第1話 フォルノグリーン最大のピンチ
ヒーロー。
弱きを助け強きを挫く正義の味方。
子供たちの、いや全ての人々の希望であり憧れ。
決して負けることはなく。事実、正義の味方ヴァルマ戦隊フォルノンジャーは悪の組織ゲルニッカーズに完全勝利した。
こうして世界は平和になった。
俺たちフォルノンジャーの役目は終わった。
フォルノンジャーは自ら解散の道を選ぶ。
しかし、ソレはフォルノンジャーが無くなってしまうわけではない。
たとえ解散しても俺たちはずっとヴァルマ戦隊だ。
俺達の心のなかに正義の気持ちがある限り。
俺達はずっとずっとフォルノンジャーなんだ。
ずっとヒーローなんだ。
決して誰にも負けず。どんな悪にも勝ち続ける。
そう思っていた。
しかし、それがまるで飴細工の如く甘い考えで、脆い幻想だということにその直後に思い知らされた。
その敵が現れたのは、フォルノンジャー解散後すぐだった。
今までのどんな敵よりも、強力で、強大で、無慈悲で、非情。
ハッキリ言ってフォルノンジャーだった頃に戦っていた如何なる敵より強敵だ。
そんな敵が俺の目の前に立ちふさがった。
そして、その敵に対して俺、こと緑川良太は単身で立ち向かわなくてはいけない。
だってフォルノンジャーは解散したんだ。
その敵は俺一人の力で打ち倒さなくてはいけない、『フォルノンジャー』では無く『俺』の敵だった。
しかし。
今俺は、まさにその強大な敵に敗れ去ろうとしている。
その恐ろしい敵の名前は。
『社会』と言う名前だった。
◆◆◆◆
初夏。
春の暖かな陽気が、じわじわと熱気を帯びたものになり、木々の色付きは日々濃くなる季節。
とあるボロアパートの四畳半の部屋。
その部屋で一人。
俺は負けようとしていた。
「し…死ぬ」
かすれた声が汚い部屋に響き渡る。
「死ん…でしまう」
それは冗談ではなくて、本気だった。
俺は今、死に直面している。
理由は酷くシンプルで単純な物だ。
食料が無い。
絶望的なまでに食べ物が無い。
缶詰も、レトルトも無い。
乾物も、ジュースもない。
調味料や油すら無い。
茶葉すら食い尽くした。
死ぬ。死んでしまう。
さて。なぜ俺が今このような事態に陥っているのか。
それはマリアナ海溝よりも深い理由が有る。
金が無い。
いや、この理由自体は馬鹿みたいにシンプルだが、問題はそこに至る経緯だ。
なぜ俺に金が無いのか。
その理由がとても複雑なのである。
◆◆◆
嘗て世界の平和を守るために戦ったヒーロー。
ヴァルマ戦隊フォルノンジャー。
世界の平和を守る機関。ヴァルマエネルギー平和活用試案機構、通称ヴァルマ戦隊の中の実行部隊。
ヴァルマエネルギーという特殊なエネルギーの力で変身し、そしてヴァルマエネルギーの力で戦う戦士。
それが俺達フォルノンジャーだった。
ヴァルマエネルギーと言うのがどういう物で、どんな仕組みで力が出たり変身出来るのか、ソレは実際にフォルノンジャーだった俺にもよく解らない。ただ何となく凄い力としか認識していなかった。
そしてこのヴァルマエネルギーと言うのが厄介なもので、誰も彼もがそのヴァルマエネルギーの恩恵に預かれるわけでは無いらしい。
なんでも適正が必要なのだとか。そしてその適性の高い人間だけが、フォルノンジャーに変身する事が出来たらしい。
しかもその適正ある人間と言うのが異様に少ないのだ。
その数少ない適性ある人間と言うのが、俺、つまり緑川良太だったわけだ。
でなければ、特に優れた人間でもない俺が、そんな凄い戦士に選ばれるはずがない。
つまり俺がフォルノンジャーをしていたのは、たまたまヴァルマエネルギーに適正があったという、ただ一点の理由にすぎないのだ。
