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狼転移(仮題)  作者: 三軸走行男
一章 テロリスト退治編
14/43

11 波長が合う人って早く仲良くなることあるよねの件!!!

波長がめちゃくちゃに合って、趣味とかも同じで、すっごい早く仲が良くなることってありますよね。私の最高記録は約六分です。謎にテンションが上がって、ハグしました。




「はっはっはっはっ!」

「右斜め前方、スライム!」

「了解!」


俺たちは、今アリスフィアの行方を追っている。一刻を争う状況のため、遭遇した魔物と、いちいち立ち止まって、交戦している余裕はない。なので、ネリエルに魔物の位置を報告してもらい、俺が体当たりをして魔石をかみ砕くという手法をとっている。


「ふんっ!」

「ぐっ!」


スライムは、物理攻撃があまり効かないという特性を持っているから、いままで戦闘を避けていたのだが、言うほど脅威ではないことに気づいた。俺の全力ダッシュプラス引っ掻きや噛みつきで、魔石を十分破壊できるということが分かったからだ。


「シュルシュルシュル・・・・」


魔物の生命は、魔石によって維持されている。どうやら、魔石は魔物にとっての心臓のような役割を果たすらしい。俺には仕組みなんてわからないけど。だから、魔石を破壊されると、生命活動は停止する。


「なんだこれ!なんだこれ!面白いように魔物が倒せるな!」

「そ、そそそそそですねげげががが!ちょ、あまりゆらさないでください!」


一つ、この形態の弱点として挙げられるのは、背中に乗っている指示係にも経験値が分配される代わりに、体当たり時にちょっとダメージが入るということだ。考えてみたらわかることだが、背中に人が乗っているのに、体当たりの時急加速するのだ。首が、がくんとなるヤツである。最悪、むち打ちになってしまう。


「まっすぐ前方、ゴブリンの群れ!」

「む、群れ!?止まらずにどうやって相手どれば!?」

「それはいったん止まった方がいいんじゃ!?」

「ええい、面倒くさい!ひとまとめに倒してくれるわ!」


そう叫ぶと、俺は思い切り足に力を込めた。相手は、普通のゴブリン4体に、メイジゴブリンが1体。つまりは、五体もの敵を一瞬で切り裂かなければいけない。・・・・無理じゃね?


「だっしゃあっ!」

「ぶげっ!」


裂帛の気合を叫んだ俺は、左に固まっているメイジ一体とゴブリン二体のグループに体当たりをぶちかますと、右に固まっていたゴブ二体のうち、一体の喉に食らいついた。めちゃくちゃに揺らされて、必死に背中にしがみついているネリエルがなにか叫んでいるが、今はそんなこと気にしていられるほど余裕がない。無視だ。


「むん!」

「ぴっ!」


食らいついたゴブの首を確実にかみ砕くと、ペッと吐き出して。あぜんとしているゴブリンの肩と首の中間らへんを引っ掻いて差し上げる。すると、おびただしい量の血液が噴出したため、コイツは放置。背中で振り回されて、レジのアレみたいな音を立てたネリエルも、放置。問題は、体当たりから回復して起き上がってきた、三体。そのうちの一体は魔法を使うというメイジだ。もう、ここまでくると止まらないでやる方が縛りプレイだ。何か背中で機械音の様なものを奏でるネリエルを下ろし、応戦してもらう。


「ざあああらあああああい!!!!」

「いで!」


背中でわちゃわちゃされたせいで、まだ少し混乱しているのかもしれない。目に涙を浮かべて素手で俺に殴りかかってきたネリエルに、鋼鉄のメイスを持たせて、ゴブリンの方に向かせる。


「俺はメイジ一匹とゴブ一匹。後は頼む」

「一匹だけなら任せて」

「頼んだ」


短く言葉を交わすと、足に力を込めて一気に近づく。メイジを後衛において、二人のゴブリンが前衛に出る。ゴブリンは、知能が多少はあるため、このように、戦闘で簡単な布陣を取ることも珍しくない。


「ぬうん!」

「ギャピ!」


今度は正真正銘ゴブリンの声だ。ネリエルの声ではない。俺が体当たりをかまして吹っ飛んでったゴブリンは、メイジの横をよろよろと通り過ぎ、尻もちをつく。アホなのか、そっちの方を向いたゴブリンは、ネリエルにメイスで頭を強打され、くらくらしている。阿呆だ。


