18話
「でこれがあんたの創造したドラゴンってこと?」
俊は昨夜何時間もかけてドラゴンを創造し、それによって一時拠点内は大パニックとなったのだ。
「ハイソウデス」
なぜ今怒られているかというと混乱が大きく抑えるのに時間がかかったのと、当の本人までが倒れてしまったからである。ドラゴンにはとんでもない魔力量が使われており、俊の魔力量のほとんどだった。その疲労によって俊は眠るように倒れ、起きたのは翌朝だったわけだ。
「まぁたしかに味方だったらこれだけ心強いものはないけど、急に現れたらパニックになるのは分からない?しかもロマンがとか馬鹿なの?」
「そうですよ。しかも魔力をほとんど使ってしまうなんて。何かあったらどうするんですか?」
優子と真鍋が俊の前で仁王立ち怒っている。
「で、あれどーすんの?」
「拠点内にドラゴン用の小屋をつくって、普段は拠点近くで監視に当たらせようかと」
「まぁそれが妥当ね、原田さんもそれでいい?」
「あぁいいぜ、しっかしまさか始めての対敵行動がお前の創造したものとなるとはね。はっはっはっお前意外と年相応だってことだな。」
「それはもうほんとにすみません」
ちなみに監視所から知らせる警報の種類は3つある。
赤色 ゾンビ、もしくはそれに準じたものが危険だと
判断されたとき
黄色 警戒が必要なとき
青色 避難民が訪れたとき
この三色で警報は分かられている。
「まぁいいさ、こいつのおかげで俺らの危険がかなり回避されるからな、なぁ!」
原田はドラゴンをバシバシ叩きながら言う。
ドラゴンも嬉しそうに鼻を原田につける。
「うわぁー、なんか犬みたいねー。少し可愛いかも」
「ほんとですねー、和みますねー」
ドラゴンの愛くるしい行動にその場はとても和み始めた。
「なっなら!こいつをみんなに紹介しませんか?きっとみんなもこいつの可愛いさを見れば、恐れもなくなると思うし!」
俊はとっさに自分を責め立てる話題から逸らすために提案をする。
もちろんその魂胆は簡単に見透かされて、皆にジト目をもらう。
「まぁ確かにそうじゃの、初めて見たときは化け物と思ったが、今は可愛らしいペットじゃの。」
「でしたら、あとでこいつとのふれあい会やりませんか?きっと上手くいくはずです!」
俊は思いがけない援護をもらい、この機を逃さないために精一杯言う。
「まぁ確かに俊の言うことも一理あるわね。実際このドラゴンの昨日の姿を見て、怯えている人もいるみたいだし。」
「そうじゃの。早いうちに認識を改めさせた方がいいじゃろ。一度そう認識したら、変えるのは難しいからのー。」
「そうですね。朝食時、皆さんの中に何人か怯えてましたからね。あの蹂躙していたドラゴンが自分たちの拠点にいるんですからね。」
「ふむ、なら昼食後一旦全員集めるかの。武装部門の方はどうじゃ?出てる者はおるかの?」
「数人出払ってるな。まぁ夕飯までには戻ってくると思うんでそんとき奴らにも俺が紹介しときますよ。」
「なら任せたぞい。最後に俊君、君がこの拠点のために働いてくれていて、今回もその一環なのは分かってるつもりだが今回みたいなものを創造するときは一度わしか原田さんに伝えておいてくれ。でないと今回みたいになるからの。」
「本当にすみません……」
「さて、この話はここまでじゃ!まずはこのドラゴンの環境づくりを始めるぞい!」
俊は佐藤にハッパをかけられて、ドラゴンの小屋をつくるのだった。
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ドラゴンの住む場所は簡単に言うなら車庫だ。
ただし正面のシャッター部分がない。
さらにはそれを覆い、なおかつ外で少しなら動けるくらいのスペースを柵で囲っている。
「お前はこれでいいか?」
俊はさっそくドラゴンの住む場所をつくり、ドラゴンに聞いてみた。
ドラゴンは首を縦に動かした。
どうやら肯定の意味らしい。
「それにしてもお前頭いいなー。やっぱり俺のイメージが反映されるのかな?」
俊にとってドラゴンとは最強の一角であり、知性もある生物だ。
それがこのドラゴンに反映されたのだろう。
「そういえばお前は何を食べるんだ?肉か?」
ドラゴンは首を横に振る。
違うらしい。
「まさかゾンビか?」
ゾンビを大きく首を横に振る。さらには俊を鼻で小突いてくる。
「わかったわかったから、すまなかったって!冗談だって!ならお前は何を食べるんだ?」
ドラゴンは俊をじっと見る。
「どうしたんだ急に俺をみて?」
それでも俊を見続ける。
「………俺か?」
「グルゥ!」
ドラゴンは嬉しそうに喉を鳴らして応えた。




