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9話 マリアの給料


「どうしたんだい、これ?」


「その毛皮ですか? それは、シーマさんの熱烈なファンの人からの贈り物ですよ」


「私のファン? マリアのファンじゃなくて?」


「はい、テダさんという方がシーマさんのインタビューを見て贈ってくれました」


「ここで受けたインタビューのヤツかい。しかし、これは本物の虎かい?」


「はい。ホワイトタイガーというみたいです。私も初めて見ました」


「この毛皮だけで楽に高級車が買える値段だろうに、なんでまた、こんなに高い物を贈ってくるのやら……」


「彼は、シーマ様に叱られ隊のメンバーですので、下僕としてシーマ様の司令の椅子が質素すぎるのが許せなかったのでしょう」


「叱られ隊…… 頭が痛くなってきたわ……」


「派生で、シーマ様に罵られ隊というのもあるそうです」



 ちなみに私は、シーマ様の乳揉み隊、私限定の隊の隊長です。内緒ですけどね。



「本気でイオンの将来が心配になるねぇ」


「彼らは特殊な性癖があるだけで、普段は一般人よりも有能な公国民ですよ? では、シーマ様、彼にお言葉を掛けてあげて下さい」



 携帯端末をシーマ様に向けて、さん、にい、いち、きゅ~



「はぇ~、仕方ないねぇ」


「もう録画してますよ」


「こんな高いモン買う銭があるなら、ビームライフルの小型化に日夜懸命に励んでいる技術者に、差し入れの一つでもしておやり!」


「ありがとうございました。これで彼はあと10年は無償で働けるでしょう」


「今度またインタビューがあったとしても、恥ずかしくて此処では受けれないねぇ」



 そう言って、まんざらでもなさそうにホワイトタイガーの毛皮を撫でながら、ため息を吐くシーマ様も素敵ですね!






 SC 179.07



「降伏しろ! 降伏するならば、グリーンランド条約に則り、捕虜としての待遇を保障する」



 私は現在、アムンゼンの艦橋にいます? 艦橋を脅していますが正解かな?


 なんで、こんな物騒なことをしているのかというと、ここはイオンの庭先なんですよね。

 ラウム3宙域の入口に、連邦軍の強行偵察部隊がやってきたというわけです。


 それで、たまたま付近の宙域で訓練していた、私たちシーマ艦隊が現場に急行して、ヴァスコダガマ二隻と魚の群れを屠って、旗艦のアムンゼンを丸裸にしてお話しをしているのです。



『こ、子供だと!? 魔女は魔女っ子だったのか……』



 銃を突き付けられているのに、ずいぶんと余裕ですよね。すぐに魔女っ子って反応できるあたり、連邦の司令はロリコンの気がありそうですね。

 このまま撃沈しちゃおっかな?


 というか、魔女って私か? 魔女とはなんだ! 魔女とは!



「うん、ギルティ。アディオス」


『ちょっおまっうぇ』



 軽い司令だな~。こいつ、絶対にネット掲示板中毒者だな。うん、私には分かります。



『司令、落ち着いて下さい。確かに"コスモスの魔女"は女の子みたいですけど、そんなことを言っている場合ではありませんよ。彼女怒っちゃいましたよ』


「聞こえていますよ? 魔女とは失礼しちゃいますね! こう見えてもイオンでは、"コスモスの蝶"って呼ばれているのです!」



 私の愛機、MOx-06R-2S高機動型ゼナⅡ後期型マリア専用機は、パーソナルカラーが薄紫のコスモス色なので、イオン国民からは"コスモスの蝶"の愛称を付けられているのです。

 私の戦闘シーンが、宇宙を優雅に舞う蝶のように、見えるところから付けられた二つ名ですね。華麗なる私にピッタリな愛称を、連邦の連中は、あろうことか、"コスモスの魔女"なんて名前を付けるだなんて、無礼千万です。ぷんぷん!


 他に二つ名が付いてる人はというと、原作で付いていた人は、当たり前ですけど原作通りの二つ名が付いてますね。


 面白いところでは、


 まぐれ当たりの一発屋 エクレア・ガトウィック。戦績はディアソン提督の旗艦撃沈だけです。汚名挽回ですよ? 挽回!