「#)$%’)$#%♪``*+&)&¥>?$+‘@・・・・」


ゴブリンメイジが、おそらく何らかの魔法の発動に必要なのであろう呪文のようなものを、ぶつぶつと呟く。魔法の発動には良く分からない独自の言語のようなものが必要の様だ。俺には、なんだか良く分からない外国語のように聞こえる。


「その長ったらしい詠唱を、俺が許すとでも?」

「@‘:+**++)&$%#!!!」

「ぐはぁあっ!?」


目の前に火花が飛び散った。何が起きているか把握することは、中々に難しかったけど、恐らく、長ったらしい詠唱に油断して長ったらしいセリフを吐いていたら、呪文を思いっきり被弾したらしい。阿呆だ。


「いっ・・・・ぎぐぐあっ!!!」

「バカなんですか!?何カッコつけて思いっきり食らってるんですか!?!?」

「う、うるせえな!なんだよ、魔法って!ほんっとうに、この!魔法とか言うのは!・・・・かっけえ」

「・・・・真正のバカだ。」

「るせえぃやい!」

「#)$%’)$#%♪``*+&)&¥>?$+‘@・・・・」

「あ!あ!あ!助けてください!ネリエルさん!こいつ、またかっこいいヤツ撃って来ようとしてます!助けてぇーっ!」

「・・・・はあ。えい」

「)$’#U$%ぺげらっ!」


ドカン。


ため息をつきながらメイスでメイジの頭を殴ったネリエル。詠唱中に頭を殴られたメイジゴブリンは、ギャグ漫画の様な音を立てて、魔力操作に失敗して爆発した。


「うえ」

「きもちわるっ」

「意外とネリエルって強いんだね」

「これでも、回復魔法専門の攻撃力の低い職業なんですけどね」


そういいながら、プリーストが最も最初に覚えることができるようになる魔法、ヒールをかけてくれる。一回じゃ治らないくらい結構な傷だったので、四回ほどかけてもらう。風呂に入っているときのような気持ちよさ。う”ぃ”いい”~っ。温泉行きてえ~っ。


「どうせ鍛えてるんだろ」

「ステータスは、ある程度トレーニングで上昇しますからね」

「・・・・俺も、鍛えた方がいいかなあ」

「上級冒険者たちは、ほぼ全員鍛えてるそうですよ」

「・・・・」


魔法がある世界な以上、上級冒険者たちには女性もいるんだろうなあ。で、ほぼ鍛えてるって?・・・・じゃあ、女性も含めて全員ムキムキのマッチョってことじゃ・・・・うん、考えることはやめにしよう!こういうことは、夢があった方がいい。こういう、夢があるものについては考えると悲しい気持ちになるだけだ。うん。悲しい・・・・。


「急ごう。多分、アリスフィアは近いぞ」

「何でわかるんですか?」

「俺、オオカミになってから鼻がよくなったみたい」

「犬、ですy「犬じゃない」

「そうですよね、オオカミですもんね。」

「・・・・乗れよ。速く行くけど、なるべく揺れないようにしてやる」

「あ、悪いですね」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「ががががががががごっ、だだだだだだだだっだああああああ!!!!」

「うるさいんですけどー。索敵の仕事を全うしてくださーい。」

「ぎぎぎぎぎぃっ・・・・ゆゆゆゆゆゆらすななああああああああ!!!!ゼッテエ許さねえからなあ、この犬っころがああ」

「コロ?僕の名前はコルダムです。コルくんって呼んでください」

「犬ぅううううううううああああ!!!!」


俺は、いままで背中のネリエルを気にして出さなかった全力を、惜しみなく出していた。できるだけ、揺れを抑えているつもりだ。全力を出している割には、結構振動を抑えられている方だと思う。


「落ち着けよ。アリスフィアがどうなってもいいのかい?」

「・・・・ッッあああああああ!!!もっとスピード出さんかああああああい!!!!」

「了解です、ご主人様ああああああああ!!!!!!」


なんだろうな、ネリエルと俺って、悪い意味で波長が合っちゃってる気がするんだよね。一緒に居ると、調子に乗っちゃうみたいな。良くないことだよね。それを、俺は自覚していると思う。でも、良くないことだなあって思っている反面、めちゃくちゃ楽しいから困ってるんだ。




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