表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/54

●忍び寄る異形●

何を書けばいいかわからないものですね( ̄▽ ̄;)

「はあぁぁぁぁ…」


どこの学校でも見られるような木製の机に突っ伏して、リオは盛大にため息を漏らした。

ここはエレメント学園Ⅱ-Ⅰ組。Ⅱ学年の中で比較的優秀なエレメント使いが集まるクラスだ。

リオの席は窓に1番近い列の後ろ辺りにある。

窓から降り注ぐ太陽の光が心地よくこのまま寝てしまいたいが、今日の出来事を考えると逆に頭が冴えてしまう。イライラしながら頭を掻いていると、後ろから声を掛けられた。


「どうしたのさリオちゃん。いつもなら爆睡してんのに。起きてるなんて珍しい」


「何よライズ。あたしだって年中寝てるわけじゃ……無くはないけど。とりあえず考えごとよ」


「へ~。どんなこと?」


ライズと呼ばれた青年は興味津々に聞き寄ってきた。長めの金髪をポップな柄のヘアバンドで上げており、瞳は深い青。稲妻模様のパーカーとダメージジーンズにスニーカーといった格好をしていた。


「つーかあんたは何で制服を着ないのよ。またそんな格好して」


「着用義務はないもん。

あとあれ動きにくいし」

自分の格好を見せびらかすようにクルッとターンを決める。リオは冷めた視線をライズに飛ばした。

視線を感じたのかライズが不満げに抗議を上げた。


「も~。リオちゃんはノリが悪いよ。せっかく面白い情報持ってきたのに」


「情報?」


リオはライズの話に少し視線の力を緩める。


「ガセじゃないの?」


「学園1の情報屋を嘗めてもらっちゃあ困るよ」


人指し指を立ててチッチッチと左右に振る。じゃっかん苛つくが黙って聞く。


「実は今日、理事長が直々に推薦した転校生が来るんだよね」


「ああ。さっき会ったわよ」


「そう!そのさっき会った転校生……………会ったの?」


「会ったわよ」


「そんなぁぁぁぁぁ!?」


完全に極秘かと思ったのかライズは大口を開けて絶叫した。耳元で叫ばれたリオは目の前に星が回る錯覚を見た。


「うるさいわよ!何絶叫してんのよ!!」


「だってリオちゃん情報屋の俺より早くコンタクトするなんてズルいよ!!

あー、学園のソーシャルネットワークの名折れだよこれぇぇぇ……」


ライズが名乗っている、学園のソーシャルネットワーク。これは学園中の生徒先生関係無しに個人情報を持っているライズに誰かが着けたらしい。


「まあでも会って名前聞いて、理事長との関係を簡単に聞いただけだし。

知らない情報あるかもしれないから、知ってること教えて」


「オッケェ!!任せろBaby!!ヤッハァッ!!」


さっきの萎れっぷりはどこにいったか疑いたくなるハイテンションだった。

ライズはパーカーの内ポケットから分厚い黒の手帳を取り出してページをめくっいき、手を止めたページを読み始めた。


「赤堂煉。17歳。地球界日本国出身。契約エレメントは不明。趣味特技も同様。理事長直々に鍛え上げたらしいから戦闘能力は折り紙着きだろうね。あとは」


「あとは?」


「これはあくまで俺の予想なんだけど、もしかしたら彼、赤堂爛(あかどうらん)の血縁者かも」


その名前を聞いたリオは顔を強張らせた。

赤堂爛。エレメント学園伝説のエレメント使い。

歴史の中で最も強い、フレイムエレメントの使い手。しかし3年前に突然姿を消したまま消息は掴めていない。故に伝説と呼ばれている。

しかし考えてみるが、


「いやいや、あり得ないでしょ。まさかそんな偶然が」


「いや。正直つじつまが合いそうなんだよ」


「え…?」


「まず赤堂爛には3人の家族がいる。父親、母親、爛、弟といった具合にね。

で、この弟は爛の3つ下。つまり俺等とタメ。それに爛は理事長と知り合いでもあった。これだけ繋がればもう確定じゃね?」


「…………」


ライズの仮定を聞いたリオの頭の中はグチャグチャだった。今日あったあの男が伝説のエレメント使いの弟。考えただけで頭が熱い。今なら目玉焼き焼ける気がしたのは内緒だ。


「まあそんな感じだから。チャイムなるから席に戻るよ。じゃぁねぇん」


ライズはそう言い残して軽快に席へと戻っていった。リオは窓から見える空を見ながら心を整理しようとしていた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ちきしょぉ…あの糞ガキ共がぁ……!」


煉とリオが初めて会った路地裏の空き地で、煉に顎を撃ち抜かれた金髪モヒカンが恨みを込めた声を上げていた。顎は痛々しく、割れていた。


「兄貴ぃ、どうしやすか?」


「このままじゃ、しまりが悪いっすよ」


太った部下と出っ歯の部下が口を開く。


「わかってる。あのガキには地獄を見せてやるよ。

こいつでな」


金髪モヒカンはポケットから黒い水晶体を取り出した。何の混じりけの無い漆黒。それは禍々しくも、美しかった。


「何ですかそれ?」


「よくわからねえが、こいつを使えばとんでもねぇ力を得られるらしいぜ」


「そんなすげぇ代物、どこで手に入れたっすか?」


「いつだったか忘れたけど、黒いローブを着た野郎がくれたんだよ。薄気味悪い奴だったが、まあ感謝くらいはしといてやるか」


金髪モヒカンは黒い水晶体を自分の胸に押し付ける。その瞬間、黒い水晶体から植物のような根が生え、金髪モヒカンの胸に根を張った。


「うおぉ。すげぇぞこれ、どんどん、どんドン力ガ溢レテキヤガル…」


そして、波打つように体が変化していった。体の筋肉が隆起して今までの倍のサイズへ。爪は獣のように鋭く変化し、爬虫類のような緑色の鱗が全身を包んだ。腰からは鱗に覆われた太い尻尾。顔は人間ではなく、蜥蜴になっていた。

この変化に、部下2人は完全に腰を抜かした。


「あ、兄貴が……」


「ば、化物に…」


蜥蜴人間(リザードマン)になった金髪モヒカンは部下2人を見て、目の色を変えた。


「腹ヘッタ……ヘッタ。肉食タイ……血飲ミタイ……餌、餌、餌ヲ」


紡ぎ紡ぎの言葉を発しながら、おぼつかない様子で、2人へと歩を進める。


「兄貴!俺ですよ!!ずっと一緒にいたじゃないです!?」


「兄貴!目を覚ましてください!!」


2人の声は、リザードマンに届かない。かつての人間の記憶は、完全に消えていた。


「オ前逹、俺ノ、餌ァァァァァッ!!」


歪な牙が並ぶ口を開き、2人へ飛び掛かった。


「「ギャアアアアアアアアアアアアッ!!!」」


それから数時間後、路地裏の空き地で、2人の人間の惨殺死体が発見された。

次回は、ようやくまともなバトルシーンでっせ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