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不遇の錬金術師  作者: 秀一
最終章 大戦編
108/146

108話 雨の中の死闘(前編)


 ザーーーーーー……。

 

 ひたすら雨が降っていた。陰鬱な空だ。

 

 昼間だが、明るさは微妙な所。夜中程ではないが、視界は悪い。

 

 とはいえ、文句を言っても仕方ない。僕達はひたすら東を目指した。

 

 このあたりは、ミッドポイントと言う。何かがあるわけではなく、ハイランドとイリスの丁度中間あたり。アルパと戦う場合は、ここが隙間になるので問題だ。

 

「先生、敵です」

 先行していたエルメが敵を見つけた。

「総員、身を隠せ」

 僕は命じた。

 

 ミッドポイントは草原で、身を隠す場所もあまりない。とはいえ、草が多く、草の背も高いため、身を伏せればわかりにくい。

 

 敵がやってきた。もの凄い数だ。騎兵、歩兵、そして攻城兵器の類もあるし、補給部隊の姿も見える。

 

 敵は明らかにハイランドを目指しているようだ。通り過ぎていく敵の群れ。

 

「先生、どうします?敵はイリスの攻略を諦めたのでしょうか?」

 ユリアナは聞いた。

「だろうな。イリスの攻略なんてできるわけがない。とはいえ、このままハイランドに向かわせるわけにもいかないな」

 僕はそう言った。

 

 雨が更に強くなってきた。ドーン! と稲妻の音が聞こえる。

 

「水と風の精霊が暴れてるね。気が立ってるっていうか……」

 ドロテアは言った。

「もっと暴れさすことはできる?」

 僕は聞いた。

「やってみようか。精霊たちよ……」

 ドロテアはそう言った。念じる。

 

 あたりは暗くなり、敵の群れに雷が落ちた。兵器がへし折れ、混乱する敵。

 

「弓矢を射かけよう」

 僕は言った。敵兵を矢で仕留めていく。

 

 しかし敵もこちらに気付いた。猛然と襲い掛かってくる。

「敵だ! 攻撃! 攻撃!」

 叫ぶ敵。

 

「槍構え!」

 僕は槍を並べるように指示した。しかし、ファーランド兵の反応は遅れ、敵の攻撃を受けた。

「うわあああ!」

 混乱する兵士たち。

 

「突撃! 突っ込めー!」

 敵の騎兵が突撃してきた。僕は生徒たちを前進させ、槍を並べさせた。敵の騎兵は突っ込んでくるが、槍の攻撃で跳ね返す。

「ぐわあっ!」

 刺殺される敵騎兵。

 

 ――雨の中、戦いが始まった。

 

 

 

 

 

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