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狼転移(仮題)  作者: 三軸走行男
一章 テロリスト退治編
31/43

28 急発進、急降下、急停止、事故。

調節の関係で昨日に比べちょいと少なめです。軽く読んでいってください。




「まさか、あの場所にもう一度訪れていたとは・・・・」

「そんなに危険なところだったんですか?」

「・・・・初めて死を覚悟した。本気で死ぬと思ったのは、あれが初めてか」


俺たちは、ヘイネルさんにお礼をして、外に出ていた。荷台を俺が引きながら、会話をしている。・・・・死を初めて覚悟した場所。そんな危険な場所にヘイネルさんは命を賭してもう一度訪れるなんて。・・・・この荷車って、もしかしてとんでもなく価値の高いものなんじゃないか?


「おじいちゃんがそんなに言うなんて、よっぽど危険なところだったんだね」

「もしかしたら、何か曰く付きの場所だったのかもしれないな。伝説の金属が出てくる場所なんだ。何かしらあるのは間違いないだろう」

「・・・・ふーん」


ふーん。そんな、まるで自分には全く関係ない、どこか別の次元で起こっている話を聞いているかのような反応をする、ネリエル。・・・・テレビでやっている紛争などを見ている現代人みたいだ。現実に起こったこと、もしくは今起こっていることなのに、現実味がないような。


「なんだ、興味がないか。ちょっと悲しいな・・・・」

「でも、無事だから。無事なら、良いかなって」

「そうだろう、そうだろう。ネリエルはおじいちゃん大好きだもんなー?」

「当然!」


なんだか、俺、この空間に居ていいものなのかな・・・・?ここに居ちゃいけない様な気がしてきた。おじゃまかな?


「それで、目的地まで結構な距離ありますけど、どうしますか?俺は二人乗せるのは厳しいですよ」

「ふむ・・・・。大丈夫だな。先に行っていてくれ。直ぐに追いつくから」

「・・・・大丈夫かなあ」

「おじいちゃんなら大丈夫だよ」


・・・・なんか、最初は丁寧語も入り混じってたのに、ログウェルドさんが来てから一気に子供っぽい喋り方になったな。幼いころを思い出しているのだろうか?


「じゃ、行くか?」

「行こうか!」


体に装着された荷台の連結器具に目をやると、合図を出す。よし、準備万端。目標はあの山、土の塊約1000kg。


「出発進行!全速ぜんし~ん!!」

「よーそろ~!」


鬱屈とした気分なんてフッ飛ばして、元気を振り絞り、今日もノリノリなハイテンションでやっていく。ネリエルと、俺。何だかんだ言って結構チームワークが良いんじゃないだろうか。とにかく、全速前進後ろを見ずに、失敗を恐れずに、前へ前へと力強く全速力で、駆け抜けよう!



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「おー!速い速い!」

「全然重くないぞ、この荷台!すげーな!」

「本当にー?」

「すげ――――――!!!」


もう、何て言うかキモチイイ。普通に走ってる時も気持ちいいけど、ネリエルを背中に乗せているときよりも頭を空っぽにして走れるから、トニカクキモチイイ!!!こんなに空が青かったっけとか、こんなに風が気持ちよかったんだとか、空気が澄んでるなあとか、普段気付かないことがどんどん頭に入ってくる。やべえな、これ。最初は馬扱いされてるみたいでちょっとヤだったけど、これはキモチイイわ。半端じゃない充足感・・・・。


「これならログウェルドさんでも追いつけんだろう!」

「・・・・多分、もう着いてるんじゃないかなあ」

「え?」


手を後ろにつき、足を投げ出して荷台に座るネリエルは、気持ちよさそうに目を細めて空を見上げながらそう言った。草原にじかに座ると、こういう座り方をしているイメージがある。


「大体の場所は教えたんでしょ?」

「そうだけど!」

「だったら、くつろいでると思うよ」

「ええ!?」


俺たちは風を受けやすいため、結構大きめな声で会話をしている。俺は特に発音しづらいため、かなり大きな声でしゃべっている。オオカミだからね。一応。それにしても、幌を付ければ風も少しは防げるだろうに、ネリエルは今回は良いと言ったのだ。理由を聞いたら『風を感じることに理由はいらないぜぃ』とかなんとか言っていた。アホである。


「とにかく、もう少しで着くぞ!!」

「あーい!」


道中何度か魔物に遭遇したものの、ネリエルが全部倒してくれた。さすがはプリーストなのに筋力血が高いだけの事はある。筋トレもしてるらしいし。とりあえず今気になるのは、マジでログウェルドさんさんが先についているかってことだ。何だかんだ言って70キロくらいは出てるため、かなり早く到着する。それよりも早かったら、ある意味で人間をやめているってことも




考えられた。


「・・・・何でいるんですか」

「中々遅かったじゃないか。待ちくたびれたぞ」


立派な白い石造りの椅子に座り、肉を食べていた。同じく白い石でできたフライパンのようなものを、またまた白い石でできたお洒落なかまどにかけている。フライパンの上では、真っ赤で健康的な、それでいて程よく脂ののった綺麗なお肉が豪快に焼かれている。


「いや、すっごい寛いでるじゃないですか」

「まぁ、朝起きてなにも食ってないことに気づいてな」

「ね、言ったでしょ?」


ニッコニコと笑いながら、俺にいうネリエル。いや、何て反応すればいいんですかね。確かに、一言一句とネリエルの言ったとおりだったけど・・・・。っていうか、何でそんなにうれしそうなんですかね、ネリエルさん。


