表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不遇の錬金術師  作者: 秀一
最終章 大戦編
128/146

128話 イリスの救援


「フェイ司令、ここにおられましたか」

 その時ファーランド兵の伝令がやってきた。

 

「どうかしたか?」

 僕は聞いた。

「イリスの状況は、刻一刻と悪化していると」

 伝令は言った。

 

 イリスは敵の攻撃を耐え続けている。しかしこのままではまずいだろう。

 

「わかった。救援に行くと伝えてくれ」

 僕は言った。

「わかりました」

 そう言って伝令は港へと向かった。船で伝えるのだろう。

 

「もう一刻の猶予もありませんね」

 ユリアナは言った。

「やるしかないか……」

 僕はそう言った。

 

 僕は全部隊を集結させた。しかし兵士は500人程しかいないようだ。半数が離脱してしまったことになる。とはいえ、この戦況では仕方ないのかもしれない。

 

「先生、体は大丈夫なのですか?」

 そう聞くエドウィン。

「ああ、たっぷり休んだからね」

 僕は言った。

「無理はしてほしくないが、あまりだらけてもな」

 ブランカ師匠はそう言った。

 

 僕は舞台の上に立ち、演説をした。

 

「諸君! 反撃の時は来た! 今こそイリスを救おう!」

 僕は叫んだ。おー! と声をあげてくれる兵士も居るが、反応は薄い。やはり自信を無くしているのだ……。

 

 僕達はいよいよカランから出撃した。カランからイリスまでは街道を通れば大した距離は無い。

 

 イリスの南側に到達した。ここに敵は居ないようだ。僕は門に近づいた。

 

「カランより救援に来た! 門を開けてくれ!」

 僕は叫んだ。

 

 しばらくして、門は開かれた。

 

「お疲れ様です! すぐさま北門に救援を!」

 門番は言った。

 

 僕達が北門まで進むと、そこは大変なことになっていた。敵の攻城兵器の塔の群れが見え、門をたたくハンマーの音がひっきりなしに響いている。

 

「怯むな! 東部の守備を固めろ!」

 叫ぶドワーフのルシールさん。

 

「ルシールさん、救援に来ました」

 僕は言った。

「おお、フェイ君。しかし今は忙しい! 北門から迫る敵を何とかしてくれ!」

 そういうルシールさん。

 

 僕達は力を合わせ、城壁の上に大砲を上げた。狙いを定める。

 

「大砲による斉射をかけよう。撃てるな?」

 僕は聞いた。

「もちろん!」

 アーダちゃんがそう言った。

 

 大砲を準備する。皆慣れては居ない。初めての実戦投入だ。遅れる大砲がある。しかしもう待っている暇はない!

 

「火をつけろ! 射撃準備!」

 僕は叫んだ。

 火縄に火がつけられ、ジジジ……と進んでいく。そして……。

 

 ドーン! と大砲が放たれた。

 

 ヒュルルルル……。ドカーン!

 

「な、なんだ!?」「うわああああ!」

 敵が混乱する。攻城塔の一つが損傷し、崩れた。

 

 おおお、とイリス軍からも歓声があがる。

 

「す、すげえな。大砲か!」

 叫ぶルシールさん。

 

「ひるむな! 進撃だ!」

 敵は態勢を立て直し、城壁に殺到してくる。矢を放ち、跳ね返そうとするイリス兵。

 

「榴弾用意!」

 僕は命令を下した。今回の切り札だ。

 榴弾が搭載され、再度射撃準備が行われる。

 

「放て!」

 僕は命じた。

 ドーン! と弾が放たれ、敵に命中。そして爆発し、燃え上がった。

 

「うわあああああ!」「ひいいいいいい!」

 

 今度こそ大混乱に陥る敵の群れ。攻城塔は燃え、崩れ落ちる。敵の部隊も燃え上がる。

 

「良しいいぞ! 敵に態勢を立て直させるな! 次弾装填!」

 僕は叫んだ。

 

「こ、これは駄目だ! 退却! 退却!」

 叫ぶ敵の部隊長。

「こ、こら! 逃げるな! 逃げると死刑だぞ!」

 叫ぶ敵の司令官。

 

 次々と放たれる砲撃を受け、敵は壊乱。生き残りは逃げて行った。

 


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