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red・hot・chilipepper ~クリムゾンオーガクロニクル~  作者: AKIRA
第一章 森羅辞典 篇
1/5

渡る世間は猿と鬼

今回初めて小説なる物を書いて、初めて投稿をさせていただきました。

誤字・脱字が多いかも知れませんが、暖かい目で読んでいただければ、幸いです。

是非ともご必読の程、宜しくお願い致します!!

ご意見・ご感想などもありましたらお願い致します!

今日は、赤神竜也【アカガミタツヤ】にとっては最悪の日となってしまったことだろう。

毎日のようにとはいかないまでも、出席日数が足りるぐらいには高校に通ってた・・・・

久し振りに今日は学校へ行くつもりだった。

電車に乗って、駅から降りたらすぐ近くの学校へ・・行くはずだった。





今、赤神竜也は〝死〟にかけている。



彼は駅のホームにいた。



だが・・・これは・・・・駅のホームと呼べるのだろうか?無残にも形を留めず瓦礫の山と化している。

いったいなにが起きたのだろう?

砂埃とも土煙ともとれるような粉塵が立ちこめているなかで、他の利用客と思われる人達も倒れている。

──!!? 赤黒い血のようなものが飛び散っている、周りの倒れている人達は生きているのか?死んでいるのか?すらも解らない。


「テロだぁ~うぁ・・・クソ~いて~よ~」


意識のある数名が声を発した。


「イヤァ・・・・誰か・・・た・・すけ・・て・・・・」


助けを求めるもの、もがき苦しむものの、声が聞こえる

何人かは生存者がいるのだろう、周りで人影が動き始めた。

粉塵も少し収まってきて、辺りが見渡せるようになってきた。



─────!!!!!??・・・・・・・

これは、ひどい・・・ここだけ空爆にでもあったかのような惨状になっている。


「うぅぅぅ・・・・だれ・・か・た・・す・けてぇ・・・・」


事が起こってからまだ5分とたっていない。

救急隊や消防隊を呼んだとしても、今しばらくは掛かるだろう。

生存者が一刻も早く助かることを切に願いたいものだ・・・・。




だが、赤神竜也は

救急隊がきたとしても助からないかもしれない・・いや、まだ生きているのが不思議なくらいだ。




彼の上半身は右側が肩から腕にかけてゴッソリと無くなってしまっている。

右肺は肋骨が突き刺さっているのだろう、旨く呼吸も出来なかった。

下腹部は皮膚が切れて内蔵が外へ飛び出している。

彼自身の血で周りは赤く染まっている。


ショック死していてもおかしくない・・・・



最も〝死〟に一番近い状態。


赤神竜也は少し意識があった。


(オレ・・は・・・・・・・・生き・・・てる?・・・・・いや・・・死ん・・・・でる?)

(あれ?・・・・オレ・・・なに・・して・・たん・・だっ・・け?)



自分の置かれている状況。

起きた出来事が把握できないことだろう、無理もない。

だが、少しずつ自分の人生の残り時間が少ないことをなんとなく理解した。


(あぁ・・・そうか・・・・もう・・・すぐ・・・オレ・・・・・・・死ぬのかな?・・・)


痛みはなかった。

変わりに無くなっている身体の右側半分が、とても寒かった。

身体の肩から腕にかけて右側半分が無くなっていることにはまだ気づいていない。

極度の睡魔におそわれた。

意識が遠退いていく。



(・・・・・・・・・・・・・?・・・・・・・・・・・・)



これから夢でも見るかのように、あることを思い出していた。


(そういやぁ・・・・・ばあちゃんが・・・・オレが・・ガキん時・・・よく・・・聞かせて・・・・きた・・・話が・・あったっけ?・)


(・・・・・桃太郎の話!)


(でもなぁ・・・・・なん・・で・・・だろな・・ばあちゃん・・の桃太郎の・・話・・他の・・桃太郎と・・・全然ちが・・・う。)

(あれ?・・・・・・・・・・・・オレ・・・・・・・なん・・で・・・こんなこと・・・・・おもい・・・・・だして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)





赤神竜也の魂の灯は消え─────────





« ゴシャ!!!!! »

大きな足音!?で、彼の拙い意識は呼び起こされた!


(なん・・だ・・よ)


横に、大きな影が見える。

人影?・・なんだ?


赤神竜也は、その影の頂上を完全に開ききらない目の端で何とかとらえようとした。

どうしても目が霞んでしまう・・・少し目を細めた。


もうすでに指一歩すらも動かせない!

そんな状況の彼を突き動かすものは、不可思議な好奇心!

そんな彼の孤独の頑張りがその姿を・・捉えた!


(──────!!??───はっ!?──なっ!?)


彼は驚いた!!! それはまるで見たことが有るような・・・ないような・・・その姿はまるで・・そう!あれはっ!!!!!



 ───────!?

(───────猿!?  )



いやいや・・・こんなところにいるわけがない!

そうだとしても、なんでここにいるんだ?

それに、〝猿〟だとしてもでかすぎる。

目測だけでも軽く、4~5メートルはある!

どちらかといえば・・・・ゴリラか?