しかし。
どんな理由だろうと、正義の戦士としての活動は本物だった。
命がけの戦い。目の前に迫り来る悪の戦士。戦いの毎日。
フォルノンジャーとして戦っているうちに、嫌でもヒーローとしての自覚が芽生えてきた。
悪と戦う内に嫌でも正義の心が生まれてくる。
結局ゲルニッカーズとの最終決戦の頃には、俺はすっかりフォルノンジャーに染まっていた。
思えばゲルニッカーズという悪の組織も、謎に包まれていた。
悪の組織を自称し、そしていとも簡単に残虐極まりない行為を行なっていく。
ただそれだけの組織。なぜ彼らがそんなことをするのか、そして最終的な彼らの目的も俺たちは知らなかった。
判りやすいほどに悪の組織。
そして俺達は判りやすいほどの正義の味方。
だから戦った。
そして、俺達が勝った。
悪の組織は壊滅し。
世界は平和になり、俺達の役目は終わった。
平和な世界にもうヴァルマエネルギーの力は要らない。
俺たちフォルノンジャーは自ら解散の道を選んだ。
平和な世界になり、自ら解散の道を選んだと言えば聞こえは良い。
だが現実は少し違う。
解散以外に選択肢がなかった。
鳥尽弓蔵、兎死狗烹。
飛鳥尽きて良弓仕舞われ、狡兎死して走狗煮らる。という言葉がある。
飛ぶ鳥がいなくなれば良い弓は蔵に仕舞われ。狡賢い兎が死んでしまえば、猟犬は煮て食われるという意味の諺だ。
言い方を変えれば、「用があれば大事にされるが、用がなくなればしまわれ、食われる」ということである。当然これは弓や犬に限った話じゃない。ヒーローだって同じだ。
用とは、即ち存在意義。悪の打倒という存在意義の無い俺たちが、今までどおりヒーローをやっていけるはずがない。
さすがに、用が無くなったからといって食われるなんてことはないが、人によらず組織によらず用が無くなれば排除されるのが世の常。
だから俺達は解散した。それ以外に道がなかったんだ。
ヴァルマ戦隊本部が俺達に解散を命じたわけじゃない。でも、もう判りやすいほどに俺達が邪魔だという雰囲気を出していた。
予算は極端に削られて、事実上フォルノンジャーの活動なんて出来ない状態に追い込まれた。
だから、解散したんだ。一応建前上は自ら自発的に解散したということなった。
解散後、メンバーはバラバラの道を歩んだ。
レッドはピンクと結婚すると言っていた。
ブルーはサラリーマンになると言っていた。
イエローは世界中を旅すると言っていた。
ピンクは専業主婦を頑張るわと言っていた。
ちなみに俺は日々の平凡をただ楽しみたいと言った。
皆がそのとおりになったのか。ソレは知らない。
フォルノンジャーのその後は誰も知らないのだ。
それこそ、メンバー同士でさえ知りはしない。
当然だ。悪の組織を壊滅させた強力な力を持つヴァルマ戦隊。
その正体を知られては俺達は平凡に生きる事が出来ない。
いや、俺達だけじゃない。
ヴァルマ戦隊に関わったすべての人間の平穏が脅かされる。
だから、俺達の正体も、ヴァルマ戦隊の関係者の存在も、世間には特秘された。
俺がフォルノンジャーだった過去は闇に消され。
俺は一般人、緑川良太に戻った。
ヒーローだった過去は終わり、そして新たに平凡な若造の人生が始まった。
しかし、そうなってから有ることに気がついた。
俺はフォルノンジャーとしての生き方しか知らなかったんだ。
フォルノンジャーとして戦った2年間は、俺に沢山の知識や技術を授けてくれた。
戦闘技術。
銃器の扱い。
爆弾の解体の仕方。
しかし、それらの知識も技術も、一般人の生活には、驚くほどに役に立たない。
いや、役立つ立場が無いわけではない。
兵士、ガードマン、警察。
荒事を好む仕事も確かに存在している。
