12話 関門
しばらくすると、谷の中に場違いな建造物が現れた。
石で固められた堅牢な城塞群。湖の国を守る関門だ。
「止まれ!」
叫ぶ重武装の兵士。湖の国自慢の最強傭兵団だ。
僕達はもちろん停止した。
「何者だ! 名を名乗れ!」
叫ぶ兵士。
「アルパから来たフェイと言います」
僕は言った。
「旅のエルフだ。クリフと言う」「イルヴァよ」
そう言うエルフたち。
「怪しい奴め。手形はあるのか?」
そう聞く兵士。
「はい」
僕は手形を差し出した。
「……ふむ。良かろう。通れ」
手形を見て、そう言う兵士。
「ありがとうございます」
僕は感謝した。エルフ二人もOKのようだ。
関門の中は、石壁の横に無骨な兵士たちが並ぶ。じろじろと見られているが、睨まれても仕方ないので、そのまま歩いていく。
関門を突破し、湖の国に入った。巨大な湖が眼下に広がっている。
「ふう。無事に突破できたな。それにしても大したものだな、その手形は」
そういうクリフさん。
「ええ。でも、エルフのお二人ならこの国に来たこともあるのでは?」
僕は聞いた。
「とんでもありませんわ。この国はとても閉鎖的で、エルフが入るなんて不可能ですわよ。その手形のおかげですね」
そういうイルヴァさん。
「そうなんですか。確かに、この国については僕も詳しくは知りませんね」
僕は言った。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか……」
そういうクリフさん。
「警戒が必要ですわね。少し楽しみですけど」
そう言って笑うイルヴァさん。美人だけど、たくましいな。