144話 王の死
オステアに入って以来、アルパ王は身動きが取れなくった。
集めた兵士は役立たず。いつ反乱が起こるかさえ不安だ。
しかも兵士たちは、過剰なまでに食べたり飲んだりして騒いでいた。そのうち、物資が不足し始めた。
王は仕方なく臨時の徴収を行ったが、それにより更に市民の不満は高まった。
そんな折、アルパ王都を焼け出された人々が街に入ってきた。王は彼らを迎えることにした。
「ありがとうございます、陛下」
リーダーの女性が感謝した。
「何、どうということはない。お前たちも、我が民なのだから」
王は言った。
「陛下、僭越ながら、お願いがございます」
横に居た茶色のフードの少女が言った。
「何だ? 申してみよ」
王は言った。
少女は王に近づき、ナイフを取り出し、王の首元に振り下ろした。
「!」
ズシャア! 王は咄嗟にかわしたが、切り傷を受けた。
「何をするかあ!」
親衛隊の兵士が割って入る。だが次々と少年少女達が王に襲い掛かった。一人の剣が王の胸を刺した。
「ぐああああああ!」
叫ぶ王。その後も次々と剣で刺しまくる子供たち。
「死ね!」「死ね!」「父さんと母さんの仇だ!」「死ねえ!」
凄まじい殺意を持って王を刺しまくる子供たち。この子供たちは、異種族の子供たちだった。
「う……。馬鹿な……」
王は意識を失い、血を流し、死んでいった。