118話 降伏勧告
僕達はファーランドへと辿り着いた。
「フェイ殿。降りてくだされ」
馬に乗って護衛してくれたアドリアンさんが言った。
「ああ、ありがとう」
僕は馬車から降りた。
まだ体は万全とは言えない。が、まあ何とかなるだろう。
僕達はファーランド城へと入城した。
兵士の数は十分のようだが、みんなあまり覇気は無い。やはり劣勢なのだろう。僕はレフさんの部屋へと急いだ。
「失礼します」
扉を叩き、開け、入った。
そこには青いトカゲのレフさんが居た。
「おお、フェイ君。心配していたよ。君に死なれちゃ、本当にどうしようもないからね」
レフさんはそう言った。
「すいません。心配をおかけしまして……」
僕は言った。
「体はもう良いのか?」
そう聞くレフさん。
「それなりには」
僕はそう答えた。
「状況は控えめに言って最悪だ。今日は元老院にアルパのマリーセ王女が来ることになっていてね」
そう言うレフさん。
「そりゃまた、何をしに?」
僕は聞いた。
「そりゃもちろん、降伏勧告だろうさ」
そう言うレフさん。
降伏勧告か……。確かに、戦況を考えればありえることだ。
「受け入れるので?」
僕は聞いた。
「わからん。元老院も割れておる。アルパとの戦争、勝ち目はないかもしれんしな……。ただ、どんな条件で降伏する羽目になるかのほうが、ワシは心配じゃ」
そう言うレフさん。
「場合によっては、降伏もやむなしですか……」
僕は言った。
「悲しいがな。まあ、ワシは老い先短い身、どうなろうが構わんがな。お前のような若者が傷つくのは見てられんのじゃ」
レフさんは言った。
「レフさん……」
僕は泣きそうになった。
「お主も議会には出てくれるか?」
そう聞くレフさん。
「ええ、もちろんです」
見届けよう。何があっても……。