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狼転移(仮題)  作者: 三軸走行男
一章 テロリスト退治編
17/43

14 RPGでもなんのゲームでも、金策ってマジで難しいよね!の、件!!!

RPGでもなんのゲームでも、金策ってマジで難しいよね!っていうことです。




目を開けたら、暗い、どこかの屋内のような場所だった。普通の家にしては粗末な作りの、だけどスラムを知るものからしたらしっかりしたつくりの家。しかも、その寄せ集めの材料で作られた家は、二階建てだった。それに、広い。変わった場所だった。私は、そんな場所を知らなかったんだ。


「ここ・・・・は」

「久しぶりだな」

「ガリア・・・・生きてたんだ!」

「元気だったか?・・・・その様子を見ると、元気そうだが」


兄だった。5歳の最後の日以来、合うことがなかった、私の兄のような人。私を心配してくれて、食料とかをいつも持ってきてくれていた。不良に集団で襲われたという噂を聞いてから、会いに来なくなったから、もしかしたら死んだかもと不安になったけど・・・・生きてた。


「・・・・なんか、雰囲気変わったな」

「そうか?俺は昔から、こうだった」

「ガリア・・・・?」

「俺は、昔から機を窺っていた。奴らの情報を聞き、盗み、備えた。」

「ガリア・・・・」


左側の窓から指す光の向こうの影で、椅子に座りながら話すガリアは、段々と声に力がこもって行ってた。まるで、何か信じがたい光景を前に怒りで打ち震えているかのようだった。それが、どうしようもなく怖かったんだ。私の知っている、ガリア(にい)じゃないように感じて。


「そして、機は熟した。あとは合図を送るだけ。それだけで、開始する」

「何を言っているんだ」

「分からんか、アリス」

「・・・・分からない」


私は・・・・私は解っていたのかもしれない。薄々感づいていたんだと思う。だけど、心のどこかで認めたくないと思ってた。だから、必死で気づかないふりをしてたのかもしれない。そんな私の胸中を察してか、黙った私に向かって、ガリアはゆっくりと近づいてきたんだ。


「今こそ、反旗を翻す時だ。」

「ガ・・・・リア」


ガリアの服は、先ほど見た服装と酷似してた。迷彩柄に、胸ポケットの上の国章を切り裂くマーク。だけど、言動からして、さっきの奴らとは違うと理解できた。


「無能な国王どもに制裁を加える時だ。そして、俺たちが実権を手にする。この国を、より良き方向へと導くんだ」

「本気で言ってるのか、ガリア?」

「そうだ。この国は、腐っている。だから、頭を挿げ替えなければならない」

「なんで・・・・」

「それが、平和のためだ」


私も、この国が腐っているということには反論しなかった。実際、王は必要以上に側室を大量に持ったせいで、その側室の生活維持だけで、小国の国家予算程度になってしまってるんだから。側室、総勢298人。それだけじゃない。税金を使い、役に立たない威力だけの武器を収集する軍の総括、風俗嬢に貢物をするためだけに、60億以上使った、財務大臣。ほかにも、上げるとキリがない。この国は教会も生臭坊主ばかりだし、教会や敬虔な信徒から排出される筈の聖騎士を世界一保有してる国なのに、聖騎士が人道や倫理を弁えないクズばかりだし・・・・。


「じゃあ、あの噂はうそなんだよな?」

「あの噂とはなんだ?」

「反乱軍の・・・・奴らが、王都や各地の村や町で好き勝手暴行を働いてるっていう噂は」

「俺のあずかり知るところじゃないな。でも、そういう噂があるなら、真実なんだろう」

「ガリア、お前がボスなのか」

「そうだな。まあ、指導者ってことになってる」

「・・・・指導者」

「アリス、俺たちの仲間に加われ。俺たち反乱軍の、偶像(アイドル)として、反乱軍の人員確保に協力するんだ」


そういうと、ガリアはうっとりと、何処遠くの方を見つめるような目をして、そういった。悪い冗談にしか聞こえなかった。偶像?アイドル?何を言っているんだろう。私には、何もわかることなんてなかったんだ。


「アイドル・・・・?」

「お前は、見た目は良いからな。お前には悲劇のお姫様を演じてもらう」

「どういうことだよ」

「王の妾の娘だ。これ以上は認められないと、王と財務大臣の二人で共謀してチンピラを雇って殺された母。直談判をしても、全く取り合ってくれず、似たような状況の子を何人も保護している。ほかにも色々理由をでっちあげて、国の中枢を丸ごとくりぬき、そこに俺たちが収まる。完璧な計画だ・・・・」

