14話 宴
宴もたけなわと言う感じになった。
「それでフェイ様、これからどうなさるのですか?」
姫様はそう聞いてきた。
「本来ならベルクランド王国に行くつもりでしたが、まずはこの国の素材を手に入れたいですね」
僕は言った。
「素材、と申しますと?」
姫様は聞く。
「確か、『湖の宝珠』だったかと」
僕は言った。
「それなら私が持っていますわ」
そう言う姫様。
「そうなのですか。渡してもらうというわけにはいかないですかね」
僕は聞いた。
「さすがにタダでとはいきませんわ。いかがでしょう? 私のお願いを聞いていただきたいのですが」
そう言う姫様。
「何でしょうか?」
僕は聞いた。
「この国は兵は強いのですが、閉鎖的で技術力に欠けるのですわ。あなたのような方に我が国を支えてくだされば嬉しいのですが」
姫様はにこやかに言った。
つまりは王宮お抱えになるということか。嬉しいけど……。
「それは光栄ですが、私は世界を旅しなければならない身。王宮お抱えというわけには……」
僕は言った。
「それは理解しておりますわ。城下町の一等地をお渡しいたしますから、店を建てられてはいかがでしょう?」
そう言う姫様。押してくるなあ……。
「そういうことなら、ありがたいですが……。本当によろしいので?」
僕は聞いた。
「ええ。私もあなたの錬金術には興味がありますし、この国の人々のためにも頑張っていただきたいですわ」
そう言う姫様。
姫様は手を叩いた。一人のスーツを着た壮年の男がやってきた。
「ミカエル、話は聞いていたわね? この者に城下町の一等地を用意しなさい」
そういう姫様。
「いや、しかし姫様……、正気なのですか?」
文句を言うミカエルさん。
「私は正気よ。何? 私に逆らうわけ?」
念を押す姫様。
「……滅相もありません。では、迅速に」
そう言ってミカエルさんは出て行った。
「僕が言うのも何ですが、本当に大丈夫なんですか?」
不安な僕。
「良いのですよ。フェイ様はその実力をお見せくださいな」
そう言う姫様。何か僕の評価が高いみたいだけど、僕は大丈夫なのかな……。