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前世編 私たちのはじめまして

 何もない真っ暗な新月の夜。バス停から何気なく普段とは違う道を通って学校から帰っていた時、まるで月の光もない夜の闇に隠れるように佇む人がいた。あまり顔の見えないその人からは雫が落ちて、何かを話すように口が動く……



 そんな記憶があった。



 なにもない日常。ベッドから起き上がり制服に着替えると顔を洗って髪を整え、歯を磨いて朝食を摂る。そしてカバンを持って覚えていない母の遺影に手を合わせて「行ってきます」

 学校の前に停まるバスに乗り、学校に着いた後は会う人みんなに「おはようおはよう」

 数年に一度ほんの少し変化はあるものの、15年飽きずに迎え続けた同じ朝。つまらないけどこれが良い。


 でも、今日は少し違ったような気がしていた。その原因はおそらく記憶にあった帰り道、そこが気になったのだろう。人がいないか見に行ってしまった。

 でも誰もいない。



 遅刻ギリギリで白い壁紙に青いカーペットの塾のような教室に入ると、クラスメイトがざわついていた。

「誰か来るらしい」

 と、言う内容、転校生とかの類らしい。今は新学期始まって1ヶ月経った五月だから少し遅い。

 そんなことを考えていると、ドアを勢いよく開ける音がした。

 クラス担任の先生ともう一人、見慣れないビシッとした黒スーツに長い黒髪の綺麗な女性が入ってきた。

「みなさんおはようございます。突然ですが、今日は新しい先生を紹介します。 では、よろしく」

 少し年季が入った女教師特有のよく響く声、分散していたみんなの目線は一気に先生は向けられた。

「大学から研修で来ました。天蓋紫蘭てんかいしらんです。」

 歌手のような美しい声でそれだけ言うと、天蓋と言う先生は教室の端に移動した。担当教科も言わずに。


 結局その先生はなんの授業もせず、その日はみんなの質問を淡々と答えるか、教室の端に立っていた。



 春の太陽も山に隠れ、新月だから月はなく暗くなった学校からの帰り、バスを降りると何も考えずに記憶であった場所に向かっていた。そこは田舎ではないのに、街灯は少なく人も車も全く通らなかった。

 風で木は揺れ、空気はひんやり冷たく、人気のない道を歩き記憶で人が立っていた場所に着くと、そこには……何もいなかった。ただの夢だったのだろう。




 そのまま家に帰ると、弟がいて父がいて、結局何もない普通の日常だと思った。「ただいま」を言い、制服から着替えようとすると突然、スマホとテレビから聞き慣れない不安になるような音楽、地震速報が鳴り響いた。すると直後、爆発するような音が聞こえたと同時に天井が砕け、大きな瓦礫が降り注いだ。



 目を開けると、真っ暗なところにうつ伏せで倒れていて、どうなってるか確かめるために右手に持っていたスマホで辺りを照らすと、コンクリートの壁や天井が崩れて家の形を保っていないような状態が広がっていた。そして瓦礫の山から、白い弟の手が少し見えていた。

 父は見えないがまだ生きてるかもしれない弟だけでも助けようと、スマホを置いて立ち上がろうとすると、下半身と左腕に全く力が入らない……と、言うより感覚が無かった。

 もう一度スマホを手に取り自分の体を見ると、腰から下は瓦礫に埋もれており、左手に関しては潰されて血塗れになっていた。でも痛みは全く感じない。

 瓦礫をどかそうと右腕で押したり持ち上げようとしてみたりするが、ビクともしない。

  「もうここで死ぬ」その事実を確信し、血を流しすぎて朦朧とした意識の中、1つの声が聞こえた。

「ごめんなさい!遅くなりました!」

 すごく最近聞いた美しい女の人の声、でも雰囲気が違うような気がする。足音が近づき、目の前に現れたその人は今朝学校にきた研修の天蓋先生、朝とは違うところどころ破れたボロボロの黒スーツを着ていた。


 その人は目線の先にある瓦礫に気づくと砂の山を壊すかのように瓦礫を崩し、中にあった腕以外原型をとどめていないモノを取り出すと、そっと手を合わせた。

 

 彼女はまたこちらに歩み寄り、質問を投げかけた。

「君はやっぱり生きたいよね?」

 こんな状況に唐突にされた質問だが、弟のようにはなりたくなかった。ゆっくり首を縦に降った。

「君をこの状況から五体満足、後遺症無しで救うことができる」

 五体満足は嘘だとしても、助かるならなんでも良かった。

「でも目が覚めた時、もしかしたら君の見る世界は今より変わってるかもしれない。そして君の友達たちには会えないかもしれないけどそれでも良い?」

 どうせ死んだら会えなくなる。そう思い、右手で彼女の腕を強く掴んだ。


「分かった。そろそろ出血多量で死んじゃうから詳しいことは君が目覚めた後でね」


 そう言うと彼女は額を合わせた。その時、意識はろうそくの火が消えるように無くなった。


 


久々に書いてみましたが、伝えたいことが文章にできていない感はあります。今後修正を重ねていきますので温かく見守ってください。


この小説は三人称なのですが、主人公の名前を一度も呼んでいないので男か女かすらわかりませんよね……

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