鬼が笑う
登場人物
青島理人【アオシママサト】
高校三年18才・身長170㌢
〝黒屍〟の契約者
性格
・他人に対して非常に冷たい。
・目的の為には手段を選ばない。
アジュラ
閻王の眷属の一人
今はまだ謎に包まれている。
一応、人語は話せるようだ。
オーガスーツ
ogresuit
モデル・【蒼天】
〝黒屍〟の力を発動させると装着できる、
アーマードスーツ。
主要武器・独鈷とよばれる法具で、
20㌢ほどの柄の両先端から10㌢ほどの両刃が出ている。
これを自由自在に操ることが出来るが、六本までしか発動できない。
〝大猿〟は、凄まじい速さでビルとビルの間を縫っていった!
跳躍が、軽く人間のそれを超えていた。
高層ビルが建ち並ぶ町の中心部、ヤツがビルに飛び移る度に、窓ガラスが割れて破片が飛び散っていた!
下を歩いている通行人が、悲鳴をあげながら逃げ惑う。
ヤツの姿を捉えることが出来る人がだれもおらず、人々は何が起きたのか?さえ、解らないでいた。
(クソッ!!まさかこんなにも早く追いついてくるとは・・・・・ヤツらを侮っていた。だが、このまま行けば上手く退却出来るであろう。)
〝大猿〟の名は【アジュラ】という
安堵の表情を浮かべたアジュラにめがけて、何かが飛んできた!
« ヒュッ!!ヒュッ!!ヒュンッ!! »
風切り音を出しながら猛スピードで、飛んできた!
«ピクッ!!»アジュラも気付いて、ビルに飛び移った瞬間に回避した。
飛んできた〝何か〟は、そのままビルに突き刺さった!!
« ガシュッ!!バコッ!! »
それは、独鈷【どっこ】と呼ばれる法具であった。
若干、デザインは違うが、ほぼそれと見て取れる。
アジュラはその飛んできた物体を確認した後、また別のビルに飛び移り、斜めにぶら下がり、止まった。
辺りを見回していると、突き刺さった独鈷が独りでにユラユラと動き始め、
下の道路の中心を歩いている人物の元へと、戻っていった。
「クククククッ・・・・・やはり、おぬしか。はやかったの~~?」
マサトが追いついていた!
先回りしてアジュラを待ちかまえていたのだ。ゆっくりと歩を進め近づく・・・・・
「・・・逃がしはしない!!」
マサトの鋭い眼光がヤツを捉えた!!
すると、アジュラは«ニヤ~»と不気味な笑い顔をうかべて、ビルから手を離した。
« ビフュァッゴッ! »
物凄い勢いでアスファルトへ衝突して来た« ゴパァッ!! »
重力とヤツの体重も重なって道路のアスファルトが1㍍以上陥没し、ヤツを中心に円形のアミダ目のようなヒビが入り、アスファルトの中の土や砂が噴き出してきた!
やはりデカい!!
マサトと比較すればするほど、その巨大さと凄まじさが周りの通行人の恐怖を煽った。
アジュラも、マサトに対して鋼鉄の胸板を交互に叩き威嚇した!
だがマサトは、そんなプレッシャーなど、まるで感じていないかのように、構わず歩みを続けた。
訳が分からない通行人(街)、一様に興味をしめす。
「おい!・・これさっきネットで言ってたヘンな化けもんじゃねーか?向こうの駅の爆発の奴!」
「えっ?これ、なんかの撮影だろ?」
「チョット!!・・にげよ?・・ヤバイよゼッタイ!!」
「ぜってーそうだって!ーーアイツなんか観て観ろよ~戦隊モノのヒーローみたいな格好してんだぜ?ウケる~」
ある程度近づいたところで、マサトが歩を止めた。
アジュラの間合い一歩手前だった。
アジュラも焦っていた。
なんといってもあれだけ全速で、飛び逃げていたのに、簡単に追いつかれてしまったことは、充分に警戒に値した!
二人に緊張が走る・・・・・・
« パシャ!!・・・ピロリーン!・・»
────────────!?!?
「なぁーアンタら、どこのテレビ局の撮影?カメラどこなの?ってゆうかめっちゃリアルだねそのきぐるみーー写メとって大丈夫?」
« パシャ!!・・・ピロリーン! »
「チョッ・・チョット!!やめなよ~。あぶないよ~。」
「だいじょぶだって!!」
「・・・・な・・・なーんだ。撮影かあ~ビックリしたー!」
「ホントーなんかリアルー」
周りの野次馬などに、二人は全く居に返さず、相手の隙をつく機会を伺っている・・・・
一人の男が、不用意にもアジュラに近づいてしまった。
すると、アジュラはその大きな手を使って、すさまじい早さで男の身体を掴んだ!!
「うぅあぁ~~んなにすんだよ~~訴えるぞ~~」
«ニヤ~!!»不気味な笑い顔を浮かべてマサトの方を見た。
「クカカカカカカッ!!・・我は知っているぞ!〝鬼人〟よ。おぬしら人類種に対してはこの方が与し易いということはのう~~?クカカカカカカッ!!」
「・・・・・・・・・」
「うあっ!?──・・あっ!!いてっ!!イテテテテー、イてえ!イテーーー!!!!た・・たすけて~~うがあーーーーー!!!!」
周りの野次馬は、男の悲鳴でやっと、ことの重大さを理解したのか、一斉に逃げ出した!!
アジュラにとっては、この男を握り潰す事など造作もなかったが、あえて人質を取ることによって、マサトを精神的に追い詰め、下手に手出しが出来ないようにしたつもりだった・・・・
「クカカカカカカッ!!ほれ~ほぉ~れ~。手も足も出まい?この人間を助けたかったら、無駄な策略はせぬことだ。ささっと去ね!!クカカカカカカッ!!」
「ヒィィィーーーーーー!!たたっ・・助けてくれ~~~。」
「クカカカカカカッ!!」
「・・・・・・・・・・はぁ~~~・・好きにしろ。」
「──────は?」
「・・・・・・好きにしろと言っている。」
「なっ!?ばかな!?・・・おぬしらと同じ種族ではないか!見捨てるというのか!?」
「フッフフフ!────フハハ!───ハハハハッ!!ハハハハハハハハッ!!」
「────!?なにがおかしい!!」
アジュラにとっては誤算だった。
人間のことは多少知っていても、〝青島理人〟という人間のことについては理解していなかった。
マサトからは、意外な言葉が・・・・
いや、マサトの性格から考えると、ごく自然で当たり前の返答が返ってきた。
「ハハハハハッ───ハアー・・・勘違いするな。僕はそいつらのこと、同じ人種などと思ったことは一度もない!たとえ同じだとしても、他のヤツがどうなろうと知ったことではない!!」
「──────なんと!?」
「僕は・・たとえどんなことがあろうと、〝お前たち〟を滅ぼすまでは決して立ち止まったりしない!!邪魔するモノは全てこの手で排除してやる!!」
すると、マサトは持ち前の武器である独鈷を、コートの中から6本取り出し、
自分の左側から水平に、そして空中に浮かせて並べた!!
マサトは、この独鈷を自由自在に操ることが出来るのである。
二人は完全に戦闘態勢には行った!!!!