表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/35

26話 あふぅ


「思っていたよりも、侵攻してくる連邦軍の数が少ないですね」


「ソーラ・レイで三割か四割の連邦艦隊を潰せたのが大きいねぇ」


「これなら、敵を追い返すことも可能ですね」


「追い返せなかったら、イオンの負けだよ」


「それもそうですね」


「さて、我らが総帥の、ありがたいお言葉でも拝聴するとしますかねぇ」






『我が忠勇なるイオン軍兵士達よ。今や地球連邦軍艦隊の半数が我がソーラ・レイによって宇宙に消えた。

この輝きこそが、我らイオンの正義の証である!

決定的打撃を受けた地球連邦軍にいかほどの戦力が残っていようと、それはすでに形骸である!

あえて言おう、カスであると!

それら軟弱の集団が、このコ・ホコウ・クーを抜くことはできないと私は断言する!

人類は、我ら選ばれた優良種たる、イオン国国民に管理、運営されてはじめて永久に生き延びることができるのだ!

これ以上戦いつづけては、人類そのものの危機である。地球連邦の無能なる者どもに思い知らせてやらねばならん。

今こそ人類は、明日の未来に向かって立たねばならぬ時である!』



『『『ジーク・イオン! ジーク・イオン! ジーク・イオン!』』』




 うん、やっぱアドルフにはカリスマがあるわ。扇動者としては、ヒトラーの尻尾の面目躍如だね!

 おなじ事を私が言ったとしても、さまにならないのが良く分かる演説だわ。


 うん、軟弱な連邦がコ・ホコウ・クーを抜くことなど不可能であると、私は断言するのであります。


 というか、私がこの前パクった台詞を本家のアドルフがパクリなおして、本当にカスって演説に入れたのね……






「メドゥーサ04より06へ。ハヤテ心配しないで私の後ろから付いてこれば大丈夫だからね」


「こちら06、了解!」


「マリア隊長。ちょっとその新入りに過保護がすぎませんか」


「ふふ、レイチェル少尉が心配するのも分かるけど、ハヤテ特務曹長は私の動きに付いてこれる実力があるって意味なのよ」



 物は言いようなのです。確かに指摘されたように過保護なのかも知れませんね。でも、ハヤテは久々の実戦なんだし、連邦が相手は初めてだからね。



「は、はぁ。確かに悔しいですけど、私では隊長の全力には付いて行けないのは事実ですけど……」


「ちゃんと小隊単位で行動するから、レイチェル少尉も心配しないでも大丈夫よ」


「行動してくれないと私が困りますよ」



 小隊や中隊単位で行動をする時の私は、実力の半分程度の機体操作に抑えて行動しているのだ。そうしないと私だけが突出してしまうのです。

 まあ、突出して敵中に孤立してしまっても、大抵の場合は私一人でも切り抜けられるんですけどね。



「僕もレイチェル少尉に迷惑を掛けないように頑張ります!」


「新入り君、頼みましたよ!」


「ハヤテはそう気張らなくてもいいのよ。まずは実戦の空気を感じることが大切なんだから」


「空気を感じる……か」


「やっぱり、マリア特務大尉殿は甘やかしてますね」



 なんだか、レイチェル少尉の言葉に棘を感じるのは気のせいかな? 普段の彼女は特務大尉殿なんて言わないもんね。うーん、わからん。



「多少の自覚はありますよっと、05、06。無駄なお喋りはここまでよ! 敵がくるわよ!」


「「了解!」」




 私たちは、エクレア中尉と組んでいた時とおなじように、着実に順調に敵を屠って敵戦力を削っていく。ハヤテが違和感なく小隊と行動できているのは、凄いとしかいいようがありません。

 これがハヤテの資質ってことなのね。さすがは、ネオヒューマンですね。



「水色のゲム? 新型のスナイパーか!」


「05から04へ。データ照合、ラウム6でサイクロプス隊が交戦した新型です」


「04了解した。アイツはヤバそうだから早めに墜としておくよ! ハヤテ、付いてこれるわね!」


「06、ハヤテ行けます!」



 そこは、『ハヤテ行きまーす!』じゃないの?


 私は邪なことを考えながらも、ビームマシンガンの引き鉄を弾いていた。その直後に一機の水色のゲムスナイパーⅡが爆散した。周囲で見える範囲の水色は残り7機。

 ギャンキャノンの量産型も4機います。おっと、水色のゲムが6機に減ったか。あれを殺ったのはシーマ様みたいですね。さすがです!



「こちらメドゥーサ05。メドゥーサ12、フクドメ軍曹の信号ロスト!」


「シュバインッ! さすがにこっちも無傷とは行かないってことね。そこっ!」



 視界の隅で見えた友軍機の爆発がそうだったみたいです。相変わらず04小隊の損害は多いですね。ちゃんとお祓いしたのかな?

 しかし、混戦でもレイチェル少尉は冷静ですね。やっぱり彼女は指揮官向きですね。今度、小隊長変わってもらおうかしら?



「僕だって、僕だってやれるとこを見せるんだ!」


「ハヤテ落ち着きなさい。あなたならできるわ」



 ちょっと気負っていますけど、こればかりは場慣れが必要なことだから、私がどうこうできる問題でもありませんね。ハヤテ、頑張って。

 って、おう、命中! さすがはハヤテです。



「さすがは隊長が無理矢理にでも、捻じ込んできただけの事はありましたね。ハヤテ特務曹長、親衛隊第一独立遊撃艦隊へようこそ!」


「あ、ありがとうございます?」


「あはは、ハヤテそこは、よろしくお願いしますじゃないのかな?」



 レイチェル少尉もハヤテがゲムスナイパーⅡを撃墜したのを見て、我々の仲間って認めてくれたみたいだね。

 さて、それでは私もハヤテに負けないように、いっちょ頑張って敵機を墜としますかね!




