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不遇の錬金術師  作者: 秀一
最終章 大戦編
123/146

123話 榴弾砲


 学園奥の研究広場。

 ユリアナがそこに入ると、硝煙の匂いがした。

 

「う、これは……」「何?」

 顔をしかめるユリアナとエルメ。

 

「おや? お二人さん、どうされましたか?」

 そう聞くのはダークドワーフの少女、アーダだ。

 

「いや、錬金術師がどんなことやってるか、気になってさ」

 ユリアナはそう言った。

 

「そうでしたか。丁度いいですね。ちょっと見ててください」

 アーダはそう言って、火縄に松明で火をつけた。

 

 ジジジ……と火が進んでいき、巨大な鉄の筒へと進んでいく。


「あれは……?」

 ユリアナがそう言った次の瞬間!

 

 ドーン! と凄い音がして、弾が飛び出し、木の塊に命中。すると、凄い勢いで燃え上がった。

 

「よし! 成功ですね!」

 喜ぶアーダ。

「うむ……。長かったな……」

 感慨深そうなシルヴィア。

「苦労したな……」

 やり遂げた感のあるブランカ。

 

「な、何なんですか? 何をやってるんですか?」

 怯えるエルメ。もはや意味不明だ。

 

「見ての通り、大砲で『榴弾』の射撃を試していたんですよ。いわば、『榴弾砲』ですかね」

 そういうアーダ。

「りゅ、榴弾砲? ていうか、大砲なんてあったんですか?」

 驚くユリアナ。

「なんじゃ、話しとらんかったのか、アーダ」

 シルヴィアは言った。

「そういやそうでしたね。フェイさんには一応話したんですけど」

 そう言うアーダ。

 

「以前から、私達は大砲の研究をしていたんだ。ただ、『燃える弾』を撃つのが意外と難しくてな。爆発して大砲を駄目にしてしまったりしたから……」

 そういうブランカ。

「えええ!? 大砲って凄い物なんでしょ!? それをダメにするなんて……」

 叫ぶエルメ。

「まあまあ。錬金術には失敗がつきものですから」

 そういうアーダ。

 

「もはや錬金術かどうかも意味不明なんですが……。それにしても、こんなものがあるならぜひとも実戦投入したいんですが」

 ユリアナは言った。

 

「うーん、それはちょっと難しいですね……」

 そういうアーダ。

「え? そうなの?」

 そう聞くエルメ。

 

「いや、せっかくここまでできたんですから、牽引するための自動車を作ろうと思ってるんですよ。それで引いたら楽じゃないですか」

 そんな事を言うアーダ。

「要らない! 要らないから! 馬で引けばいいから!」

 叫ぶユリアナ。

「えー、重いですよ? これ」

 不満そうなアーダ。

 

「今は緊急事態なんですよ! フェイ先生だって倒れちゃったし、イリスも危ないしベルクランドだって襲ってくるかもしれないんです! せめて訓練しないと!」

 訴えるユリアナ。

「まあ確かに、訓練は必要じゃな。大砲だってそう簡単には当たらんしな」

 そう言うシルヴィア。

 

「そういやそうだよね。大砲ってどうやって当てるの?」

 そう聞くエルメ。

「色々計算して当てるという方法もありますが、適当に撃って修正するのが手っ取り早いですね」

 そういうアーダ。

「意外と適当な方法ですね……」

 ユリアナは言った。

 

「榴弾は強力だが危ないし、まずは普通の弾を撃って調整するのがいいだろうな。ここぞという時に使ってくれ」

 ブランカは言った。

「わかりました。とにかく、何台か持っていきますよ。いくつあります?」

 そう聞くユリアナ。

「今の所は10門ですね。まあ要領は掴めたので、時間さえあればもう少し作れますけど」

 そういうアーダ。

「作れるんだ……」

 驚くエルメだった。

 


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