第二幕
@塔
――王様、塔の外から呼びかける。
王様「冬の女王よ。汝は、何ゆえに塔に閉じこもるのか。国の民は疲弊し、朕も困惑を隠せないでいるのじゃぞ。どうか、春の女王と代わるのだ」
――冬の女王様、窓辺から部屋に戻る。
冬の女王様「わたしだって、好きで塔を離れないでいる訳ではないわよ。あぁあ、困ったわ。どうして、こうなったのかしら?」
姿見「日頃の行いでございましょう」
冬の女王様「えぇ、えぇ。どうせ昔から、わたしは出来の悪い末娘だったわよ。ウワァン」
姿見「お気持ちはお察しいたしますが、そのようにベッドの上でクッションに顔をうずめて、おみ足をパタパタと動かすものではありません。埃が立ちますし、お行儀が悪いことでございますよ、冬子様」
冬の女王様「フン。鉄とガラスで出来たあなたには、たとえ千年かかったって、わたしの劣等感はわからないわよ」
姿見「そう、コンプレックスに思うことないのではございませんか? 冬子様には、冬子様にしかない魅力がございます」
冬の女王様「お世辞は結構よ。春子お姉様には、優しい心。夏子お姉様には、美しい身体。秋子お姉様には、賢い頭。それに比べて、わたしには何も取り柄が無い。これは、厳然とした事実なんだから」
姿見「塔に閉じ篭もっているせいで、日光を充分に浴びられず、いささか憂鬱になっているようでございますね。しかし、問題を先送りにするわけにはいかないところでございますよ」
冬の女王様「あぁ、もう、うるさいわね。考え中なのよ」
姿見「それは、申し訳ないことでございました」
冬の女王様「どこに置き忘れたのかしら。あの鍵が無いと、春子お姉様に引き継げないのに」
姿見「以前より私は、お教えいたしますと申し上げているではございませんか。何が気に食わないのでございますか?」
冬の女王様「自力で解決したいのよ。だって、あなたに借りを作ったら、あとの三人に何て言い触らされるかわからないもの。そんなのプライドが許せないわ。もう一回、塔の中を探してこようっと」
――冬の女王様、ランプを持って部屋を出る。
姿見「やれやれ。私を何だとお思いになっているか、いささか気になるところでございますねぇ」