どちらにしても目を疑うような容姿には違いない!

腕、足、背中から首回り、頭部にかけて、獣のそれである力強い毛で覆われている。


顔はどこかのマンガの〝大猿〟にそっくりだ。


だが、顔と胸部と手のひらの部分が通常の動物の表皮と違い、あれは多分、金属製の板?のようなものだと思うが・・・・・


だとしても、仮にヤツを〝生物〟とするのならば、呼吸の動きに合わせて、金属が縮小したりするなど、有り得ないはずだ!

全てが謎めいている。


化物?妖怪?怪物?宇宙人?


(─────なんなんだよこいつ!)


赤神竜也は頭の中が少しパニックったが

次の瞬間〝大猿〟?の顔が・・・・・・!?



« 二ィィィタァァァ~~~ »

そう聞こえた訳ではなかったが、感じずには入られなかった。

笑った・・・確かに笑った。

この惨状をみて。

おぞましい顔だちで・・・うれしそうに。

笑った。




赤神竜也は悟った。


(コイツだ・・・・コイツがやったんだ!)


この元駅だった場所を、どの様にしてこれだけ破壊したのかまでは解らなかったが、ヤツの笑い顔を見て確信が持てた。



〝大猿〟?は歓喜の咆哮をあげた!!


「ア"ァ"ギャギャギャギャギャーーーー!!!!」


「うぅぅぁぁぁーーなっ!なんだ!?こいつ!?」

「バッ、バケモノだーーー!!!くっ、くるなぁーーー!!!」

「キャーーーーーーーーッ!!イヤーーーーーーーー!!!」


生存者たちも〝大猿〟の存在に気付いた。

恐れおののき、阿鼻叫喚の状態だ。

〝大猿〟は、そんな人間たちの姿や表情を恍惚とした表情で楽しんで観ていた。

« 二ィィィタァァァ~~~ »

また、笑った。何度観てもおぞましく、いやらしいにやけ顔だ。




(・・・・・・畜生!・・アノヤロウ!!)


恐怖心はあった。・・当然だ、あんな得体の知れない化物を見れば誰だって怖い。

それに、後何分とないだろう、自分の命がつきてしまう恐怖感に押しつぶされそうだった。


だが、赤神竜也は、ある一つの感情の所為で、身体を奮い立たせてしまった。


彼は・・・・・・くやしかった!

こんなにも理不尽に、簡単に、しかも訳の分からないヤツに、命を奪われていくことが、

とても・・くやしかった!

くやしくて、くやしくて!たまらなかった!


それ以上にくやしいことがあった!

それは、「○○○○○○○○○○○○○○」

ということだった。




(──────このまま死ねるか!!)

「ゥゥゥゥ・・・・クゥ!・・・ハアハア・・・ガハッ!ガッ!・・ゲホッ!ゴハッ!」


赤神竜也は、派手に吐血した!!

何をしているのだ!?・・・血迷ったのか?

なんと彼は、起きあがろうとしているではないか!これだけの瀕死の状態で動けるわけはないはずなのに・・・・


無理矢理に力を込めた。

さっきまで消えていた痛みが、一気に蘇ってきた。


「グウゥゥゥァァァ~~・・・アァ~~」


力を入れるたび、動くたびに激痛が走った!さ

意識が飛びそうになる。

歯を食いしばった、激痛が走った!

意識が飛びそうになる。


半身から血が吹き出してくる。

このままでは、確実に出血多量で死んでしまうが、そのことを完全に忘れてしまっているかのように、起き上がることをやめようとしない!


« キィィィィィィーーーン »

ああ、ついには幻聴か?耳鳴りまで聞こえてくるようになってしまった。


左腕と右腕を動かそうとするが・・・・・・

ここで初めて、自分の右腕が無くなっていることに気付いた。


「ハハッ・・・・そりゃあ~・・いて~はずだぜ・・・・へへへ。」


そんな軽く言えるほどの状況でも、痛みでもないはずなのに・・・・・

だが、却って軽くいなす形で口にしたことで不思議と力が湧きあがってくるような感じがした。

ついに!!!上半身は起き上がることに成功した!


「グウゥァア"ア"ァ"ァ"ァ"ーーーー!!!・・・まてよ、この!サルヤローーーーーー!!」


〝大猿〟は赤神竜也の声に反応した!

ゆっくりと、歩を進めていたが、少し苛立った顔をしながら彼の方へと振り向いた。

だが、彼の姿を見て、すぐにあの不気味な笑い顔へと変わった。


気が変わったかのように、ヤツが彼の方へ歩み寄ろうとした次の瞬間!!


〝大猿〟のヤツが足を止めた!


次に、何かに気付いたのか?

急に後ろの斜め上を見上げた。


「ハア・・ハア・・(なに・・してんだ?・・・早く・・)ハア・・ハア・・(こっちへ・・こい!!・・こっちは・・限界なんだからよう・・)ハア・・ハア・・」


〝大猿〟のヤツは見上げたまま目を細めたかと見ていたが、正面の方へ振り向きざま

・・・・・跳び去ってしまった!!!!!


