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狼転移(仮題)  作者: 三軸走行男
一章 テロリスト退治編
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8 実はそんなに強くなってなかった件!?

ステータス表記の体力というのは「HP」ではなく「スタミナ」です。モンハンで言うところの、緑ゲージの下にある、黄色い奴です。走ったりすると数値が増減します。休むと回復します。HP表記はないです。そして、魔力というのは、魔法の威力。魔量というのが、魔力量を指しています。


ドラクエで言うところの、MPが「魔量」知力が「魔力」となっております。分かりやすくしようと思ったのに、何故だかわかりにくくなってしまい、申し訳ありません。




「ぐ、ぐふう・・・・」

「お、オオカミさん、大丈夫ですか?」

「あ、ああ。問題ない・・・・イテテ」


ネリエルと会ってから約1週間。あれから町を案内してもらったり、色々な常識を教えてもらう工程を踏んで、今俺たちは、町近くのダンジョンへと向かっていた。そう、俺とネリエルのレベル上げをする目的でだ。ダンジョンといえば、金銀財宝、一攫千金、万死一生、大死一番。冒険者の夢と希望がつまった素敵な場所だ。


しかし、そんな甘い場所ではない。新人冒険者の墓場とも呼ばれており、フィールドボスと呼ばれている一階層ごとに存在する、自由に動き回る強敵。そんなやばい奴もいる。しかし。俺たちはそんなことを言っている場合ではない。なぜなら。ダンジョンに着くまでもなく、死にかけているからだ。イテテ。


「あの時はゴブリンなんて一撃だったじゃん!なんで傷だらけになっちゃってるんですか!?」

「ゆ、油断したあ」


やはり、大幅に強くなっているとはいえ、それは元の状態からということだったらしい。いきなり「よし、魔王かかって来いやあ!」ということではないみたいだ。その強さは、「レベル一にしては、やるじゃない?」という程度であって、油断すれば普通にゴブリンに囲まれてぼこぼこにされる。痛い。


「しかし、7対1でこれっていうのも結構やるんじゃないか?」

「確かにすごいですけど、絶対死なないでくださいよ!?家宝なんですから!」

「でも、収穫はあったみたいだぞ」

「え?」

「カードカード」

「あ、はい。」


ネリエル・アルゲーダー 種族 人間

  職業 魔獣使い、プリースト

      レベル5  

  筋力 43  魔力 63

  耐久 25  魔耐 26

  体力 10  魔量 54

  幸運 52  気力 63/100

     

      使役魔獣 

     

コルダム 魔物、グレイウルフ

    愛称 コルくん

    職業 無職

      レベル4

  筋力 82  魔力 14

  耐久 73  魔耐 28

  体力 230 魔量 200

  幸運 140 気力 92/100


「おお・・・・!だいぶ強くなりましたねえ、コルくん!」

「・・・・俺の名前、コルダムで固定かよ・・・・ってか、愛称の欄いらねえだろ」

「それにしても、本当に高いですねー。初期値と上がり幅で言ったら、噂の勇者くんと変わらないんじゃないですか?」

「勇者ねえ。どうせ、俺は殺される側ですよー・・・・って、噂って?」

「実は、何か月前だか忘れましたけど、この世界に勇者が召喚された、っていう噂が広がったんですよ」

「勇者が・・・・?それで、俺と会った時にまるで勇者みたいだって言ってたのか」

「そうですそうです。」

「へーえ。本当に勇者って居んの?」

「居るんじゃないですか、知らんけど」

「知らんけどって、お前なあ」

「まあ、良いじゃないですか。確証のない噂話なんて、そんなもんですよ」

「まあ、そうだよな。じゃあ、レベルも上がったことだし、早速ダンジョンに向かっちゃおうか!」

「おお!」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「腹立つなあ。」

「どうしたんですか?」

「ゴブリンだよ。こんなにわらわら現れてきて。」

「仕方ないじゃないですか。ここら辺は、森もあるし、ダンジョンもある。何より、人が来るこの周辺はゴブリンにとって格好の餌場なんですよ。」

「その代わり、ゴブリンも狩られまくるみたいだけどな」


『おりゃー!』

『うわ、すごい、すごいよジャギル!もう十何体目!?』

『リール、そろそろ、ダンジョン行っちゃう?』

『もう少しレベル上げてからにしない?』

『そうだよ~』

『あと五体な!』


何やら、色々な場所でゴブリン狩りにいそしむ冒険者たち。一番近くの冒険者集団は、俺たちと一緒でそろそろダンジョンに行こうとしているようだ。・・・・俺たちがダンジョン潜っている間も誰かしらはゴブリンやっつけてるんだろうなあ。うん、良いね、いいね。俺自身が魔物になったからと言って、魔物に対して同情心が生まれるわけではない。ジャンジャンやってくれたまえ。