しかし、それらの職業には付けない。いや、付いちゃいけないんだ。
俺たちは、正義の味方フォルノンジャー。
この力は絶対に悪の組織にしか使っちゃいけない。ソレはフォルノンジャー全員の絶対の掟だ。
兵士は戦争をするものだ。ソレは人間と人間の醜い争いで、正義なんて全くない。そこにヒーローの力は絶対に使ってはいけない。
ガードマンは人を守る。誰であれ金で守る。たとえソレが極悪人でもだ。そこに正義の意思は無い。
警察は、正義の職業のようにも思えるがソレは大きく違う。警察は法律に基づいた治安秩序を維持することが目的でしか無い。証拠がなければ動かない。証拠があっても事件の内容によっては動かない。そんなものが正義だとは思えない。あと、まるで趣味みたいに頻繁に俺を職務質問しやがって。あのクソヤローども、あんなのが正義であってたまるか。
そもそも俺たちは決してこのフォルノンジャーとしての力を金のために使ってはいけない。それはフォルノンジャーの名誉を著しく貶める行為だ。
だから、結局フォルノンジャーとして覚えていった特技は仕事に活かせず。
また、荒事には無縁の仕事を選ぶしか無い。
しかし、そうなると俺には何の取り柄もなくなってしまう。
俺からフォルノンジャーをとってしまえば、俺は、
俺は。
ただの木偶の坊だった。
結局、ろくな仕事には付けなかった。
高望みしたつもりはない。俺みたいな人間を雇ってくれる所を手当たり次第探した。
しかし、技術も知識も資格も愛想も社交性も無い俺を、雇い続けてくれるような所はなかった。
いや、問題が有るのは俺の方だ。
戦い続けた俺にとって、社会の『仕事』というのに馴染めなかった。
結局、どの仕事に付いてもさほど長続きすること無く辞めさせられるか、自ら辞めてしまう。
最終的に日雇いの力仕事をして日々の糧を得ていた。
幸い力だけはあった。
ヴァルマエネルギーに頼っていた俺だが、怪人たちとの戦いの日々は俺の基礎体力を上昇させてくれた。
一般の人間に比べて体力に自信が有る。まあ、ソレはあくまで一般の人間に比べてだ。その体力はフォルノンジャーの異常な力とは違い、常識の範疇だし。だからこの体力を仕事に使うくらい許されるはずだ。
俺は一般の人間の範疇の力で働き、そして一般の人間の範疇の日々の糧を手にいれる。
一応そんな生活に、そこそこの満足はしていた。
ただ、不安が無いわけじゃない。
体力は年齢を重ねる内に段々と衰えていく。
確かに人より体力があるが、それでもフォルノンジャーを辞めてから18年。
もうだいぶ体力は落ちた。
何時か限界が来るとは思っていた。
そして。
ソレは思いの外、早く訪れた。
そんな俺を病魔が襲った。
初夏の暖かな気候に油断し、不摂生な生活をした結果、見事に風邪をひいた。
40度の熱が体を襲い。俺は布団から出ることもできなくなっていた。
最悪だったのはその時俺の貯金が底を付いていたことだ。
たまたまその月の頭。溜まっていた家賃と電気代ガス代、住民税の支払い諸々が一度に来た。どれも真っ赤な紙で。
家を追い出されるもの、電気、ガスをまた止められるのも、部屋の中の物を差し押さえられるのも嫌だったので俺は渋々それらを支払った。
するとどうだろう。
俺の貯金はまるで魔法のように無くなっていた。
日雇いを何件かこなせば生活費くらいすぐになんとかなると思っていた矢先の病気だ。
正に最悪のタイミング。
金が無くてはどうしようも無い。
病院に行く事すら出来ない。保険証も金も無い。
結局俺は、ただ布団の中で自身の回復を待つことしか出来なかった。
風邪は1週間俺を苦しめた。正直よくその時に死ななかったと思う。
そして風邪が治ったと思った頃には。
