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「とりあえず駅前のクレープ屋の人気クレープ上位三つね。」

「あ、あの…りなさん?」

「それにスタバのキャラメルフラペチーノも付けてもらおうかしら。」

「あのー、りなさん?」

「あ、そういえば丁度新しいバックが欲しかったのよね。」

「それは無理です勘弁してください。」

「私に隠し事をした罪はそれ相応の対価で償って貰うわよ。」

「いや、別に隠してた訳じゃないんです。何も聞かれなかったから、言う必要もないかなと…」

「だって気付くはずないでしょ!あんた達なに一つ特別な関係に見えないわよ!何も変わってないじゃない!関わり皆無じゃない!」

「り、りなちゃん落ちついて!あと音量下げて!」


口から食べていたおかずを零しそうなほど声を張り上げるりなちゃんを制止、ため息を一つ吐く。


「りなちゃん、私が彼と付き合ってるのバレたらとんでもない事態になるのでくれぐれも内密に。」

「大丈夫よ安心しなさい。客観的に見て二人が付き合ってるなんて思う人一人もいないから。」

「………」


先日、私は桐山唯斗氏と恋人のご関係になりました。ぱちぱち。はい。付き合ったんですよ。はい。まぁ付き合ったんですけど、特に私と彼の関係性に変化はないです。はい。


朝登校中に女子軍を引き連れた桐山君を見かけ、その後ろを金魚のフンのように引っ付いて歩き、教室に入って無言で彼の横を通り、SHRが始まるまでに授業の準備をし、先生が来たらSHRを受け、そこからなんとなく授業を聞き流し、休み時間になると後ろの席に女子が集るのを見、それをお昼休みになるまで繰り返し、お昼になると桐山君はどこかに消えてりなちゃんが弁当を持って私の元に来、食べ終わったら他愛もない話をして時間を潰し、予鈴が鳴って次の授業の準備をしていると桐山君が戻って来て無言で後ろに座り、授業が始まるとまた内容をなんとなく聞き流し、そのうち放課後になって桐山君は部活に向かい、私はそのまま帰宅。はい終了。


画面の前の皆さん、何か疑問を抱きましたでしょうか?「…カップル?」ってなったでしょうか?そう思った貴方は正常です。思わなかった方は「カップル」という単語をぜひググってみてください。


ここまで読んで分かる通り、私と桐山君の関係性は何一つ変わってません。相変わらず彼は女子に酷い言葉を吐き、私とも距離を置いている。私も彼に話かけることなんてない。あの心が通じた一件から、私と彼の関係は以前のように戻りました。それが二人の望んだ関係だから。


またあんな事が起こらないように、付き合っていることは秘密にすることにした。確かにカップルっぽいことに憧れたりもしたけど、またいざこざが起きて彼に心配かけたくないし、彼も二度と私をあんな目に合わせたくないようなので、二人で以前のままでいようってことになった。


まぁ、りなちゃんにバレたのは予想外だったけど……でも彼女は口もかたいし約束は守る子なので絶対バラさないと信じてる。……うん。


荷物をまとめ、帰宅を始める生徒に混じって下駄箱へ向かう。上履きを履き替えて外に出ようとした時、私のスマホが着信を知らせた。開いて見ると受信メールが一通。


《北校舎の教室で待ってて。一緒に帰りたい。》


短い本文。その上に桐山唯斗という文字。

ダメだ顔の力が抜ける。皆さんこっち見ないで今間抜けな顔してるので。

え?いつも間抜けだって?私の顔見たことないくせにそんなこと言わないで下さいよ。


スマホを閉じ、今来た道を引き返す。靴を履き替えて今度は北校舎へと向かった。



彼氏彼女がいる皆さん、多分私達は皆さんからしたらすっごい苦悩が多くてやりづらそうなカップルに見えるでしょう。確かにやりづらいし、大変ですよ。でもこれだけは言わせてください。私はものすっッッッッッごくハイパーミラクルファイナリアリティードリーム並みに幸せです。多分幸せ度だったら皆さんに勝負挑めますよ。今度勝負しましょう。勝てる気しかしませんが。


彼氏彼女がいない皆さん、多分私達は皆さんからしたら幸せそうでうっとうしくて爆ぜて欲しい対象にあたるでしょう。確かに幸せこの上ないですよ。でもこれだけは言わせてください。ここまでくるのはものすっッッッッッごくハイパーミラクルファイナリアリティードリーム並みに大変でした。大変という一文字で表せないくらい大変でした。だからそう簡単に爆ぜろ爆ぜろ言わないで下さい。独り身っていうのも気が楽でいいじゃないですか。それもある意味リア充ですよ。え、何でそんな睨んでくるんですか?……はい、ごめんなさい黙ります。


最後に一つ、この物語は完璧なるフィクションです。こんな展開、現実で起こる確率なんてきっと極めて低いでしょう。でも私よりも沢山努力をして、沢山幸せになった人だってこの世のどこかにいると思います。人生何が起こるか分からないので。もしかしたら、これを読んでる貴方が数秒後に運命的な出会いを果たしてる可能性だってあるんですから。もし本当にそうなったらぜひ教えてください。盛大に祝福します。


あ、足音が聞こえてきた。桐山君かな?

独り事喋ってるとか変な誤解されたくないのでここら辺で終わっときます。



では皆さん、良い恋を。



ー END ー

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