134話 決戦
ミカはトントン、と手を指で叩き、苛立っていた。
「偵察はまだ帰ってこないの!?」
ミカはそう叫んだ。
「これだけ待っても帰ってこないということは、全員やられたのでしょう」
ウルはそう言った。
「逆に言えば、あそこに敵が居るのは間違いありませんな」
コンラートはそう言った。
「……このままファーランドに向かうのは流石に危険すぎるわね。高台を攻撃しましょうか」
ミカは言った。
「当然ですな」
コンラートは言った。
「敵も想定しているとは思いますが……」
ウルは心配して言った。
「構わないわ。砲撃の準備を!」
ミカは言った。
ベルクランド軍は、高台に向かって前進した。
と同時に、砲撃の準備を行った。爆石砲による射撃の破壊力は絶大。それによる敵の撃破。単純だが強力な戦法だ。
……そして。
「敵は見える?」
そう聞くミカ。
「いえ、まだ……」
端的に言えば、高さは重要だった。この時フェイたちは、既にベルクランド軍を捉えていた。
ドーン! と爆発が起きる。
「何!?」
叫ぶミカたち。ドワーフたちの大砲やゴーレムが、次々と破壊されていった。
「何事だ!?」
大混乱に陥るドワーフたち。そこでドーン! ドーン! と更に爆発音が起こる。と同時に、ドワーフたちが次々と倒れた。
「な、何じゃ!? 何が起きている!?」
「敵の攻撃です! 警戒を!」
ウルが何とか部隊を立て直そうとするが……。
「突撃! 突っ込めー!」
「「「ワアアアアアアアアアアア!」」」
突如、武装したファーランド軍が槍を構え、大挙突撃してきた。
「くう!? お、応戦を!」
ミカは命じた。
ドワーフたちは接近戦に優れている。が、この時ばかりは有効に戦える状況では無かった。
フェイの作戦は3つ。まず砲撃を加え、銃撃を加え、突撃を加えるというものだ。
単純ではあるが、極めて有効な作戦だった。何しろドワーフたちはまさか敵に大砲や銃があるとは思っていない。完全な奇襲だった。
しかもファーランド軍は多かった。ベルクランド軍も3000程は居たが、ファーランド軍は5000。武装も優れている。大混乱に陥っていたベルクランド軍は次々と討たれ、その数を減らしていった。
「こ、これは駄目だ! 撤退! 撤退!」
ウルが何とか部隊をまとめ、退却する。
「く、待て! 逃げるな!」
驚くミカだが、部隊の混乱を押しとどめることはできなかった。