部屋の食料が尽きていた。
病み上がり、力仕事をする体力もなく。とりあえず栄養をつけようと冷蔵庫を開けても目薬しか入ってない。
缶詰も乾物も元々持っていない上、少ないレトルト食品も病気中に啜ってしまった。
こうして畳の上で横たわる瀕死の男の誕生だ。
金が無い、食べ物が無い、体力がない。
金が無いから食べ物が買えない、
食べ物が買えないから体力が無い、
体力が無いから金を稼げない。
この負のスパイラル。
どれか一つでも解消されればなんとかなるのに。
もう、俺の力ではどうすることも出来ない。
電話も無し。
アパートの両隣は現在空き家。助けを呼ぶことも出来ない。
詰んだ。
四面楚歌この上なし。
こうして俺はいまガチで死に直面している。
悪の組織と命懸けの戦いを生き抜いた俺を殺すのは、
怪人でも、兵器でも無い。
ただ、社会という存在だ。
畜生、就職難め。
俺もサラリーマンにでもなれれば、こんな事にならなかったろうに。
不採用通知ばっかり送ってきやがって。
まあ、良い。
それも良いかもしれない。
平和な世の中。
もうフォルンジャーを求める人間は誰もいない。
フォルノンジャーとしての生き方しかできないような俺みたいな屑人間は、とっとと死んで消えてしまうのが相応しいのだろう。
寧ろ幸せなのかもしれない。
戦いの中で命を落とす覚悟をしていた俺にとって。
こうして畳の上で死ねるのはきっと幸福なんだろう。
そして、俺の意識はゆっくりと暗くなっていく。
そのまま、俺は…
ピンポーン。
チャイムの音がした。
来客?いや、俺に知り合いなんて居ない。
「緑川さんお届け物でーす」
ああ、宅配便か。
今更誰が何を送って来たか知らないが、無駄なこと。
俺は死ぬ。
もう、配達員に助けを求める体力すら存在しな…。
「クール便でーす…居ないんですか?」
ん?
今、配達員はなんて言った?
クール?
くーる?
COOL?
KOOL?
クール便!!??
『クール便』
冷蔵や冷凍が必要な物品を、保冷できる運搬方法によって届けるサービス。
一般的に冷蔵と冷凍の二種類の運搬方法が存在する。
このクール便のおかげで、高温を嫌う物品の輸送が個人でも可能になった。
正に現代社会において、必要不可欠なサービスである。
そして、このクール便を利用して送られるものといえば。
超高確率で。食べ物!
食べ物!
「留守かなあ、仕方ない不在…」
ドン!!
俺は壊さんばかりの力でドアを開き、勢い良く飛び出した。
「はい!!!!はい!!!!居る!居ます!!居ります!!!!!居るんじゃボゲエエエエエェ!!!」
「ぎゃああ!!!」
突然現れた痩せこけた男に配達員が恐怖の叫び声を発する。
先程まで死にかけていたのにびっくりするくらいの力で怯える配達員の肩をつかむ俺。
恐ろしいほどにギラついた目で彼を見る俺の目の中には、蝋燭が燃え尽きんとするまえの激しい炎が宿っていた。
◆◆◆◆
「美味い」
俺は、箱の中身を貪り食った。
送られてきた箱の中身、
『お取り寄せケーキセット』
今まで食べた如何なる食べ物よりも美味い。
各種の甘味が、カロリーが俺の全身に行き渡るのを感じる。
俺の体がエネルギーで満たされていく。
脳に糖分が行き渡り、俺の意識は覚醒する。
気がついたら俺は泣いていた。
35でケーキに泣く男。緑川良太。
しかし、無理からぬ事だと思う。
餓死寸前で。ケーキを食べれば誰だって涙くらい流すというものだ。
ケーキを食べ少し余裕ができてから、ふと気になった。
一体誰がこのケーキを送ってきたのだ?
生憎と俺にケーキなんぞという小洒落たものを送ってくれるような、素晴らしい人間に心当たりはない。
間違えて届けられたのか?
