表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不遇の錬金術師  作者: 秀一
最終章 大戦編
106/146

106話 作戦会議


 守備は援軍に任せ、僕は小屋で眠りについた。

 

 翌朝になっても、まだ空は暗く、雨が降り続いていた。雨は敵味方を苦しめることになるだろうが、どちらかと言えばこちらが苦しい。火器の類を使えなくなるからだ。

 

 僕は軽い朝食をとり、セラさんの屋敷へと向かった。

 

 屋敷にはセラさんとおつきの二人の他、レフさんや、ファーランドの武将達、そしてカランの生徒たちとドロテア、アドリアンさんも集合していた。みんな夜中のうちに駆けつけてくれたようだ。

 

「フェイ殿。ずいぶん無茶をされたようですな」

 そんな事を言うアドリアンさん。ちょっと怒っている?

 

「無茶はしてないよ。セラさんは無茶したかもしれないけど」

 僕は言った。

「私も無茶はしていない。もっとも、フェイ君が私の剣を直してくれていなければ、勝てなかったがね」

 セラさんはそう言った。

 

 そうして、情報の共有と作戦会議が始まった。

 

 はっきりしたのは、イリスが攻撃を受けていること。他にも敵の部隊がたくさん居る事。少なくとも、今のハイランドの周辺に敵は居ない事。

 

 それぐらいだった。分からない事の方が多い。とはいえ、これ以上の情報は得辛い。今ある情報と部隊で、最善の行動をしなければならないだろう。

 

「ひとまず、イリスの救援に向かわねばなるまい。強力な敵が襲っているようだ。急がねば」

 そう言うレフさん。

 

「しかし敵の意図は読めません。ここを手薄にするのは危険では無いですか」

 ユリアナがそう言った。

「私もそう思う……」

 エルメもそう言った。

 

「ここの守備は私に任せておけ。お前たちはイリスを救援すべきだ。もしイリスが陥落してしまえば、おしまいだ」

 セラさんはそう言った。

 

 確かにそうだ……。しかし僕は、逆の考えを持っていた。

 

「セラさん。敵は恐らく、このハイランドを攻撃してくると思います」

 僕はそう言った。

「……? 何故だ? こんな事を言うのも何だが、あれだけ叩きのめしたのだ。奴らも馬鹿ではないだろう」

 セラさんはそう言った。

 

「現在のアルパ王国は、異種族排除を国是としています。となれば、エルフであるセラさんはまさに標的。ここを手薄にするのは危険です」

 僕は言った。

「……そうか……」

 セラさんはうめいた。

 

「私も同意見だ。しかし、今イリスを失えば我々の負けは確実。いずれにせよ、救援は行わねばならない」

 レフさんはそう言った。

 

「僕が行きます」

 僕は言った。

「……良いのか?」

 セラさんは聞いた。

「はい。セラさんは、ここを守ってください」

 僕はそう言った。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