27話
なんとか1日お休みしましたが、今日はかけました。いよいよ決戦です!
「練習通り慌てずに避難してください!」
内政部門の者たちが避難してきた人に大声で声をかけている、わ
内政部門棟は今拠点のほとんどの者が集まっている。
ついに敵が訪れたのだ。
今では拠点内の人数が500を超えるのにもかかわらずそこまで混乱せずに避難が進んでいるのは佐藤が一週間前から避難訓練を行なったおかげだろう。
「ふむ、避難は順調じゃの。あとは俊くんにお任せするかの」
佐藤は部屋から人々が避難していくのをガラス越しに見ながら敵のいる方向を見て呟く。
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時は少し戻る。
今日は武装部門は日頃の疲れを癒すためにも休みをとっており、監視員以外は武装部門棟内にいた。訓練の日々から解放されたのでみんなも楽しそうに仲間たちと談笑している。
「久々だな休みって。いつぶりだ?」
「俺は来てからずっと訓練と監視業務で休みなんてなかったぞ?」
「あ、俺もだ。ならお前は?」
「なかったな………原田さん!武装部門の休みって今までありました!?」
原田は呼ばれた方向を見てニッコリと笑いながら言う。
「ないぞ!俺たちみたいな馬鹿は身体を動かしておくのが1番だ!」
「まじかよ………」
「これが最期の休みか…………」
「てか原田さんがどんどん脳筋化してる気がするんだけど気のせいか?」
そんなくだらない話をしていた。
だが、それも終わりを告げた。
扉を破る勢いで1人の男が入ってくる。
「緊急です!敵が来ました!数は視界全部に移るほどです!方角は北です!」
その言葉だけでその場に緊張が走った。
自分たちの戦う時間がついに来たのだ。
「ついに来やがったか……聞いたか!?補給部隊以外は持てるだけ武器持って壁に走れ!北以外の監視は最低限にしろ!今までの地獄みたいな訓練の成果を見せてやれ!」
原田の怒声とともに全ての武装部門の者達は完全装備になり、持てるだけの弾薬を持って外に駆け出した。
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「ドラゴン乗るやつ来てください!」
俊はドラゴンの家にいる騎乗用のドラゴンのいる近くにいる者たちに大声で声をかけた。
その声で俊が来たのに気づいたらしく20人くらい集まった。
ちなみにドラゴンは毎日創造し続けて来ており、更に毎日創造することでイメージも楽になり、一日の創造数も上がったため、3桁を越えるドラゴンがいる。そのため20頭くらい居なくて空の防衛は充分である。
「はい、では……………終わりです」
「えっ?」
俊がいきなり自分たちを集めたと思ったら、終わりと言われたのだ。驚かないはずがない。
「あーすみません。魔法をかけときました。本当は武装部門全員にかけたいんですけど魔力を少しでも節約しないといけなくて、戦闘で1番危ない皆さんにかけさせていただきました。身体能力を向上させるものなので今まで以上にドラゴンを速く乗りこなせれると思いますよ」
俊がかけた身体能力向上の魔法だ。これのおかげで手綱を掴む力も強くなったため、無理な動きをドラゴンがしてもある程度なら人間が耐えられるようになった。そうでもしないとドラゴンは人間を落とさないように気を遣って遅くなるため、戦闘で不利になるのだ。余談だが現在俊が自分にかけてる身体能力の魔法は、自分で勇者化魔法と言っている。勇者のような身体能力というイメージで創造した魔法だからである。
「よしゃぁ!魔法のおかげで力も溢れてるし、これをゾンビどもにぶつけてやるぞ!」
「おうよ!この爆弾をやつらのど真ん中に落として地獄を見せてやるよ!」
「なら俺を相棒とカラスどもを落としまくってやる!」
彼らは思いもよらない俊からプレゼントに興奮して早くも盛り上がっていた。
「俊さんありがとうございます。私たちの間でも人間が生身で乗ると龍の本領を発揮できないと嘆いていたところだったのです」
部隊の隊長らしき人が礼を言いにくる。
「そうですよね、あんなとんでもない速さで進んだら、風圧もすごいですし、急制動なんかしたら慣性の法則とかで吹き飛びそうですしね」
「本当にありがたいです。おかげで空でも活躍出来そうです」
「礼は要らないですよ。これは俺の考えが至らなかったからの問題ですから。それよりそろそろじゃないですか?」
「そうでしたね。ではご武運を。よし!じゃあ騎龍部隊出発!」
「「「おう!!」」」
たくましい声を上げながら彼らはこれから戦いが待っている。空へと飛んでいった。
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俊は騎龍隊を見送るとドラゴンの家を出て、北側の壁
へと来ていた。そこでは武装部門の者たちが武装部門棟と壁を往復して次々と武器を運んでいた。四連装創造銃がそこらかしこに置かれていた。今回の戦いでは数の差が大きすぎる。それを補うためにはこの武器がないとやっていられない。そしてその武器の運搬を指揮しているのは原田であった。
「お前どこに行ってたんだ!?どこ探してもいないし」
「騎龍隊にちょっとおまじないを」
「おまじない?魔法か?」
「まぁそんなとこですよ。そんなことより作戦を」
「まず奴らは街の方角からきてるからまだ戦力の全部が見えてないが、見えてるだけでも馬鹿みたいにいやがる。だがまだ距離的に数キロ離れてるからここから撃っても弾の無駄だ。だから騎龍隊に爆撃してもらう。幸い上空の敵は今はドラゴンたちで抑えている。
多分成功するはずだ」
まず今回の戦いの場は拠点北側である。本来なら住宅地だが、俊が解体&再利用をしてきたため今は何もない平野となっている。おかげでこちら側としては戦いやすい場所となっている。
「じゃあ俺は敵が一キロくらいまで来たら迎撃を開始します。出来ればそれに合わせて欲しいんですけど」
「了解だ。お前はどうする?騎龍隊と一緒に爆撃しに行くか?」
「俺の竜はたぶん上空で指揮しながら戦ってると思うんで、あいつが抜けたら龍たちが危ないのでやめときますよ」
「そうかならしばらく待機しててくれ」
「了解です」
原田は武器の運搬の指揮のためその場を離れていく。
俊は壁の上に座り、迫り来る敵とそれに抗う上空のドラゴンをずっと見ていた。