まあ。間違いだろうがなんだろうが、これのお陰で一命を取り留めたのは事実だが。
しかし、それだとこれを届けられるはずだった人が可哀想である。
こんな美味い。
こんなに美味いケーキを、俺が食べてしまったのだから。
俺はケーキの入っていた箱に付いている伝票の送付先の欄を確認した。
そこに書かれていた名前は。
『緑川良太様』
おや?間違いでは無いらしい。
そういえば配達人も俺の名前を呼んでいたような気がする。
と言うことはこのケーキは俺に送られるべくして送られたのだ。
誰だ?
死にかけの俺にケーキを贈ろうなんて考えた、最高に素晴らしい奴は。
「差出人は…何だこりゃ?」
差出人の項には『株式会社、甘味処』と書かれている。
これはつまり、甘味処から直接送られてきている。
「あ、そうか。取り寄せケーキセットだもんな」
最近巷の店舗では購入時に宅配サービスというのが有るらしい。
多分これ買った人が購入時に直接俺の家に送るよう指定したのだろう。
しかし、そうなると、これを俺に送ってくれた命の恩人の正体が依然謎である。
足長オジサンよろしく、自らの正体を秘密にしているというわけでもないだろうから、きっと何処かに名前が書いてあるんだろう。
俺は箱を上に上げたり下に下げたりしながら差出人を探すが、何処にも名前は書いていなかった。
おかしいな。ひょっとしてケーキに書いていたのか?『誕生日おめでとう』のあのチョコみたいに、『○○より』ってデコレーションされてたりしたんだろうか?そんなの確認する余裕なく食っちまったからもう判らんぞ?
ケーキの下に敷いてあった紙をペロペロ舐めながら俺が困っていると、
「あ、手紙があった」
ケーキの下紙のさらに下にひっそりと入っていた。
本当にひっそりだ、ペロペロ紙を舐めなければ気が付かなかったぞ。
「えっと差出人差出人…」
俺は手紙の封筒を裏返し、差出人の名前を確認する。
すると、そこに書いていた名前は。
『ヴァルマ戦隊作戦本部』
俺は封筒ごとその手紙を破いた。
念入りに破いた。
細かく細かく破いたそれを、力いっぱいにゴミ箱に投げ捨てる。
紙片は、ゴミ箱に入ること無くその場に舞い上がる。
紙吹雪が部屋に舞った。
◆◆◆◆◆
次回予告
糖分の力により一命を取り留めた緑川。
そんな緑川に謎の男が訪ねてくる。
果たしてその男の正体とは。
そして彼の思惑とは。
次回 ヴァルマ戦隊リゾフォルノンジャー!
「それいけ少年探偵団」
お楽しみに。
用語解説
・ヴァルマ
エスペラント語で、熱や暑さを意味する。
・フォルノ
エスペラント語で炉や過熱器を意味する。
・ヴァルマ戦隊フォルノンジャー
熱き心を持った炎の戦士たち。
常に世界平和を望み、自らの名前を世界語であるエスペラント語で名乗っている。
・職務質問
まるでライフワークであるように警察が繰り返す行動。彼らは暇さえあれば職務質問をしている。凄い頻度でしている。
じゃないと筆者がしょっちゅう職務質問される説明がつかない。
筆者の格好がオカシイのか?そんなに不審か?
・真っ赤な紙
筆者の想像では、支払いをしなかった場合、水道とガスは半年、電気は三ヶ月、ネットは一ヶ月、携帯は2週間で止められる。
あくまで想像だ。想像である。そうに違いない。
・お取り寄せケーキセット
株式会社甘味処の一番の人気メニュー。
甘くて美味しいケーキを日本全国どこでも冷たいまま送ります。
12種類のケーキが入ってお値段3980円(送料別)
・足長オジサン
とある小説の登場人物、転じてチャンスのない子供に資金援助をするナイスガイの総称として使われる。
・今回の敵 ・貧乏・
今も多くの人々を苦しめるとても恐ろしい敵。
財産や収入が少なくて生活が苦しい状態のことを言う。
この敵の恐ろしいところは、どんな人間の元にも、現れうるということである。
今回、緑川は糖分の力で、この貧乏からの脱却を可能にしたが。
それは、貧乏を駆逐したわけではない。
何時か緑川が、また貯金を無くした時、この貧乏は再び彼にキバをむくだろう。