101話 セラさんとお話
こうして僕とエドウィン君は、二人でハイランドへ向かった。
カランからハイランドまでは相当な距離がある。しかし、僕達は訓練で何度もハイランドまで出かけていた。勝手知ったる何とやらだ。
「エドウィン君は、何か気になる事とかあるの?」
僕は聞いてみた。
「まあ特には無いですが……。でも僕なんかが軍事学校に居て良いのかと思いますけどね」
そんな事を言うエドウィン君。
「そんな謙遜する必要は無いよ。エドウィン君だって役に立つさ」
僕はそう言った。実際、今回の旅でセラさんの許可をもらえれば、ハイランド近辺の金属か何かが手に入るかもしれないしな。
そんな話をしつつ、僕達はハイランドに辿り着いた。
ハイランドは森の中にあり、丘の上のような場所にある。普段は街には入らないが、今回は入らなくてはならない。
「すいませーん」
僕はあいさつした。門番の男エルフが応対してくれる。
「これはフェイ殿。どうされました?」
そう聞く門番。
「ちょっとセラさんに用があるんだ。会わせてもらって良い?」
僕は聞いた。
「もちろんです。どうぞ」
通してくれた。
城壁の中に入った。街は復興しているが、木造の家が多く、昔ながらの街並みと言う感じだ。エルフはこういう感じの方が落ち着くのだろう。
セラさんの屋敷に入った。セラさんは、テーブルでお茶を飲んでいた。
「こんにちは、セラさん」
僕は声をかけた。
「その声、フェイ君か。久しぶりだね」
セラさんはそう言って微笑んでくれた。
僕はセラさんと話をした。あれからグランテイルに行ったことや、師匠と再会したこと。軍事学校を開いた事等。セラさんは微笑んで聞いてくれた。
「そうか……。君も色々な経験をするものだね」
セラさんはそう言った。
「ええ。毎日が新しい経験の連続ですよ」
僕はそう言った。
「それで、今日は私と話をしに来てくれたのかな」
そう言うセラさん。
「いや、このエドウィン君がちょっと提案をね」
僕は言った。
「はじめまして。エドウィンです。セラさん、このハイランドの近辺にある鉱山を調べてみたいんですが……」
エドウィン君はそう言った。
「鉱山の開発は自然を害してしまう。それに見合う価値はあるかな」
難色を示すセラさん。
「価値は必ずあります。フェイさんなら必ず、良い結果をもたらしてくれるはず」
エドウィン君はそう言った。
「もちろん私もフェイ君の事は信頼しているが……。祝福の森のこともあるしな……」
そういうセラさん。
「祝福の森の事は聞かれたので?」
僕は聞いた。
「ああ、酷い話だ。森を焼き尽くすとは……。王や王妃様はご無事だろうか」
そう言うセラさん。
「王女様は無事だったようですけどね……」
僕はそう言った。
「ヴァンダ様か。おいたわしい」
セラさんはそう言った。
「それで、鉱山の開発は……」
エドウィン君はそう言ったのだが、
「セラ様、大変です!」
突然、エルフの男が走り込んできた。
「どうした!?」
叫ぶセラさん。
「アルパ王国の騎兵隊が、こちらに向かっています! パラディンです!」
エルフの男はそう言った。