17話
「ごちそうさまでしたー」
「はーい。皿はそこに置いといてねー」
俊は真鍋に礼を告げてその場を去る。
「ふー何かすることあるかねー。」
俊はとりあえず、拠点内を見てまわることにした。
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拠点内は最初の頃と比べて随分と変わった。最初の頃は体育館のような建物を土壁で覆われていただけだった。人数も30人くらい。
しかし今では拠点の広さは何倍にもなり、畑やさまざまな建築物が建ち並んでおり、それに比例して土壁はどんどん大きくなり、その壁上には立派な見張り台もある。さらには拠点内の自給自足もある程度進んでいる。人々も日が経つことに増えてきている。この調子で規模が大きくなればいずれ国が作れるのではないかと思ってしまうほどだ。そして人々もまだ組織をつくって数日しか経っていないが少しずつだが組織として行動できるようになってきた。
「んー少し溜まってきたかな。んーどんな魔法がいいかな。」
俊はこうしてたまに防壁に来ては壁周辺にいるゾンビを倒している。俊にとっては魔法の実験にもなっている。
「んー少し試す価値があるな」
俊はさっそく何か試すことが出来たらしい。壁上に座って目を閉じてイメージをはっきりさせる。
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日が暮れてきた。
隣にある監視所の監視員は心配そうに俊を見ている。
創造を開始してから既に数時間がたっている。
監視員もそろそろ声をかけようかと思ったその時だった。
目の前に真っ赤な巨大な物体が現れたのだ。
監視員はとりあえず緊急の知らせを伝えるために赤色の光を放つためのボタンを押そうとしたその時だった。
「大丈夫!こいつは敵じゃない!」
先ほどからずっと目を閉じ続けていた俊が叫ぶ!
「そいつは俺の創造したものだ!危害は加えない!」
監視員は恐る恐る外へ出て、その真っ赤な物体に近づく。それはお伽話に出てくるような存在であった。
「本当に大丈夫なんですか?襲ってきたりしないんですか?」
「本当ですって。これは俺が創造したドラゴンです」
その真っ赤な物体はドラゴンであった。ちなみに龍ではなく竜だ。
俊はゾンビを倒すのに何も自分で全てやる必要はないではないかと思った。そこでペットのようなゾンビにも対抗できるものをと考えた。そこで思いついたのが、以前どこかの小説で最強の一角として語られているドラゴンだった。しかしいざ創造してみると、そもそも現実には存在しないものであるため、なかなかイメージが固まらず、生命体なのでとんでもない魔力消費量となったのだ。そのため何時間もの時間がかかったのだ。
「よし!じゃあとりあえずお前はこの拠点周りのゾンビを一掃してこい!終わったら今日だけ拠点の外で待機しててくれ。明日にはお前の家をつくっとくから。」
俊はさっそく命令してみた。
ドラゴンのほうも言葉の意味を理解しているらしく、少し頭を振り、空へと羽ばたいってた。
「うぉー夢みたいだ!」
俊は珍しくテンションが上げながら、ドラゴンのゾンビを蹂躙する姿を見ていた。
「いや、まぁ凄いですけどあれはちょっと……」
「まぁ男はロマンですから!」
余談だがドラゴンが炎を吐き出したりしてゾンビを蹂躙している姿を他の監視員が発見し、あちこちで赤の光が点滅し、武装部門全員が完全武装で来たのである。
優子 「あんたなんてもん創造してんのよ!」
俊 「しかたないんだ!これはロマンが…」
隆太 「うぉー!!すげー!!」
佐藤 (ドサッ)
優子 「佐藤さーん!!」




