16話
「ふーこれでどうだ?」
「いいと思うわ。これで色々出来るわ。」
現在俊は生産部門の優子の要望により作業場を建てている。作業場はミシンによる手作業の仕事を想定して、建てられている。今後は色々なものを生産していく工場とする予定だがその時に改築すればいいだけだ。
「じゃあ後はミシンを待つだけだな。」
「そうね。原田さんが取りに行ってくれたようだし。あと布類おねがいしていい?」
「おっと、すまんすまん。よし……これでいいか?」
俊の目の前には創造されたたくさんの種類の布が置かれている。
「相変わらずすごいわね。こんなに創造して大丈夫なの?」
俊の目の前にはたくさんの種類、しかも色もけっこうある。少し前の俊には結構大変な作業だったであろう。
「おう。どうやらこの創造はイメージが大事らしい。創造するものをどれだけハッキリイメージできるかで魔力消費量が決まるらしいんだよ。だから俺はここ最近何度も創造をしたからイメージをよりハッキリ持てるようになったんだよ。」
「へぇーじゃあますます便利になったわけね。」
「人をモノ扱いするなよ。」
「りょーかい。んじゃありがとう。私たちのところはあとは自分たちでやるからアンタは病院建てて来なさいよ。」
「おうよ。んじゃ昼飯の時になー」
「はいはーい。」
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「太田さーん!」
「あっ俊さん。お疲れ様です。」
「で病院の簡単な設計図はあります?」
「あっはい。こちらです。」
渡された設計図は一階に待合室と診察室があり、二階が手術室と病室と保管室となる。
「ではいきますよ。あっ建材に指定ありますか?正直なんでも丈夫さは変わらないんですけどね。」
「そうなんですか!それは随分とすごいですね。それならどの建材でも構いません。」
「じゃあ始めますよー。」
俊は早速廃材置き場に向かって、適当に建材を決めて建設を始める。
数分後、病院が完成した。
「これでどうでしょうか?一応明るいところは出来るだけ明るくしたんですが?」
「これなら手術もしっかりと出来ますね。ありがとうございます。」
「知識が全然ないので何か足りなかったら言ってくだい。」
「では何かあった時には言わせてもらいます。必要物品の方はあとは私たちが移動させるのでここはもう大丈夫ですよ。」
「わかりました。あと銃はこちらです。」
昨日約束していた非常時用の銃である。
「わっわっ!そんな軽いノリで渡さないでくださいよ。」
「昨日から結構の数をつくってたらつい感覚がズレてしまって。それよりそれは研究所でしっかりと保管してくださいよ?」
「言われなくても分かってます!すぐに置いてきます!」
太田は走って研究所へ向かうのであった。
どうやら相当銃を持つのが怖かったらしい。
「俺の感覚がズレてるのかな?まぁこんな世界じゃあ無理もないか。それより防具作りと射撃場だな。」
俊はさっそく武器庫に向かった。
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「さーてまずは射撃場をつくるか。」
俊はたまたまテレビで見た海外の射撃場をイメージする。目の前にテーブルを設置し、両側が壁であるものだ。
次に的だ。この武装部門が使う銃の威力は見た目に反して結構高い。そのため、初期段階では防壁を貫いたほどだった。もちろん、ある程度威力は下げてあるが、万が一のために色々な銃弾を創造しており、その銃弾に負けないような壁にしなければならい。
まずは的は木を使う。そしてその後ろに3枚の重なった5メートルのコンクリートの壁を置いた。1枚目は現在の防壁にもかけてある強固にするための壁、次に
スライムのような壁。これで衝撃吸収を図る。最後は1枚目と同じものだ。
「じゃあさっそく撃つか。なら1番威力の高いやつで。……よし、撃つぞ。」
俊はボタンを押す。発砲音はないが、壁にぶつかる音がかすかに聞こえた。
「ん?待てよ、貫通してたらどうなるんだ?…………やばい!当たってたらマジヤバイ!」
俊は今までに無いほど焦りながら急いで射撃場を出て裏手へと周る。
そこには穴一つない綺麗な壁だけがあった。
「ふーよかったぁー。それにしてもこの壁丈夫だな!防壁にも使えるかもな!」
俊はこの壁の防壁への利用方法について考えながら武器庫へと戻る。
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「まぁ武装部門のみんなは居ないか。」
俊は武器庫の中に入ろうと思ったが扉に鍵が掛かっていて入らなかった。武装部門は現在他の部門からの依頼により物資調達の最中である。
「まぁいいやお邪魔しまーす。」
俊は何事もないかのように普通に魔法で鍵の解除を行い、普通に武器庫に入っていった。この男の前にセキリュティは意味を成さないらしい。
「防具はここでいいかな。」
俊はロッカー室にまだ残っていた銃の取っ手の入っていた箱を自分の前に置く。
「じゃあ防具作り始めるか。」
まずは要望のあったゾンビに噛まれても大丈夫な防具。
これについては結構難しい。まず噛みきれないというならまだ対策は可能だ。しかし、たとえ服を噛みきれなくても服の上から人の身体を噛み切ることや骨折させることはゾンビには可能である。つまり噛まれた時に服が噛みきれなくてなおかつ防具がある程度形状を保つ必要性があるのだ。ただし鉄のようにしてしまったら柔軟な動きをするのは難しい。そのため俊は現在まで防具作りを先延ばしにしていたのである。
「…………動きやすくて、硬いもの………あ!これなら……」
俊は防具はジャケットとズボンのような形で創造する。素材は布だが、それには防刃耐性を魔法でつけることでゾンビに噛み切られることを防ぐ。そしてそれをジャケットのように創造する。
そしてここが最大の特徴。
ジャケットの中にプラスチックの棒をフレームのように通すことで形状を保つようにしたのである。このプラスチックはある程度曲げたりでき、軽量の魔法、耐熱の魔法、強固の魔法をかけることによって軽量かつ丈夫なフレームとなった。
あとはズボンも同じように作った。
最後に色々な小物が収納できるようポケットをつける。
これで完成だ。ちなみに色は黒である。理由はカッコイイからだ。
「あとは全く同じものと少し小さいのとさらに小さいのか。まぁほとんど同じだし、数も少ないから銃弾の時ほどよりは簡単だな。」
俊はその後黙々と防具を作り上げていく。
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「真鍋さーん。ご飯くださいー。」
「はーい。お待ちどうさまー。」
料理が出てきた。
「あれ?これって…」
「はい!畑でとれた芋です!」
「え?いくらなんでも早すぎませんか?だってまだ数日しか経ってませんよ?たしかに芋の収穫は早いですけど。」
「私も驚いたんですけど鈴木さん曰く、俊さんの魔法の力によって創造された肥料によるものではないかだそうです。なんかしたんですか?」
「何かしたと言われてもですねー。肥料に周囲の作物の成長促進を促させる魔法しかかけてませんよ?」
「ん?肥料に魔法をかけたんですか?」
「えっええ。せっかくなら高品質のものがいいかなと。」
「高品質どころの話じゃない気がするんですけど。どこに数日で作物が育つ肥料があるんですか。」
「あちゃーこれ品質下げておいたらもっと畑の完成も早くいったのになー。」
「まぁ食料の備蓄もなくなる一方でしたし、これだけでかい畑から芋が取れたんでしばらくは食料に困りませんよ。むしろ他の作物もすぐに育つと思うので食料は結構備蓄できますよ。」
「まぁ結構オーライですかね。」
「そうですね。あっほら早く食べてください!せっかくできた料理が冷めてしまいますよ!」
俊は急いで昼飯を食べるのであった。




