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(# ̄  ̄)σ))>_<)/イテテ…

最近思うんです、桐山君は私を排除したいのではないかと。先日体育の授業に言われたあの台詞。あたかも私がこけるのを予想していたかのようなあの台詞。

『や・っ・ぱ・り・こ・け・た』これはどういう意味だろうか?私をこけさせるために地面に細工でもしておいたのだろうか?それに見事私がハマって予想が的中した、という意味だろうか?どっちにしろ私に相当な悪意を向けているということは理解できた。彼は私を排除したいに違いない。

ハッ!そういえば、私は幼い頃からリレーや鬼ごっこなど、とにかく走る競技では大体の確率でよくこけていた。まさか、あれも彼の仕業か…!? 幼い頃から私に何らかの恨みを持っていたのか…!?あーこれで納得した。私の今までの異常なこけ率は彼の手によるものだったのか。黒幕を暴いた以上、黙っている訳にはいかない。やられたらやり返す、倍返しだ!!

……はい、誠に申し訳ございませんでした。変な中二病精神に火がついてしまったようです。勝手に人様のセリフをお借りしてしまったことも謝罪します。

さて、ふりだしに戻りますか。確かに幼い頃から私がこけ症なのは嘘じゃない。走る度によくこけていた。でもそんな過去のこと桐山君が知ってるはずもない。彼とは高校で初めて知り合った仲だ。それにこけさせるように地面に細工しようなんて馬鹿げてる。だったらもっと違う方法で陥れるだろう。

さて中々結論に辿り着かない。悶々としていると、女子軍から解放された桐山君が教室に入ってきた。そう、今日は私の方が先に登校していたのだ。女子軍の金魚のフンにならないだけでこんなに体力が残るんだと、改めて実感しました。

後ろからガタッと椅子を引く音が聞こえ、桐山君が席についたことが分かる。……うわわ。彼の存在が近くにあるだけでこんなに空気が重くなるのか。私は変なプレッシャーと緊張感がのし掛かるのを感じた。こんな状態で本人に聞ける訳ない。「昨日の言葉はどういう意味だったの?」なんて、軽く聞いたら瞬殺される空気だ。この調子じゃ、いつまでたっても真相はつかめないかな。まぁ、死ぬよりはマシですけど。

そうこうしているうちに、授業開始のチャイムが鳴る。特にいつもと変わらない朝でした。


「はぁ………」

ねぇ、なぜですか。なぜ私はこんなにも雑用をやらされなければならないんですか。今私が抱えてるのは化学で使った実験器具や機材が詰まった大きな箱。

科学室があるんだからそこで実験をすればいいのに、なぜ教室に持ってきたのか理解出来ない。やっぱり理系の人間は頭のネジがズレているのだろうか。あ、ごめんなさい今のは理系の方を侮辱した訳じゃないんです!いい意味で頭のネジがとんでるのかなと思っただけです本当本当!!

……とか考えているうちに目的の科学室にたどり着いたため、元あった場所に器具を戻して教室に引き返すことにした。

今度頼まれたら断ろう。皆私が何でもかんでも引き受けると思ってるからこんなことになるんだ。一度断ればこんなに仕事が増えることはないだろう。

さ、教室に戻ってりなちゃんとお喋りでもしよ……ん?渡り廊下を通ろうとした時に、見知った顔が視界に入った。

あれは…桐山君?桐山君が女の子と並んでいる。え?って思ったが、桐山君の友達らしき人数人がその場に桐山君を抑えつけるようにし、茶化すように何かを言った後その場から走って逃げていた。その一部始終を見て全てが理解出来た。

桐山君はまた告白で呼び出されたが案の定断り、動きもしない桐山君に痺れを切らした友人達が無理矢理彼をここに連れてきた訳ですか。納得です。案の定お相手の女の子は凄く美人だ。確かにこれを断るのは勿体無い。桐山君の友人達の気持ちが分かった気がする。

友人達が去った後、桐山君も何も言わずにその場を去ろうとしていたが、相手の女の子は彼の腕を掴んでそれを止めた。勇気あるなあの子。私は彼女がぶん殴られないか心配です。ハラハラしていると、その彼女が大きな声で愛の言葉を口にした。

「私、ずっと前から桐山君のこと好きだったんです!本当に好きなんです!どんな酷い桐山君も愛してます!だから、どうか付き合ってください!」

……皆さんお気づきでしょうか?ここは渡り廊下です。普通に通行人が周りにいます。でもこんな光景はごく稀にみることなので誰も珍しいがらないし野次馬も湧きません。この時点で我が高は異常なのです。

桐山君は静かに彼女を見下ろし、掴まれていた腕を振り払った。驚いた顔をした彼女に向かって、彼は小さく口を開く。

「あんたじゃ無理。」

そう言われた彼女はへ?という顔になった。それは私も同じだ。ちょっと言葉の意味が理解し難い。

「あんたのその薄っぺらいメンタルじゃ僕の相手は無理。諦めて。」

それだけ言い残し、彼はその場を後にした。残された彼女は悔しそうに唇を噛み、彼と反対側の方に駆け出す。私は急いで横によけ、通り過ぎてく彼女を見送った。

それにしても、また何か含みのある言い方をしてたな、桐山君。彼と付き合うためにはメンタルが必要なのだろうか?てことは、やはり桐山君は根っからのサディストで、彼女に対してあんな酷いことやこんな惨いことを……や、やめよう。今後桐山君をどういう目でみればいいのか分からなくなるからやめよう。とりあえず落ち着きを取り戻した渡り廊下を通り、今は教室に戻ることに専念した。


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