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狼転移(仮題)  作者: 三軸走行男
一章 テロリスト退治編
15/43

12 アリスフィアの裏の顔がどす黒い件!!!

自分の本性って、中々さらけ出しにくいですよね。友達にも、中々自分の本性を明かしたくなかったり。難儀なものです。




「どあああああああああ!!!振動がマッサージの様じゃあああい!!!!!」

「それはそれは!では、もう少し強くさせていただきまああああああす!!!!」

「え、ちょ!これ最大じゃないの!?あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"脚があああああああああああ」

「タイ式マッサージです!痛いけど、健康にいいので、我慢してください!!!!美容効果も、ありまああああああすっ!!!!!」

「ヤッタァァァァァァァァ!!!」


もう、これは大丈夫じゃないんじゃないだろうか?さて、ここでみんなにクエスチョン。俺の背中にまたがっているネリエルさんは、一体どういう風にまたがっているのか。・・・・はい、馬に乗るスタイルでね。つまり、またがってるわけです。そのままですね。その状態で強く揺れると・・・・。


「ぎっ・・ぎぎぎぎぃっ!!!!」

「い、痛そうですけど、大丈夫ですか?」

「温いわあああああああああい!!!!」


なにも、エロいことなんてなかった。ただただ、痛い。だろうな。だろうな!だって、こんなに揺れてるんだもん!!!擦れてるんだもん!多分、血でてるんじゃねえのかな!?地震大国日本の国民が乗ったとしても、多分怖い怖いというか痛い!!!それぐらい揺れてるからね(歓喜)!?ご安心なされよ、ネリエルには回復魔法があるから、心配はない。あの、膝を書きすぎて黒ずむ現象のようなことになることも、無い。因みに、ずっと揺れてるから『腹筋鍛える微振動マシーン』のように、足と腹筋が鍛えられるらしい。後に聞いた話によると、筋力が十二増えてたって。きょ、凶悪だ・・・・!!!


「い、痛くないんですか!?!?本当に!?痛かったら、止めますよ?」

「い、 (いたぁい)痛くないわあああああ!アリス、待っとれよ!今、私が駆け付けるからっ!」

「そ、そんなに大事なのか・・・・っ!」

「そうだっ!助け合うって!助け合わなきゃって言ったから!!!」

「・・・・」


『ダンジョンなんて、命の危険と隣り合わせなんだから、助け合わなきゃ。』

『そ、そうですよね!!!』


「命は軽くなんてないから!!!」


『死んでも、俺たちに責任は負えないんだぞ』

『死なないように助け合えばいいんですよ』


「そうだよな。そうだよ、間違いないよな。すまん、もうちょっとだけ激しく揺れる。絶対に見つけるから、もう少し我慢してくれ」

「分かり・・・・ましたっ!!!」


俺は、ネリエルに断ると、さらに加速した。加速したのは少しだけだが、揺れは結構大きくなる。その痛みにネリエルは、唇をかみしめながら、返事をする。俺は、背中に感じるぬめっとした感触に気づかないふりをして、前を向いた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「こ、心が落ち着く薬草は、たしか一階層の端っこらへんって・・・・このへんだよね」


ぶつぶつと呟きながら、歩みを進めるアリスフィア。どうやら、コルダムによって驚かされて乱れた心を、何とか、治そうと心の落ち着く薬草というものを探していたらしい。


「こ、これだ!これこれ!これだよ、間違いないよ!」


アリスフィアは、ダンジョンの隅っこに生えている藻の近くに群生している、カエデのような草を手にすると、テンションを上げるように叫び、においをかいだ。


「こっ、これだぁっ!間違いない!ババアの薬草図鑑に書いて・・・・店長の薬草図鑑に書いてありましたっ!!!!」


一瞬声が低くなって、言葉遣いも荒くなる、アリスフィア。テンションが上がり過ぎて、声が表がえっただけで、元々粗暴な性格だというわけではない。断じてない。


「こっ、これ確かいくらで売れるんでしたっけ?たしか、キロ五百万でしたよね・・・・ごひゃっ!?うっひょぉ!宝の山じゃねえか!!!!」


ひゃあっほうとテンションを隠すつもりもなく、開放させる、アリスフィア。これは、別にお金の欲に目がくらんでいるわけではない。あれだ。その、友達の家ですっごい値打ちのするもんを見つけて、テンションが上がるやつだ。『すっげえ~』みたいなかんじで。


