猿、危うきに近寄らず
「とりあえず、説明は後!!マサトは東通りの方へ向かったわ!!」
「ヨッシャ!!しっかり掴まってろよ?」
タツヤは低く腰を落とすと、足下の空気が震えた、かと思うと次の瞬間、物凄い勢いで宙を舞った。
« ヒューーーー・・・・ルルル・・ゴパァンッ!! »
彼も、まるで自分の能力を知っているかのように簡単にやってのけた!!
アスカも、振り落とされないように必死に、タツヤの肩にしがみついていた。
二人が居る場所まで、そう時間はかからないだろう・・・
─────東通り
« ヒュッ!!・ヒュッ!!・ヒュパッ!! »
マサトの武器【独鈷】の激しい動きで、周りの空気から風切り音が聞こえる!
アジュラめがけて、六本の武器【独鈷】が猛スピードで飛んできた!
« ボッ!!・ボッ!!・ボボッ!! »
【独鈷】の攻撃の嵐!!
アジュラがよける度に、空気の壁を破る音が響く!!
ヤツも、見た目の猿の特徴を生かし、その図体とは裏腹に、身体的能力をフルに使って、全ての【独鈷】の攻撃を上手く避けていた!
だが・・・・・
(───ッツ!このままでは不利だ!!我の方が先に詰まれてしまう!!)
余談だが、アジュラが先程取っていた人質の男は、役に立たなかったので、歩道の植木の中に放り込んでいた。人質の男は何とか助かったが、腰が抜けてしまい動けなかったので、そのまま戦闘を観戦する結果となった。
マサトは、【独鈷】を自在に操りつつ、攻撃の手を一切緩めなかった。
アジュラも必死に・・避ける!! 避ける!!!! 避ける!!!!!!!!
────!?【独鈷】のスピードが!!もう一段階上がった!!!!
「────なっ!!まだ速くなるのか!?」
« ドン! »
「!?───しまった!!」
マサトは遂に、アジュラをビルの壁へと追い詰めた!!!
« ──キーンー・・ »
六本の【独鈷】がヤツの目の前で、横一列に綺麗に並んだ。
「詰みだな・・・・」
「まっ!!!!・・待て!!取引を────」
「キサマらと交渉するつもりはない!!・・・死ね!!!!」
【独鈷】の刃先から円形状の光の陣が展開したその時。
─────────!?
─────────空から声が聞こえる。
「─────・・・めーー・・・─────・・こお・・・
─────・・の猿ヤローーーーー!!!!」
« ズン!! »
オーガスーツを身に纏ったタツヤが、二人の目の前に落ちてきた!?
両足で旨く着地!すぐさま拳を握り、大きく振りかぶて・・・
アジュラを殴った!!!!
« ドッ!ゴオオーー! »
鳩尾めがけて拳が入り、アジュラの身体がくの字に曲がる!!
すかさず、第二撃目を降りてきた顔面めがけて、力いっぱい拳を放つ!!
「オオオオオオーーー!ウウウラァーーーーーー!!」
« ゴッシャァーーー・・・・バコオオーーーーー!! »
ヤツの身体が、後ろのビルの壁にめり込んだかと思えば、そのまま壁を突き破った!!!!
タツヤ、自身の目的をここに達成!!
(オーガスーツ・・・・まさか!? アイツか? 〝黒屍〟が選んだのか?)
「ハハーーッ!!どーだ猿ヤロー!!追いついたぜこのヤロウーー!! へへッ!!」
「・・・・・・・・」
「ああっ!!テメーさっきの青いヤツじゃねーか(怒)!!」
「・・・・・うるさい・・・・邪魔だ。」
「ほおー??(怒)テメーよくもそんな口が利けるもんだ(怒)コッチはテメーが見捨ててくれたおかげで地獄から舞い戻ってこれたぜ?・・ホンットどうもありがと(怒)!!」
「・・・・・礼には及ばん・・・・そのまま死んでくれれば、なおよかったよ。」
«ブチッ!!(怒)»
「ほっ・・ほおー!?(怒)なるほど、テメー喧嘩売ってるんだな?そうなんだな?・・・(怒)じょーとおーじゃねーかー!?(怒)このスカシやろうーー!!!!(怒)」
「・・・・・うるさい・・どけ・・邪魔だ!!もう一度死んでこい。」
«ブチッ!!(怒)(怒)(怒)»
「チョット!!二人ともやめなさいよ!!そんなことしている場合じゃないでしょ?!!」
少し離れた場所から、アスカが大声で仲裁に入った。
「だけどよ! こいつが!・・・」
「・・・・・・・キサマ。」
「ああ!?(怒)」
「アイツが・・・いまので倒せたと、思っているのか?」
「──!? あぁーー ホラ、起きあがってこねーだろ?めえいっぱい殴ってやったからな…へへ!!」
「フフ・・・だそうだ! 死んだフリが上手いな!アジュラ!!」
──────!?!?
壁の瓦礫から、アジュラが起き上がってきた!!
しかも・・・全くの無傷!!!!!!
「クカカカカカッ!! やはり気付いておったか!〝鬼人〟よ!」
「──────なっ!?」
「・・・・・・フン。」
タツヤは別に、自分の力を過大評価しているつもりはなかった。
たとえ、オーガスーツの力を手に入れたとしても、いきなり倒す事が出来ると思うほど、愚かではなかった。
だがオーガスーツの力で、あれだけめえいっぱい殴ったのだ、少しはダメージを受けているだろう、壁を突き破るほど倒れたのだ無事ではすまなかっただろうと・・そう思っていた。
タツヤの身体を修復して魅せた、あの再生能力!!
空を飛んでいるのかと思わせるほどの跳躍力!!
このスーツには戦う力が充分にあるはずだ!・・そう思っていた。
だからこそ、アジュラが全くの無傷で、ノーダメージだということに、驚きを隠せない。
「・・・・マジか・・・・こりゃあ・・結構へこむぜ…」
(・・・やっぱり!)
(・・・やはり!)
(・・・こいつは知らないんだ!)
(・・・こいつは知らぬのだな!)
(( 辞力のことを!!!! ))
オーガスーツ・モデル【天斬】
<特徴>
(全身赤色。地面につくほどの長いコート。コートの下は金属製のプロテクターが全身を覆っている。メットのデザインが【蒼天】とは若干異なる。
〝黒屍〟と契約し、力を発動させると装着できるアーマードスーツ(パワードスーツ)普通の人間の身体能力を軽く超えているが、別の〝ある能力〟を使わないと、真の力を発揮できない。)
<主要武器>
???
オーガスーツ・モデル【蒼天】
<特徴>
(全身青色。地面につくほどの長いコート【天斬】とは違い、前は常にしまっている。コートの下は金属製のプロテクターが全身を覆っている。メットのデザインが【天斬】とは若干異なる。)
<主要武器>
(独鈷・法具)
アジュラに捕まっていた若者
(人質)
・助かった彼は、無事彼女と再開する事が出来て喜んだが物凄く怒られたらしい。今後、バカなまねは絶対にしないことを誓った。