「本気じゃないよな?ちょっと、痛い目見さして、目を覚まさせるだけだよな?」

「冗談?アリス、お前は、冗談や酔狂で俺がこんなことを言うと思っているのか?」

「でもガリア、さす・・・・ちょっと待て。どうして、私の名前を知ってるんだ?」


アリス。その名前を知っているのは、メーガンと、メーガンのお母さん。それくらいしかいなかった。私は外で遊ぶ方だし、アクティブな性格だとも思う。だけど人に名を名乗たことなんて、無い。誰かに聞かれたこともない。ということは、メーガンかお母さんが・・・・


「・・・・ようやく気付いたか、アリス。」

「ちょっと待て。ちょっと待て。お前、メーガンに何をした」

「ただ連れてきただけさ。だが、物語でもあるように、この先の展開は予想がつくな?」


私は、物語をよく読む方じゃなかった。ガリアは、暇さえあれば拾った本を読んでいたけれど、私は読んだことなんて数えるほどもない。だけど、予想はついた。


「メーガンには手を出すな!お願いだ、メーガンにだけは!」

「あの小僧がそんなにいいか?いいぞ。なら、俺たちに加われ。そうすれば、メーガンという小僧の命を保証しよう」

「賊と変わらないじゃねえか」

「違う違う。俺たちは『軍』だ。」

「どうでもいい。・・・・それで、革命まであとどれくらいの日数だ」

三月(みつき)二十日(はつか)


あと、三か月と二十日。多いようで、短い数字だ。だから、私は絶望した。もう、止めることはできないんだろうな、と。だけど、そうじゃなかったみたいなんだ。


「・・・・」

「実はな、装備が足りていないんだ。金がなくてね。それでも今すぐ開始することは可能だ。だが、犠牲者は確実に多い」

「私に資金集めをしろと」

「そうだ。そうすれば、準備期間は伸びるだろう。レジンにダット、ドレイルやファドリアーを覚えているか?全員革命軍に志願している。」

「・・・・アイツらまで」


私がスラムに居た時の、仲間たち。あの時、バカやって笑ってたことが懐かしい。あの時のみんなが死ぬかもしれない。いや、確実に何人かは死ぬんだろう。ぼかしてるんだろうけど、これは戦争だ。戦争は、そんなに甘くないだろう。


「資金を・・・・稼ぐ。稼ぐ・・・・」

「そうだ。目標額はない。かき集められるだけ集めてこい」

「分かった・・・・」

(絶対に・・・・絶対にメーガンを死なせるわけには。命の恩人なんだ・・・・レジン、ダット、ドレイルとファドリアー。苦楽を共にした仲間だ。絶対に死なせるわけにはいかない。やるしか、ない)



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「こんなことがあって、私はダンジョンに来た。最初は普通に働いて稼ごうと思ったけど、額の膨大さに気づいて諦めた。だから、こんなもんを売るくらいしか思いつかなかったんだ。バイト先の薬屋の店長が持ってた、薬草図鑑。それに、場所が書いてあったから、ちょうどいいと・・・・」

「そう、ねえ」


ううん、まさか、こんな大ごとだなんて思わなかった。国がかかってるなんて。普通は、誘拐された身代金展開とか思うじゃん?それなら、何とかできなくもないし。


「で、任せろと大口叩いたコルくんは、何かいい案は無いんですか?」

「妙案が・・・・無い!!!」

「「え」」

「え」

「無いのか?」

「話を聞いてから判断するんだから、まだないよ。当然だろ?」


話をとりあえずは聞くし、解決に尽力するというのはうそじゃない。でもまずは、話を聞くところから始まる。で、話を聞き終わった今、どうしようかと冷や汗を滝のように流しまくっているわけだが・・・・まじでどうしよ。


「まずは、力を蓄えることからスタートしようか。で、資金か・・・・。」

「ですよね、資金の問題がある。それをどうにかしないと、人質に危害を加えられるかもしれない。」

「資金、麻薬・・・・乾燥麻薬。ハーブ、危険ドラッグ・・・・脱法ハーブ。ハーブ?ハーブ。」

「どうかしたんですか、コルくん」

「・・・・そうか。そうだよ!マジでいいこと考えたかもしれん」


頭の中に妙案が浮かぶ。間違いない、これこそが今の状況を打破する、最もいい案だ。これをすれば、時間稼ぎとレベル上げと資金集めを同時に行える!




因みに、『左の窓から光が差す向こう側にいるガリア』という表現は、左から差し込む光で、前に居るガリアの姿が見えにくい。という意味です。つまり、アリスフィアの前に居るガリアは、左から差し込む光の後ろに居るため、見づらいという状況になります。


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