 突貫小僧 ルーデル。魔王と呼ばれるには、まだ戦績が足らないみたいですね。


 宇宙(そら)のセイレーン クリス・アルフォンス。みんな、『ラ、ラ』とか聞こえるのかな? 私には聞こえないですけどね。

 クリスだから『、ク、ク』だったら、締まりがない気がするけど。あ、セイレーンは、そのうちコールサインなる予感がしますね。


 ちなみに、コスモスは、花のコスモスと宇宙を掛けている言葉遊びですね。綴りはどちらも同じcosmosみたいですよ?



『それは失礼した。それで、コスモスの蝶さん。降伏するのを協議するので時間が欲しいのだが?』


「30秒だけ待ってあげる。1秒でも越えたら撃沈します。それだけあればメインエンジンを止めれるでしょ?」



 司令がドモリだから、副官が表に出てきたわけね。



『短すぎだ! 考える時間が欲しい!』


「ダメよ。時間をあげたらレーザー通信でデータを送るとか、反撃するとか、逃げる算段を付けるとかするでしょ? あと18秒ですよ」


『むむむ……』



 なにが、「むむむ」だ。貴様の生殺与奪権は私が握っているのを、どうやら忘れているようですね。



「じゅ~う、きゅ~う…… ご~ぉ~、よ~ん」


『わ、分かった降伏する! グリーンランド条約に則った処遇を要求する』


「了解した。直ぐに監視要員を送るので、指示に従って無駄な抵抗はしないように。抵抗した場合と少しでもおかしな行動をした場合には、無条件で撃沈する」


『了解した。せめて水くらいはサービスさせてもらうよ』


「メードインジャパンのでしたら、私もいただきたいわ」


『残念ながら、アフリカ産だよ、お嬢さま』


「あら、それは残念でした」



 これで、アムンゼン一隻ゲットです! 貧乏なイオンにとっては大きい戦果ですね。これでお小遣い増えるかなー?


 ちなみに私の給料は、諸々の手当を入れてここ最近の手取りは、月平均で7500イオン$です。前世の感覚でいえば約75万円ってところですかね?

 開戦して昇進して3倍以上に増えました! これが多いのか少ないのかの判断は微妙なところですが。まあ、給料が増えた分以上に危険と隣り合わせなんですけどね。


 平時の特務少尉の時代は、月に2000$もなかったのですから、戦争万歳です!

 でも、平時に戻れば手当は激減して、また薄給に逆戻りですグスン。それでも、子供には大金なんですけどね。ヘス家の親戚でも給料に特別扱いはないみたいです。


 独裁国家のクセに、変なところで清廉潔白にならなくてもいいのに!

 自分たちは贅沢をしているというのにね。アレらの源泉は裏金なのか? 賄賂なのか? そうなのか? うん、そうに違いない!


 むむ、ブルジョワめ! 革命の準備は整った。立てよ国民! 僻みを怒りに変えて立てよ国民!


 いかんいかん、被害妄想に憑りつかれるところでした。


 それはそうと、私の財布はお姉ちゃんに握られています。こんな時代ですから、お小遣いを除いた給料の半分を、せっせとプラチナやゴールドに変えているみたいですね。

 もう半分は、イオニック社やスィマッド社の株を買っているみたいです。


 お姉ちゃんはしっかりしていますね! けど、アドルフ総帥の第一秘書兼内縁の妻が、自国の通貨を信用していないって、そこんとこどうなのよ?


 これは、あれかな? お姉ちゃん自身は、ヘス家の母になる人だけれども、私はあくまでも外縁だから、万が一の時の為に保険を掛けてくれてるのかな?

 そう考えると、お姉ちゃんのバランス感覚は凄いのかも知れない。禿げのデリーズみたいに盲信してないしね。


 そういえば、暫定主力機選定のコンペは予想通りに、MOX-09Rリックダムに決まったそうです。

 まあ、あの値段では仕方ないよね? リックダムが2機は買えちゃう値段でしたから。戦いは数を揃えるのが基本ですし、一般兵では性能を持て余しますしね。


 さて、私はお小遣いを増やす為に、これからも連邦の偵察部隊を狩るのに精を出しますか!



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