり無茶を言う姫様。

「まったく……」

 悪態をつきながらも、僕は弓矢を構えた。射撃するが、惜しくも外れた。

 

 イノシシは激怒し、こちらに突進してくる。僕は再度矢を放つが、上手く当たらなかった。

「つぇい!」

 ミカエルさんが剣を構え、イノシシをぶった切る。真っ二つに斬られ、吹っ飛ぶイノシシの肉片。

 

「さすがやな」

 そういうドミニク。

「弓矢に頼るなど、男らしくないですぞ」

 そう言うミカエルさん。もうこの人だけでいいんじゃないかな。

 

 僕達は鉱山へと侵入する。青く光る壁。まさに氷柱石の鉱山だ。

 

「フェイ様、ここは何か役に立つアイテムとかありませんか」

 そういう姫様。

「ポーションならたくさんありますが。使われます?」

 僕は聞いた。

「ありがたいですね。じゃあ一つ」

 姫様はポーションを受け取った。

「それがしも一つ」「ワイも」

 そう言うミカエルさんとドミニク。

 

 中には猪がたくさん居た。僕は弓矢を放ち、一体を仕留めた。

 

「お、大したものですね。ていうか、弓矢って我が国ではあんまり使う人いないんですよね」

 そう言う姫様。

「そうなんですか? 意外ですね」

 僕は言った。

「我が国の民は幼少より剣術を鍛えておりますからな。弓矢など卑怯と言われます」

 そういうミカエルさん。その騎士道精神は賞賛すべきなんだろうか?

 

「まあ、ワイが剣を使うのは趣味やけどな。この国の連中は基本剣しか使わんな」

 そういうドミニク。

「剣こそ熟練が必要な武器かと思いますがね。アルパでは槍を使いますし」

 僕は言った。

「まあ、そうなのですか。槍なんて、接近されたら使えないと思いますが」

 そう言う姫様。

「たくさん並べて敵を滅多刺しにするんですよ。集団戦だと強い武器ですね」

 僕は言った。

 

 そうこうしてるうちにもイノシシはやってくる。僕は射撃したが外れた。ドミニクが襲い掛かり、敵を刺し殺した。

 

「数は多いみたいやけど、どうってことはないな」

 そういうドミニク。

「油断はなさらず。猪は危険な相手ですよ」

 一応忠告する僕。

 

 その後も猪が襲ってくる。射撃するが、また外れた。僕はヘタクソだ……。

「たあ!」

 姫様が剣を抜いた。青く輝く氷柱石の剣だ。敵を切り裂くと、まるでチーズのように敵は切り裂かれ、血を噴き出して死んだ。

 

「ふう。血で汚れてしまいますわね」

 そんなことを言う姫様。実際ちょっと汚れている。

 

「こんなこと言うのも何ですが、僕が来る必要無かったんじゃ」

 僕はそう言った。

「まあそういうなや。旅は道連れ世は情けってね」

 そういうドミニク。

 

 更に奥地へと進む。今度は二体同時に襲い掛かってきた。一体を射撃して倒した。もう一体が、姫様に襲い掛かる。

 だがその突進を華麗にかわす姫様。ミカエルが剣を横なぎに動かし、敵を切り裂いた。猪は倒れた。

 

「それにしても、見事な剣技ですね。三人共」

 僕は言った。

「まあそらせやろ。この国でも最強に近い三人やろうしな」

 そう言うドミニク。

「ミカエルが一番上手いですけどね。年の功ってやつ」

 そういう姫様。

「別に姫様が剣術を極める必要は無いのですが……」

 そう言うミカエルさん。

 

 僕達は最深部へと辿り着いた。そこには巨大な猪が居た。

 

「女王というわけですね」

 そう言う姫様。

「どういう生態なんでしょうか……」

 僕はそこが気になった。

 

 巨大な猪が襲い掛かる。だが、僕達4人は余裕でかわす。

「はあ!」「てい!」「ふん!」

 連続攻撃をかける三人。しかし敵の皮膚が硬すぎ、有効にダメージが入らない。

 ドドド、とミカエルさんに突撃する。ミカエルさんは激突され、吹っ飛ばされた。

「ぐああ!」

 どしゃあ、と倒れるミカエルさん。あの衝撃はまずい。

「くう……」

 悩む姫様。どうすべきか。

「ちい……」

 ドミニクも混乱する。勝ち誇る猪。

 

「もったいないけど、やるしかないか……!」

 僕は赤く輝く魔力のポーションを取り出した。本来は魔力を回復するためのものだが、別の使い方もある。

「はあ!」

 僕は敵にぶん投げた。イノシシの顔面に命中し、大爆発が起こる。

「GAAAAAAAAAAAAA!」

 叫ぶイノシシ。苦しんでいる。

「チャンス!」

 ドミニクが前進し、敵を刺しまくる。刺突が皮膚をえぐり、深い傷を与えた。

「もらった! つああ!」

 姫様も剣をぶっ刺す。

「くらいなさい! 《魔力爆発》!」

 そして剣の先から凄まじい魔力を放ち、爆発させ、敵の体内を破壊した。

「GAAAAAAAAAAAAAAAA……」

 イノシシは倒れ、動かなくなった。

 

 

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