「いくら新型だろうが、」



 私は残りのゲムスナイパーⅡに優先的に狙いを付けて、ビームマシンガンを一連射していく。



「中の人間が扱い切れなければ、」



 慣熟訓練も済ませずに出撃してくるから、



「ただのゲムと変わりはありません!」



 ただの的に成り果てて撃墜されるのです。



「す、凄い。これが宇宙の魔女の実力……」


「ハヤテ、そこはせめて宇宙の蝶って言って欲しかったなぁ」



 まあ、最近では宇宙の魔女って二つ名も案外と気に入っちゃってるのは内緒です。これで、残りのゲムスナイパーⅡは一機のみ。

 っと、レイチェル少尉が墜としました。これで、目下の脅威はかなり減少した感じですね。



『そ、そんな、新型のゲムスナイパーⅡが何も出来ないで、鴨打ちされるだなんて……』


『俺たちは最悪なフィ-ルドに回されたようだな……』


『ど、どういう事だってばよ!』


『あの薄紫色の機体は宇宙の魔女に違いない! 味方のいるフィールドに逃げ込むぞ!』



 動揺してオープンチャンネルで喋ってますよ? 恥ずかしいですから私も気を付けないといけませんね。

 それと、甘いです。私が目を付けたのならば、私からは逃れられないという事を教えて差しあげます。



「残りの赤いキャノン付きを殺ったら、隣の区域に移動するよ!」


「06、了解!」


「05、了解しました」



「戦場で敵に背を向けて逃げ出すなど、」



 私たちは、逃げるギャンキャノンに向けて照準を合わせて発砲した。



「殺してくれって言ってるようなものです!」



 うん、サクっと敵の撃墜して任務完了。ハヤテとレイチェル少尉もそれぞれ一機づつ仕留めたね。


 その時、近くにいたリックダムが爆散したのが目に入った。



「どこだ!」



 瞬時に発砲してきたビームライフルの方向を見定めて、私は目を見開いた。



「いた! 斜め上2時の方向! 05、06予定を変更する。あの二機を殺るよ!」



 量産化されていたのか? いや、試作機の少数のうちの二機だと信じたい。



「あの機体は!」


「ラウム7以外でも作っていたんだ」


「私は運がいい」



 この場合は運が悪いのかな? もちろん、運が悪いのは私と出会ってしまったギャンバインさんですけどね!

 白と赤のツートンのギャンバインと、白と青のツートンのギャンバイン。4号機と5号機だったかしら? まあ、試作機だろうと量産機だろうと、私の目の前に立ち塞がるのならば、



「敵は排除するのみ!」



 私は二機のギャンバインに向かってバーニアを吹かして突貫する。とりあえず、ハヤテとレイチェル少尉には様子見をしてもらいましょうかね。



「相手の実力が未知数だから、二人は援護に徹してちょうだい」


「05了解!」


「マリア一人で、あのギャンバイン二機を相手にするのか?」


「ハヤテ特務曹長、マリア隊長を信じなさい。ああ見えても彼女は強いのですから大丈夫でしょう」



 ああ見えてもって、普段の私がどう見えているのか気になりますね。深窓の令嬢でしょうか? 一応は、お嬢さまには分類されているみたいですけど。

 私の感覚では、お嬢さまという実感は湧きませんね。



「ハヤテ、レイチェル少尉の言う通りよ。私を信じなさい」


「わ、分かったじゃなくて、06了解しました!」



 ハヤテは、もうちょっと反発するかと思ったけど以外と素直ですね。ふふ、素直な子は好きですよ。


 さあ、まずは小手調べと行きますか。


 って!?



「あふぅ」


「04、隊長どうしましたか?」


「垂れてきちゃった」


「た、たれるとは?」


「昨夜のハヤテの残りが中から垂れてきちゃったの……」



 うん、これはこれで、残り香を感じられていいかも知れませんね。


 といいいますか、オムツをしている時で良かった。これが、ノーマルスーツを着用してない時だったら大惨事になっていたかも?

 そう、煌びやかなモックス同士の戦闘を格好良く繰り広げている連中の大半は、オムツを穿いて戦っているのです。


 あの憧れのエースパイロットたちもオムツを穿いているのです!


 驚いたでしょ? でも、人間は作戦行動中でも尿意は感じるものなのです。我慢なんかしたら判断力が鈍りますしね。

 そこで、オムツにシャーですよ。これでスッキリして戦えるのです。



「ハヤテ特務曹長、短い付き合いだったわね」



 そう言って、レイチェル少尉がハヤテのガリバルディに銃口を向けた。



「ちょ、ちょっとレイチェル少尉、冗談でも味方に銃口を向けるのは禁止ですよ!」


「あら、私としましたことが、つい。オホホホホ」


「ビ、ビックリしましたよ。まあ、殺意は感じられませんでしたから良いですけど」


「ハヤテ特務曹長は帰還したら、私と一緒に腕立て、腹筋、スクワット、各千回づつの刑で許します」



 うん、レイチェル少尉を怒らすのは止めておこう。一つ勉強になりました。


 ハヤテ、頑張って生きるんだ!



いいサブタイが思い付かなかったよ…(´・ω・`)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