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結幕
@舞台袖
語り部「一難去って、また一難。この交代劇は、まだまだ続きそうです」
――語り部、本から顔を上げる。
語り部「オッと。これは、春の女王様。ご機嫌麗しゅう」
春の女王様「御機嫌よう。わたしの出番は、これだけなの?」
語り部「ハァ。今回は冬の童話ですから、何卒ご了承願います」
春の女王様「そう。それじゃあ、また今度の機会に期待するわね」
語り部「それにしてましても、春の女王様は何ゆえに塔を訪れないのですか?」
春の女王様「簡単な話よ。おおかた、塔で困ったことになってるんでしょうけど、冬子がクールビューティーを装いたい性分なのは知ってますから、あえて手助けしないで待っているのよ」
語り部「なるほど、お見通しでしたか。さてさて、この国に春が訪れるのは、もう少し先になりそうです。つづく」
――語り部、本を閉じる。