132話 全軍出撃
僕達はファーランドめがけて道を急いだ。
しかしそう簡単にはファーランドに辿り着けなかった。重い大砲を引きずっているし、兵士たちも消耗している。
ファーランドに辿り着いた頃には、すっかり夜が明け、朝になっていた。
「ふわあ……。ねむ……」
そう言うドロテア。いずれにせよ眠い。兵士たちもみんなとてつもなく眠そうだ。
「総員城内へ……。眠らせてもらおう」
僕は言った。
別にいう必要もなく、兵士たちは城内に入るとすぐに部屋に入り、眠ったようだ。僕も眠らせてもらうしかない。僕たちはそれぞれの部屋に分けられ、眠った。
そして起きた頃には、もう昼間になっていた。太陽が傾き始めている。
「お目覚めですかな、フェイ殿」
そういうのは青いトカゲ、レフさんだ。
「レフさん、すいません。まだ少し眠いですが……」
僕は言った。
「眠いのは重々承知。ただ、今は火急故、来てくだされ」
レフさんはそう言った。
僕は会議室へと向かった。そこは騒ぎになっていて、伝令たちが慌ただしくしている。
「敵は街道を前進しています!」
「高台の防衛を完了しました」
「森林地帯に伏兵を置きますか?」
そんな事を言う兵士と司令官たち。
「既に決戦は近くなりつつありますぞ。フェイ殿」
アドリアンさんがそう言った。
「ここの防衛をしとけば良いんじゃないの?」
そういうドロテア。
「いや、それは論外です。敵は強力な大砲を持つ部隊。城壁はすぐに破壊され、敗北は必至でしょう」
ユリアナはそう言った。
「もし高台を取られてしまえば、ファーランドは全域撃ち放題です。そうなれば、この国も終わりでしょうな……」
レフさんは言った。
その時、伝令が一人入ってきた。
「申し上げます! 敵がファーランド中央交差点に到達しました!」
叫ぶ伝令。それを聞いて、僕も皆も驚いた。
速い。文句なしに。
ファーランド中央交差点は、ファーランドの西、南のカランから北のイリスへと続く道路の真ん中にある。もはやファーランドまではわずかしかない。
「全軍に出撃命令を!」
僕は叫んだ。
「ぜ、全軍ですか?」
驚くレフさん。
「全軍です!」
僕はそう言った。