「魔法とかが飛び交っててくれいですねー」

「そうだなあ。俺たちも、もう少しここらで狩りしてから行く?」

「いえ、一階層の適正レベルは3です。十分戦えるはずなので、行っちゃいましょう!」

「本当に大丈夫かなあ」


ギルドの時と違い、勇み足でダンジョンの入り口に向かう彼女の背を見て、不安そうにつぶやく俺だった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「ここが、ダンジョン・・・・」

「く、暗いですね」

「そうだな。っていうか、本当に迷路みたいだな。」


ダンジョン内部は、石レンガ造りの、迷路になっていた。壁には誰が備え付けたかわからない、謎のたいまつ。そして、足元には割れた魔石。白いのは、骨だろうか


「だれか掃除すればいいのにな」


俺が、壁についている松明にかかった蜘蛛の巣を見てそういうと、ネリエルが嫌そうに顔をしかめながら、反論する。


「誰が掃除したいんですか、こんなところ。私は絶対やですよ」

「俺も」

「・・・・行きましょうか」

「本当にいくつもりかよ?ぜったい、なんかまずい事になるぞ?」

「そろそろ宝箱の中身も補充される頃です」

「補充?だれが?」

「ダンジョン自身がですよ。人間に対する釣り餌として、冒険者たちが落としていった装備とか、宝石とかゴールドとかを宝箱に入れておいておくんです。ダンジョンは毎日形が変わるので、宝箱の配置も変わります。なので、張ってるってこともないと思いますよ」


へえ。まさか、ダンジョンにそんな仕組みがあるとは。なんか、あれを思い出すなモウセンゴケ?あの、ねばねばしたハエトリソウの仲間。粘液で日光を反射して、おびき寄せた虫を、捕食するみたいな。ハエだけじゃなくて、大きな虫まで捕食してしまうというから、驚きだ。


「でも、ダンジョンの構造上浅い所にはあまり価値のないものが入っていることが多いです。深い層になると、豪華な宝石とか強力な装備とかがドロップしたりします。」

「マジか。でも、深い所に行かないとダメなのかあ」

「そうなんです。浅い所から罠とかの機能に栄養を供給しつつ、最後にコアに栄養が補給されるので、なるべく深い層で死んでほしいんですよね。だから、深い層には魅力的な餌が置いてあるということです。」


なるほどねえ。うまい具合に機能しているんだなあ。すげえや。しかし、魅力的な装備や、宝石か。マジックアイテムなんかも存在しているんだろうか?ぜひとも、きになる。魔剣とか、聖剣とか!?まあ、俺オオカミだから使えないんだけど・・・・。


「しかし、それを聞いたら余計進みたくなくなってきた」

「だけど、止まってると一層のフィールドボス、ヒュージアシッドスライムに襲われちゃいますよ?」

「ヒュージアシッドスライム?」

「はい。大きくて、取り込んだ獲物を溶かして捕食するっていう、凶悪な魔物です。」

「なんでそんなのが一層に居るんだよ・・・・」

「おそらく、ボスに捕食されると罠とかには供給されずに直接コアに栄養が行くんだと思います。もしかすると、最初はボスがいなかったけど、コアに栄養があまりにもいかな過ぎて、機能停止寸前まで追い込まれちゃったんじゃ?それで、栄養を直接コアに届ける、フィールドボスを生み出した」

「そう考えると、ダンジョンは生きてるってことか」

「はい。そういうことになってます」


ダンジョンは生きている。結構前のラノベでも見たような気がする。ダンジョンは生きてるんだよーみたいな。なんのラノベかは忘れたが、ははあ、そういう考え方もあるのかと感心したのを覚えている。


「しかし、本当にこの状況になってくると・・・・」


ダンジョンが、うっかり口を閉じてもぐもぐしだしたりしないかと、不安で不安で仕方がない。もし、うっかりもぐもぐされてしまったら、中に居る魔物や人間はひとたまりもないというか、一塊にされて食われてしまうだろう。そんな、サイコ的ないやなことを考えながら、俺は松明で照らしきれない曲がり角の先をにらみつけた。




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