(────ハッ!?なんでだよ!?──おい!!)

「ま"て"ーーガハッ!!」


左腕を奴に向けて突き出したつもりだった。

だが、自分の気持ちとは裏腹に腕がついて来ない。

伸ばしきった自分の腕が虚しかった。


バランスが崩れ、前のめりに倒れかかった。

まるで、スローモーションのようだ。


指と指の間から空気が抜けていく感触が伝わる。

腕が空をきる、手の指が何かを掴もうとして無意識のうちに無造作に動いていた。


« キィィィィィーーーーン »

(また・・・耳鳴りが・・聞こえる)


 ───────!?

« ガシッ!!! »

左腕が、何かを・・掴んだ!?


何だ?何を掴んだ!?・・・・布??・・・・・多分・・コートだ!!彼は見た!人影だ!間違いない!自分が掴んでいるのはコートだ!!!



「───はなせ!」



言われたが、手が離れない。

掴んだまま宙ぶらりんの状態だ。

どうやら、被害者でも救助隊でもないようだ。


しかし「はなせ]とはひどいな、彼の状態を見たなら、助けられないまでも優しい言葉はせめてかけてほしいものだ。



赤神竜也は、返事を返さなかった。

返せたかもしれないが、コートの人物の素っ気ない態度にムカついた事も理由にはあるが、残りの気力を別のことにまわしたかったので、今は返さなかった。



しかし・・・・・・・彼もまた、変なヤツをつかまえてしまったものだ。

コレは人か?



いや、確かに身体的には人ではあるが・・・長いコートを着ているが、そのコートの中は全身が強固な金属製のプロテクターで覆われていた。

頭の方はまるでヒーロー物のヘルメットのような物まで被っている。

それに、全身スカイブルー!さらに角まで生えてる。


〝大猿〟のヤツといい、得体の知れない物がよく出る日だ。


「──〝はなせ〟といっている!」


どうしても振り払いたいらしい。


「ちょっと!!マサト!?なにしてるの!?やめてあげて!」



« キィィィィィィーーーン »

耳鳴り音がさらに大きくなってきた。

今度は女の子の声が聞こえる。

コートのヤツを名前で呼んでいる・・・・・やっぱりコイツは人間じゃないか!?


「チッ!」


マサトは自分のコートを引っ張って無理矢理

赤神竜也の手を、振りほどいた。


「マサト!?──やめてあげ・・」

「アスカ、急ごう!ヤツに逃げられてしまう!」

「そっ、そうだけど・・・ねえ!!キミ!大丈夫?───────!?!?」


「そんな・・・・ヒドイ!!」


アスカは、赤神竜也の状態にひどく驚愕した!

人がこのような状態で動けるものなのか?と。

と、同時に深く悲しんだ・・・・・・・・・


これは・・・・・・・・絶対に助からない。



「・・・・ごめんなさい。」

「君が謝るようなことじゃない!! さあ!急ごう。今ならまだ・・・」

« ガシッ!!! »

「────!?・・・キサマ!」



« キィィィィィィィーーーン »

耳鳴り音がさらに大きくなって・・


「ハア・ハア・・・まってくれ・・たのむ!」


「フッ・・なんだ?命乞いか?残念だが、キサマは助からない。誰がみたってそう思うさ、可哀想だがこのまま行かせてもらう。

悪く思うなよ?」

「マサト!! そんな言い方って・・・・」

「アスカもいい加減にしろ!!・・俺達の使命を忘れたのか!?」

「でも!!」




« キィィィィィィーーーン!!! »

音がさらに大きくなった!


「ハア・・ハア・・ッツ!・・か・・勘違いしてんじゃねえ。」

「オ・・オレも・・サルヤローの所へ、連れて行ってくれ・・・・たのむ!・・ガハッ」

「キサマはバカか!?・・・・どちらにしても、そんな義理はない!!」

「・・・・・・・た・・の・・む・・・」


マサトは苛立った。

彼の行動が理解できなかった。

(何なんだ!こいつは!?死にかけのくせに!

こいつを突き動かす物はいったい何なんだ!?)


アスカも同様だった。

彼に対して、非常に興味がわいた。


「どうして?・・・キミはそこまで・・・」

「・・・・・・くやしいからだ!」


「・・・何が?」

マサトは深くため息をついて、珍しく聞き返した!




赤神竜也は・・・いや、タツヤは

〝くやしかった〟

くやしくて!くやしくて!たまらなかった!

今、なにより〝くやしい〟ことそれは・・・



「「 このまま何も出来ずに死んじまうことがだ!!!! 」」

« キィィィィィィィィィーーーーーーー »

音が、タツヤの心に呼応するかのように、最高潮に達した!!


 ──────────!?!?!?


マサトとアスカは、音に気付いた!!

幻聴ではなかったのだ。二人はこの音に聞き覚えがあった。


「まさか!?〝黒屍〟の音!?でもどこから・・」

「─────!? なんでキミがもってるの!?」


タツヤの横で、黒い色の棒のような?文鎮のような?ものが、音を鳴らし光を放っていた。



その名を、〝黒屍〟と言う。








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