146話(最終話) 大切な事
アルパやベルクランドとの戦いが終わり、ファーランド共和国に平和が訪れた。
兵士たちは凱旋し、人々は喜んだ。お祭りが開かれ、各地で祝宴が開かれた。
みんなもちろん喜んでいた。カランの学生も、ファーランドの人たちも、イリスの人たちもみんな喜びを分かち合った。
戦後、僕は総司令官を辞した。
レフさんからは引き留められたが、僕は別に総司令官をやりたいわけでは無かったし、色々と問題だろう。
議員としての期間も終了した。と言うか、コーネリアの派遣議員だったんだけど。カランの代表に出馬しても良かったが、まあそんな必要もないと思い、そのままにしておいた。
軍事学校の生徒たちは卒業すると、国の軍隊を組織し、育てていった。
僕は学校の経営とかも人に任せて、シギスと農業とか牧畜をやって暮らしていた。
でも僕は、もう少しやりたい事があった。
船に乗り、海外を探索することだ。グランテイルの先にはまだ見ぬ国や島がたくさんあるらしい。七つ島というリザードマン商人の聖地もある。
「やっほー! フェイ!」
久しぶりに会った姫様はとても綺麗になっていた。もう僕も姫様も大人だ。
「いよいよ七つ島デビューやな、フェイ」
そう言ったのはドミニクさんだ。
「この蒸気船ならきっと嵐もへっちゃらです!」
アーダちゃんはそう言っていた。
「あー、でも燃料が切れたら帆を張るとかしないといかんがな」
シルヴィアさんはそう言った。
「行ってこい、フェイ」
ブランカ師匠はそう言った。
「ええ、行ってきます!」
僕はそう言った。
きっとこれからも色んなことがあるだろうけど、僕は忘れない――。
大切な人たちとの出会いを。その大切さを。
だから僕は行く。世界の果てまで――。