20話
「はい、じゃあみなさんの優しさに感激したところで、このドラゴンを紹介させていただきますね」
俊は涙で少しだけ腫れた目をして言う。
「こいつは俺が創造したドラゴンです。基本的にはこの拠点の防衛に当たらせます。もちろんですけど人間を襲ったりもしませんよ。」
俊の説明を受けたもののやはりみんな怖いようであまり顔色はすぐれない。
「やっぱりこわいですよね、まぁわからなくもないです。じゃあこのドラゴンの背中に乗りたい人!もちろん空も飛べますよ!」
俊は慣れてもらうにはやはり実際に触れ合ってもらうのが1番だと思い、皆に言う。
「俺が乗る!」
隆太が大声で名乗り出た。
もう戻ってきたようだった。
早速俊はドラゴンに乗れるように創造で箱と紐を用意する。
箱をドラゴンの背に乗せ、紐でくくりつけて完成だ。
「準備はいいかー?」
「おう!たのむ!」
「ほいよ、じゃあお前は少しこいつと一緒に空を飛んできてくれ。」
ドラゴンは隆太を背に乗せたまま、この拠点周りを旋回する。
「うお!はぇぇぇ!!ドラゴンって速いんだな!」
「グゥ!」
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「次は俺も乗せてくれ!」
「俺もだ!」
どうやら先ほどの飛行をみて、男たちは子供心を見事に掴まれたのだろう。所詮男はいつになっても子供なのだ。
一方女性は、
「可愛いわねー」
「グゥ!」
「聞いた!?今返事したわよ!この子すごい可愛い!」
女性もドラゴンの可愛らしさに負けたらしい。
その後は皆がドラゴンの背に乗ったり、撫でたりして楽しむのであった。
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「どうやら受け入れられたようじゃの」
「えぇ、最初はどうなるかと思いましたけどね。よかったです」
俊は現在ドラゴンとのふれあい会を終え、夕食を食べている。
「そういえば、今のこの拠点について何か不満とかありませんか?もしくは聞いたとかでもいいんですけど」
「そうじゃのー、今のところ特にないかの。皆こんな世界の中で安心した場所で暮らせるだけで満足しているからの。ただ今後人数が増えると居住棟、井戸、トイレ、全てが間に合わなくなるかもしれんの。」
「じゃあそのうち増築しときます」
「ふむ、頼んだぞい」
「お?俊と佐藤さんじゃないか。2人が一緒に食事たは珍しいもんですね」
「ほっほっほっ、原田くんたまには若い子と食べるのもいいもんじゃぞ。ほらこっちに座りなさい。」
「じゃあ失礼します」
「そういえば原田さん、何か足りないものとかありますか?」
「いや特にないな。武器も防具も弾薬も全て足りてる。今は来るべき時に備えて訓練中だな」
来るべき時とは神に警告された強敵が現れるということだ
「あと例の件についてはどうですか?」
これは不穏分子についてだ。
「まぁ今日の姿を見た限りやつらは結構馬鹿だな。やつらの目的はこの拠点らしい。お前を殺してこの拠点を支配するつもりだとよ。でこっちのものからの報告では近々破壊工作を行おうとしているらしい。俺たちはそこを現行犯で捕まえるつもりだな」
「ならその時は裁判的なものを行いますか?」
「いやこのご時世だ、奴らの言い分は聞かずにこちらで裁いていいだろ。そっちの方が見せしめにもなる」
「なら裁くのは俊君にお願いするかの」
「まぁ仕方ないですかね」
「まぁある程度の揉め事ならわしの部門が裁くようにしても良いがの」
「お願いします。俺には裁くような人間の器は持っていませんし」
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「ふー今日もいい天気だな。あっそういえばこの拠点が出来てもう3ヶ月か」
今日はあのゾンビが現れてからちょうど3ヶ月後だった。
「今日は何すればいいかな」
現在この拠点は基本的にはこの拠点の人々たちによって運営されている。皆が何か仕事に就き、毎日働いている。
そのため意外と俊のやることは少ない、やることといったらドラゴンの餌やりと防衛強化と自己鍛錬だ。
俊は来るべき時に備えて今日も一日を過ごすのであった。




