11話 敵意の森
二人のエルフと共に、旅を続ける。
二人は僕の馬を気にしているようだ。馬は荷物を載せ、歩いてくれる。
「どうかしましたか?」
僕は聞いた。
「いや、良い馬だと思ってね。荷物持ちをさせるのはちょっと可哀想かな」
そんなことを言うクリフさん。
「そうでしょうか?」
僕は聞いた。
「馬とも心を通じ合わせれば活躍してくれるものよ」
そういうイルヴァさん。
「そういうものですかね」
僕は荷物を少し持ってやった。ヒヒーン、と叫ぶ馬。
「ほら、喜んでくれた」
そういうクリフさん。
「確かに、馬も生きているわけですしね」
そう言う僕。実際、僕にはもったいないくらいの強い馬のようだ。
ゴーー、と激しい水音が聞こえはじめる。滝のようだ。
「滝ですね。これは困りましたね」
僕は言った。
「滝を登ることなどできまい。ここは南から回り道すべきだと愚考するが」
そういうクリフさん。
「そうしましょうか」
僕はそう言った。僕達は南に向かった。
すると今度は森の中。しかも起伏が激しく、山のようだ。どういう地形になっているのだろうか?
「険しいですね。どうしたものか……」
僕は言った。
「……」
イルヴァさんが何か考えている。
「どうかしましたか?」
僕は聞いた。
「いえ、この森、敵意があると思ってね」
そういうイルヴァさん。
「精霊たちも味方してくれないようだ。ここを突破するのは骨だぞ」
そういうクリフさん。
「そうなんですか。どうしましょうか?」
僕は聞いた。
「私が歌を歌いましょう」
そう言って歌い始めるイルヴァさん。
しばらくすると、森のいたるところが光り、木々が動き、道ができた。
「凄いですね、流石はエルフです」
僕は素直にそう言った。
「まあ、我々は森の専門家ではあるからな」
そういうクリフさん。
道を進む。しかしながら、太陽の方向、つまりは南へ南へと向かっていく。
「西へは進めそうにないですね」
僕は言った。
「まあ無理に進むことはあるまい。ただこのままだと、湖の国に入りそうだな」
そういうクリフさん。
「湖の国、ですか……」
僕は思い出す。
湖の国。大陸中央に位置し、どこにも属さない孤独な国家。そこいらじゅうに戦争を仕掛けているという噂もあり、軍隊も強力で、危険な国家だ。
「湖の国となると、そもそも入国できるかが疑問ですね」
そういうイルヴァさん。
「そうだな。関門を通れるかどうか……」
そういうクリフさん。
「一応、万国手形を持ってきましたから、何とかなるとは思いますけどね」
僕はそう言った。