22話
もしかたらこれから更新が遅れるかもしれません。
「犬だと?」
「えぇ、あとカラスもです。」
原田を顔をしかめる。
俊は壁外で見たゾンビたちについて原田に警告するために武装部門の建物を訪れたのだ。
「俊、願いがある」
「武装部門の外に出てる者の救出ですね」
「わかってるなら話が早い。今日出たやつらは20人だ。一応車に乗ってるからゾンビどもから襲われないとは思うが」
「だけどゾンビ犬は余裕で車の速度を超えますよ?」
「なんだと!?それじゃあマジでやばいな……」
原田は予想以上のゾンビ犬のスペックに驚いている。
「一応奴らの速度に俺も追いつけないことはないんですけど魔力の消費がまだ激しくて長時間の戦闘はまだ難しいんですよ」
「くそ…何もできないのか……」
原田を唇を噛み、わずかに血が出ている。
どうやら自分の部下の命を失わせてしまった自分に責任を感じているらしい。
「まぁ出来るだけやれることはしましょう。ただし俺の命を最優先させてもらいますよ?」
「本当か!頼む!」
原田の顔色が明るくなる。
「ただし今から俺が帰ってくるまで監視員を2倍にしてください。そして限界体制でカラスに警戒してください。そのあとカラス対策をしますので」
「そうだな。カラスもゾンビ化したんだったな。なら今から監視員を2倍でゾンビカラスの警戒に当たらせる。それとほかの人々は建物内に避難。これでいいか?」
「完璧ですね。もう武装部門の代表として板についてきましたね」
「こんな状況ならどんな仕事だってすぐに慣れるもんさ。それより頼んだぞ!」
「えぇ任せてください。現在カラスはドラゴンに対処させてるんですが、今からそのドラゴンを連れて救出に向かいます。守れますか?」
「任せとけ。訓練の成果を見せてやる」
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「みんな!すぐに建物に避難しろ!ゾンビ化したカラスが現れた!」
原田は俊との会話が終わるとすぐに建物から出て、人々に避難を促す。
「急いでください!近くの建物ならどこでも良いですからすぐに入ってください!」
「焦らずに避難してください!」
武装部門のメンバーたちも避難誘導をする。
「誰か武装部門棟まで行って、待機してるやつら全員よんでこい!」
避難誘導をしていた1人が走って呼びに行く。
しばらくすると大人数が集まる。
「今すぐに完全装備になってこい!半分は監視の増員として当たれ!もう半分は拠点内の避難誘導と逃げ遅れた人からカラスを守れ!カラスがきたら弾幕はってうち落とせ!」
「「「「「了解!」」」」」
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現在拠点に近づくカラスたちはドラゴンによって倒されている。
そうしている間にもまた数匹のカラスがドラゴンの炎ブレスによって焼かれた。
俊は救出に移るためドラゴンを口笛で呼ぶ。
するとドラゴンは俊に気づき、近くに降りてくる。
「今から何人かの救出を行う。おまえには俺を運んでほしい」
俊は今回の移動は地上からでなく、空から行うことにした。理由はゾンビ犬のほうが自分にとっては嫌な相手だからだ。
俊はさっそく以前拠点の人々とドラゴンとのふれあい会の時に使った箱をドラゴンにくくりつける。
そして俊はその箱の中に入り、空へと飛び立つのであった。
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「とりあえず街の方に向かってくれ!物資の回収をするとしたらそこだ!」
「グガア!」
(とりあえず、街にはいると思うけど正確な位置まではわからないな。くそっ!これなら発信機みたいなものでも持たせればよかった)
俊がそんなことを考えていると真横からカラスの群れが近寄ってくる。
「お前はそのまま進んで、人がいたら教えてくれ!正面だけは任せた!他の方向は俺が対処する!」
ドラゴンは更に街へ向けてスピードを上げて向かう。
俊も近寄ってくるカラスたちに火球を打ち込んだりして倒している。
街についてからはドラゴンを旋回させて探させた。
すると数回回った後にドラゴンが叫ぶ。
ドラゴンの見ている方向を見ると確かに拠点が使っている車があった。
「よし!ならあの車に近づいて俺を降ろしてくれ!お前はこの上で待機してろ!」
ドラゴンは言われた通り車の近くまで降りて俊を降ろす。
俊はとりあえず周りに何もいないことを確認し、車の中を覗く。
しかし、その中には誰もいない。
「この感じだと回収中に襲われたみたいだな。しかも周りにゾンビがいないということは引き連れてしまってるのか?急がないと」
俊は以前かけた身体能力向上の魔法をかける。
さっそく周囲の音を強化された耳が拾う。
「ちっ犬のゾンビなんて聞いてねーよ!」
「やつらは直線で突っ込んでくるだけだ弾幕張ってれば倒せる!」
「車まで移動しながら行くか?」
「こんな状況で移動なんて無理だろ!」
「だけどこのままじゃジリ貧だろ!マガジンだっていずれ無くなるぞ!」
「どうすればいいんだよ……このまま建物に立て籠もったまんまで………」
(方角が北の建物か!)
俊は抜刀して、いつでも魔法も使えるようにして救出を待つ人々のもとへ向かう。
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「どうするんだよ!マガジン切れるぞ!」
「切れたやつは建物の奥に行け!まだあるやつはう撃ち続けろ!」
ゾンビ犬がまた1人銃弾によって倒れる。
だがまだ何匹ものゾンビ犬がいる。
「くそっ!もう終わりだ!マガジン切れた!」
遂に武装部門の者達のマガジンが全てなくなった。
彼らは皆目を閉じ、訪れるであろう死を待っていた。
(こんなことならもっとしたいことしとくべきだった!もっと楽しい生活を送りたかった!恋人つくって、デート行って、結婚したかった!つまらない人生だったなぁ………………………ん?全然痛くないな?死ぬのって案外痛くないもんなんだな)
「早く目を開けてくださいよーじゃないと置いていきますよー」
そんな場違いのどこかのんびりした声に男は目を開けるとそこには拠点の管理者である山口俊がいた。
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「ずいぶんと派手にやってんな」
俊が現場に駆けつけた時には周りはゾンビだらけだった。どうやら間に合ったらしい。
俊はさっそく魔法の矢を大量に創造して、ゾンビたちがこちらに気付く前に真横から大量に放った。
「グガァァァ」
「キャン」
「ガァァ」
ゾンビたちが次々と倒れる。
さらに俊はゾンビたちに接近する。
俊は刀で次々とゾンビをなぎ倒していく。
しばらくすると武装部門からの銃撃が止んだ。
(なんでだ!まさか弾切れか!?やばいな…一気に決めるしかないな……)
俊は魔法の矢を今までにないほどの量を創造する。
それはゾンビを囲い込むかのように現れる。
「これでおしまいだ!!」
矢は一斉にゾンビへ放たれる。
ゾンビたちは身体中を矢で貫かれる。
「これは身体能力の魔法をかけてないと絶対無理だな。普通の状態でやったらイメージはできないな。多分頭の処理速度も追いつかないだろうな。というか武装部門の人たち忘れてた!」
俊は急いで建物内に入る。するとみんながうずくまって目を閉じている。
(生きてるよな?まぁ弾切れしたら死しかないもんな)
俊はとりあえず武装部門の人たちに声をかける。
「早く目を開けてくださいよーじゃないと置いていきますよー」