「それにしても、だいぶ食いましたね・・・・」

「うむ。中々来ないから、本格的に腹ごしらえしようかな、と。ちょっと疲れたし」

「そんだけ食べれるってことは、相当早く来ましたね・・・・」

「儂が相当食べるのが早いってのもあると思うがな」


ログウェルドさんが腰かけている椅子の傍らに落ちているカトルボアは、殆どが骨になっていた。・・・・いや、食べすぎでしょう。


「それにしても、ここに置いてある椅子やらかまどやらフライパンやらはどうしたんですか?まさか、自分の家から持ってきたわけではないでしょうし」

「実は、そうなのだ。家から持ってくるのは中々に骨が折れたなー。儂もさすがに疲れた。」

「いや、嘘つくの下手過ぎですか。魔法でもつかったんでしょう?」

「うむ。まあ、土魔法なんだがな。造形はセンスだな。うん。いくら強力な土魔法が使えようと、緻密な魔法操作とモノづくりのセンスが無くてはこの造形は無理だ。幾ら緻密に魔法を操作しようとも、こういうのはある程度の知識がないと難しいからな」


どうやら、本当に魔法をつかったらしい。なんか、意外だ。勝手な想像だが、魔法はそんなに得意じゃないんだと思っていた。なんとなくだけど、どこか剣士って感じの風貌と言うか雰囲気だったから。いかにも、剣を握って華麗に敵を倒してきたかのような雰囲気って言うか。


「それはともかく。この土袋の山をどうするか、というのが問題だな。」

「乗せて、帰る。これで良いんじゃないんですか?」

「確かに、それでいいだろう。しかし、何か不安が・・・・」

「よいしょ、よいしょ」

「って、もう乗せるのか!ネリエルはやはり行動が早いな。うむ、ウダウダ言ってないで儂も見習うとするか」


不安が、といった割には、ネリエルが荷台に土袋を積み込むのを見て、すぐ自分も手伝うログウェルド。やはりじじばかである。ネリエルがすることにはすぐ頬を緩めて好々爺になる。・・・・だからこそ、きになる。宿で何をそんなに話していたのか。時々荒げられていた声は、壁を通り抜けて耳に入ってきていた。孫に優しいログウェルドが、そんな大きな声を出すほどの事。一体、何があったんだ?


「どうした、コルダム。ほれ、あと少しで全部だぞ」

「あ、ああ。ありがとうござます。ム、荷台自体が軽いとはいえこれは・・・・き、きびしいかも」

「え?ちょっと、乗せるの大変だったんだから、がんばってよ」

「手伝おう」


幾ら伝説の金属でできた荷台が軽いと言っても、その上に920kgくらいのものを乗せるのである。そりゃ重いだろう。いくら車軸が丈夫でも、木の車輪である。ゴムタイヤならまだしも、木の車輪。それは無理があるというものだろう。そのとてつもない重さを実感しながら悪戦苦闘するコルダムをみて、ネリエルが慌てた様子で助けに入る。その様子を見て、ログウェルドも後ろから押してくれているようだ。


「くっ!ぬぬぬ!」

「ほら、もっと足に力入れて!」

「入れてるから!!!」

「ぐぬぬ・・・・!」


全員が全員必死の形相で、荷台をさかに向けて押す。すると、ギ・・・・と小さく軋む音をならし、少しづつ荷台が動き始めた。


「おお!」

「やった!」

「中々腰に・・・・」


一度動き出したら、こっちのものだ。その勢いに任せ、三人で一度に力を入れていく。すると、少しづつ、加速度的に速度が上昇していく。・・・・加速度的に。


「あ?」


そこで、自分たちが何をしたのかを理解する。そう、坂に向かって押していたと。立ちはだかる壁を見上げ、ごくりと息をのんだ想像をした人には悪いけど、急な下り坂だ。急な下り坂に向けて(・・・・・・・・・)、920kgもの荷物を載せた荷馬車を、押していたと言う訳だ。この先どうなるかは、想像しなくても想像できるのではないだろうか。


「うわああああ!!!」

「」

「」


すさまじい速度で変わっていく景色。これはもう、走っているというより押されている。押されているというより、落ちているといった表現の方が正しいかもしれない。いや、そんなことを考えている余裕すらもない。考えても見てほしい。俺は、後ろにある荷台に、920kgの重りを乗せているわけで、それがすさまじい速度で押してくるため、俺は足が強制的に動かされる。直ぐどけばいいじゃん?連結されてます。走りやすいように、ガッチリと。


とにかく、二百キロを超えたであろうところから俺の足は追いつかなくなってきて、ズタボロになり始めている。さらに言うと、多分つまずいたら荷台が跳ね上がって、素性に大量の荷物&荷台が落下してくる。多分即死でしょ。なので、つまずくわけにも、連結器具に体を預けて宙づりになることも許されない。そういうことだ。どういうことだ。


「どういうことだああああ!!!!」


まさか、920kgの荷物のせいでとんでもないスピードが出て、それのせいで死にかけるなんて、中々経験できることではないんじゃないか。そりゃそうか。経験したら死ぬんだし。はは。


そんな半ばあきらめのような思考を脳内に泳がせ、現実から目を背けようとする。しかし、悲しいかな。現実から目を背けようとしても、前から目を背けたら死んでしまうので、目を背けることなんてできようもない。そして、恐怖を張り付けたまま木と自分の荷物に挟まれ、意識を手放すのであった。





馬車って、絶対に乗り心地悪いと思うんですよ。今の馬車は空気入りタイヤがあるからいい物の、昔の馬車はかなり大変だったんじゃないかなあ。今も、舗装がきちんとなっていない場所を運転すると、ガクンとなるし。そう考えると、なんていうか。昔の人ってめちゃくちゃ苦労してるんだなあって、思いました(小並感)

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