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自閉  作者: クレヨン
4/13

4

 陽子は、事務室に来た。

 ここからは、介護士とそれ以外の家族が分かれてのミーティングになる。

 介護士達は、士郎や一などは居候達の食事の手伝いとなるためで、あの「あさの会」がミーティングになる。

 陽子は二度もミーティングをすることに、違和感があるがこれがここでの決まりと割り切った。

 事務室内には、陽子の他に、美玲、笑子、そして夜勤明けの水野に、同じく夜勤明けの 黒井 繁 と言う介護士二名、そして看護士で夜勤明けになる 市川 麻奈美の五名が今回のメンバーだ。 

 「やっと来た、さっさと始めてよ。わたし、帰れないじゃないの。」

 待ちくたびれたように、麻奈美は言った。

 麻奈美は美玲と同じく、掘りの深い顔立ちで鼻筋のたかい女であるが、美玲より鼻につく所があり、少々自尊心が高い。

 「まあ、そう言いなさんなって」

 麻奈美を宥めたのは、繁だった。

 介護士の中では、水野の次に若い青年なのだが、物怖じのない性格でよく家族ともめ事を起こすのだか、竹を割った性格は憎めない。

 「揃ったわね。さっさと、終わらせるよ」

 笑子は、鼻息あらく言った。

 


 ミーティングは淡々と進んだ。

 正徳のあさの会と比べ物にならないくらいだ。

 これが普通なんだけど……

 陽子は、思う。

 普通のミーティングは、終わりに近づいた時、笑子が「あっ、そうそう」と言った。

 そして、こう切り出した。

 「あのポスト、明後日には撤去するから、ようやく郵便局から連絡があったそうよ」

 ポストか……

 陽子は、思った。

 ここに来た時は、最悪の出来事から始まった。

 全ては、ポストと士郎と赤の仕業で、将太のあれがあってのことだ。

 「将太君、大丈夫ですか?」

 水野は、質問する。

 「水野、お前がヘマしなかったら、何とかなる」

 応えたのは、繁だった。 

 コイツも水野か……

 陽子は、思った。

 「だいたい、陽子がここに来た時の一件も、お前がしっかり将太を見張っていればなかったんだ!」

 繁は、追い討ちをかける。

 水野は、無言でうつむいていた。

 しかし、ただうつむいているだけで、反省しているかはわからない。

 そんな感じに見える。

 「繁、止めな、速く終われないだろ!」

 麻奈美は、髪をかき上げながら、繁に言った。茶髪と所々金髪に色を付けた長髪は、まるでどこぞの風俗嬢のようだ。

 こんな奴が、よく勤まるわね……

 陽子は、いつも思う。

 「そこまで、繁クンも麻奈美チャンも」

 美玲は、二人を諭す。

 「水野さん、アナタも仕事に誇りを持ちなさい」

 そして、説教も美玲はした。

 「ハイハイ、もう終わりにするよ!わたしゃ腹減った」

 笑子はそう言うと、ミーティングを解散させて、机の上に置いてある羊羹を食べ出した。

 それを見ていた、他メンバーは最後に同じ意見を心にしまい込んで、苦笑しながら部屋を出た。

 



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