117話 馬車の中で
次の日、僕は馬車に乗り、ファーランドへと向かった。
食事をして寝た事で概ね回復したけど、まだ馬に乗るのは厳しい。そんなわけで馬車の旅だ。中にはドロテアと姫様が居る。
「まったく、心配したんだからね……」
そう言う姫様。
「姫様、ずっと看病してましたもんね」
ドロテアはそう言った。
「すいません、姫様。看病してくださるとは……」
僕は言った。
「でも無事で良かった。フェイまで居なくなったら、私ひとりぼっちだもん。寂しいよ……」
姫様はそう言った。嘘ではないだろう。
「コーネリアはベルクランドに占領されてしまったんですか?」
僕は聞いた。
「ほとんどはね。一部の城塞は抵抗してるみたいだけど……。どちらにせよ、あの爆石砲相手ではどうにもならないわ。無意味に死者を増やすだけよ」
姫様はそう言った。
「私は見た事無いんだけど、そんなに大砲って凄いの?」
そう聞くドロテア。
「確か、アーダちゃんも開発してたみたいだけどね。大砲が使えれば、ちょっとは状況もマシになるかもしれないけど……」
僕はそう言った。
「へえ、あれ作れる人が居るの? 凄いね」
感心する姫様。
「危なっかしいだけだと思うけどね……」
ドロテアはそうつぶやいた。