『言い訳が見苦しいですよ』

『うるせい。っていうか、マジでなんでなんだ』

『何がです?』


アリスフィアの後ろの曲がり角に、影が二つ、こそこそと話し合っていた。


『あれ、アリスフィアだろ?世渡りが下手そうな、天然で不憫な』

『ですね』

『あれって、やばい葉っぱだろ?』

『ですね』

『売ったら違法だろ』

『単純所持も違法です』

『だよな』

『なんでですかね』

『なんでだろう』

『金が欲しかったんじゃ?』

『そんな気がしてきた』


アリスフィアから気づかれない位置で、ぼそぼそ、こそこそと話し合う俺たち。でも、本当に何でなのだろうか。確か、アリスフィアは、『高いポーションを壊して、弁償の為にダンジョンに来た。』と、言っていた。手段はともかく、その割にはテンションの上がり具合が半端じゃない。ポーション分を弁償すると言って、そんなにテンションが上がるだろうか?いいや、自分の為に利用するなら、テンションは上がるだろう。しかし、他人のためや自分のした失敗を取り戻すときは、そんなにテンションが上がるもんじゃない。


『何で金が欲しかったんでしょう』

『そんなの、俺も金が欲しい』

『ですよね』

『そういうことだよ』

『そういうことですか。っつか、アンタオオカミじゃないですか』

『え、オオカミはお金が欲しくないと思った?どうやってドッグフード買えばいいの』

『食べるんですか?』

『・・・・案外イケるよ』

『やっぱり犬じゃ『犬じゃない。俺は、犬じゃない』


何度も言うけど、俺は犬じゃない。撫でられたら気持ちいいし、フリスビーを投げられたら多分ジャンプしてとる。ドッグフードは美味しいし、生肉も食べれる。焼いたほうがおいしいけど。だけど俺は犬じゃない。ちゃんと母親もオオカミだし、オオカミの長老から『子』と呼ばれている。ホネも意外とおいしい。だけど、犬じゃない。


『俺が犬じゃないっていうのは分かり切ってるからいいんだが、『え』分かり切ってるからいいんだが!!!お前、それどうすんの?やっぱ治さないことにしたの?』

『あ、これですか?』


これ、と言って、ネリエルは太ももから出血しているそれを指す。うん、それだよね。どう考えても。っていうか、あの後ゴブリンに遭遇して、そのケガのせいであまり動けなくてさらにケガしてたからね。


『アイツ、あんな同情を誘うような言い方して、結局は自分の金もうけのためでしたからね?もう懲らしめてやろうかと思って』

『いや、まあそうだよなあ。でもさ、その腕の傷は治したら?筋肉見えてるよ』

『うおっ、ホントだ。・・・・おえっ』

『自分の傷見てえずくなよ・・・・』

『きもちわるっ』

『自分を見て気持ち悪って言うなよ・・・・』

『傷ですから。私自身が気持ち悪いわけじゃないですから』


憤慨したように俺に抗議するネリエル。いや、別に俺もそんなつもりで言ったんじゃあないんだけどなあ・・・・。まあ、傷も自分の一部やん!?もとは傷のついてない皮膚と健康な筋肉のわけだし!!!


『分かってるよ。で、どのタイミングで出るか決めた?』

『え、私が決めるんですか?』

『え、俺!?あんなのの前に出てくタイミングを俺が決める!?』

『オオカミさん男でしょう!?』

『知らねえよ!?俺、オスなのかな!?メスなのかな!?』


実は、オオカミになった後の性別を良く知らなかったりする。長老には小僧と呼ばれることもあるし、母さんからは名前で呼ばれたことがないな。多分、オオカミには名前という概念はあまり浸透してない。だから、自分の性別がどっちなのかが分からない。


『ええ!?何で自分の性別把握してないんですか!』

『だって、前世は男だもん!そっちに引っ張られてるかもしれんやん!』

『しらん!そんなの知るか!』

『ええ!?男だからって言い始めたのそっちじゃーん』

『まあそうですけど』

『なんだそりゃ。・・・・で、結局どっちが行く?』

『どうしましょう』


俺たちは、この一見やばい奴に見える、天然の皮をかぶったやっぱり本当にやべーやつの目の前に、どちらがどのタイミングで出るかを決める権利を、擦り付け合うのであった。余談ではあるが、決まったのは十五分後である。




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