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 番外 ゲルニッカーズの怪人

 猛スピードで走りながらも、その車の中に伝わる振動と音は小さな物だった。

 まるで流れるように走るその車。

 コレは本当に凄い乗り物だぞ?とリゾレッドは運転をしながら思った。


 リゾフォルレッド号。

 レッドが乗るその車は正にレッドの理想通りの乗り物だった。早く、美しく、そして最高の乗り心地。


 いや、この車だけじゃない。

 おそらく、今、自分の後をピッタリと付いてくるブルーも、自分と同じような事を考えているのだろう。

 レッドは自分の今乗る車が最高のものであると疑っていないが、ブルーの乗るトライクもけして悪いものではないと感じていた。

 そんな乗り物にのるブルーもおそらく今、希望通りの乗り心地に酔っているに違いない。

 

「凄いっすね、この車」

 レッドは隣に座る天地にそういった。


「そりゃあ、我々ヴァルマ戦隊の技術が詰まっていますからね。それなりに予算も掛かっています。まあリゾヴァルブラック号ほどではありませんが」

 その言葉をレッドは不思議に思った。


 ブラックの乗り物。

 真っ白な軽トラックだ。


 その時点で、ヒーローの乗り物として微妙だが、何よりオカシイのはそのスペックだ。

 天地は自信満々だったが、彼の口から語られたあの軽トラのスペックも機能もヒーローの乗り物としては微妙なものばかり。

 少なくともスポーツカーやトライクよりも予算が掛かったと言われても信じられなかった。


「その…そんなに凄いんですか?あのリゾヴァルブラック号って…。その、馬力なんかはこの車よりもかなり低いんですよね?」

 レッドのその言葉に、天地は思い出したように言った。


「ああ。そう言えば。途中でこんなことになっちゃったから説明の途中でしたね。実際の所、リゾヴァルブラック号は表向きは殆ど普通の軽トラックと変わりません。ただ、ボディーに秘密が有るんです」

「ボディー?」

「我々が創りだしたヴァルマ重合金をハニカム構造芯材とし、それをフォルノ軽合金でコーティングしたものを使っています」

「それって凄いの?」

「そうですね、防御力だけなら核シェルターに匹敵します」

「マジでか?」

 核シェルターと言われても具体的にどの程度の丈夫さなのかはわからなかったが、とてつもなく丈夫であるという事はレッドにも理解できた。

「ええ。ただ、欠点としてはヴァルマ重合金はとても重いですから、ハニカム構造でもかなりの重量になってしまうんです。結果としてエンジンに負担がかかり速さは普通の軽トラックと同じになってしまっていました」

「ああ…それで510馬力なのか…」

 レッドとブルーの乗り物に比べて異様に低い馬力。それは防御力に特化させすぎたために起きた弊害だったのだ。


「つまり、遅いけれどそのぶんものすごく硬いってこと?」

「ええ、緑川さんは素早さよりも、堅牢さや丈夫さを求めているようでしたから」

「ま…まあ。そうだけど…」

 さすがに核兵器に耐えられるレベルの堅牢さを求めていたわけでは無いだろうけれど、とレッドは思ったがそれを口にはしなかった。


「レッドのスポーツカー、ブルーのトライク、そしてブラックの軽トラとイエローのトラクター。コレが私自慢のリゾフォルノンジャーの新しい装備です…」

 天地のさり気なく言われたその言葉に、レッドには聞き逃せない一言があった。


「…っえ?トラクター!?」

「ええそうですよ?」

「チョット待ってください、イエローの乗り物はトラクターなんすか!?」

「ええ?そうですけど?此処に来る途中に追い抜いたじゃないんですか?」

「あれイエローだったの!?」

 レッドは此処に至る途中に確かにトラクターを追い抜いたことを思い出していた。

 一瞬で追い抜いてしまったし、態々運転席を見たりすることが無かったので解らなかったが、まさかアレを運転しているのがイエローだとは全く思わなかった。


「イエローは四輪に乗りたがってましたからね」

 まるでそれが当然であるかのように天地は言うが、だからといってトラクターに乗りたがったわけではないだろうとレッドは思った。


「その…イエローのトラクターにも?凄い秘密があったりするんですか?」 

「いえ、イエローのは普通のトラクターです」

 天地はあっさりとそう言い放った。


「…普通のトラクターなの!?」

「実はリゾフォルブラック号を作った時点で予算が底を付きまして、イエローの乗り物はそれなりにカスタムしただけの唯の小型トラクターです」

「…」

「まあ、イエローならば持ち前の明るさで乗りきれるでしょう」

 さすがのイエローでも乗り切れないだろうとレッドは思った。




◆◇◆◇◆◇◆◇



「此処で止めてください」


 高速道路を少し進んだ先、道の真ん中で天地はそういった。


 普段の高速道路であれば、道の真ん中に停車するなんてことは許されざることだが、今は非常時。

 高速道路に怪人が現れ、現在この付近は関係者以外は通行止めになっている。


 そんな誰も居ない高速道路の真ん中で。

 天地は車を停車させ、そして、レッドとブルーに乗り物から降りるよう指示を出した。


 そして二人に向かってこう言った。


「この先に怪人が居ます。ですがブラックとイエローが到着するのにもう少し時間がかかるでしょう…それまで待機します」

「「え?」」

 突然の言葉にレッドとブルーは混乱する。

「で…でもこのすぐ先に怪人が居るんですよね?」

「たしか、今も破壊活動をしてるって…」

「ええ、出来るならばすぐにでも戦いたいところです。しかし、それは許可できません」

 冷静な様子。

 顔色一つ変えずに言われた天地のその言葉に、レッドとブルーはそれに反論した。

「一刻を争うんだろ!?怪人は破壊活動をしてるって…」

「私達だけでも早く戦わないと…」


 前回の怪人のように、今回の怪人もただ作業をしているだけならばこんなに焦りはしなかっただろう。

 しかし今回の怪人はこの先で高速道路の破壊活動をしている。

 高速度道路を壊す程度ならば良い。だが、何時その破壊の対象が道路から人間に向かうかもわからないのだ。

 そんな状況でただ待つということが二人には耐えられなかった。

 だが。


「では聞きます、貴方達はあの怪人に絶対に勝てますか?」

 ピシャリと天地が言った。

 そしてその言葉に。


「「…」」

 レッドもブルーも答えることが出来なかった。


 勝てるのか?

 解らない。

 いや、むしろ勝てる可能性は決して高くは無い。


 前回のあの怪人の強さからするに。今回の怪人も相当に強いだろう。もしかしたら前回の怪人よりもよっぽど強い可能性だって有る。

 それに対して自分たちの強さはどうだ?


 確かに、あれから二人は戦闘訓練をがむしゃらにした。過去の怪人のデータも調べ、弱点や戦い方の傾向も覚えた。

 しかし勝てると断言出来る程、二人には実力が上がったという実感が無い。


「私は司令として、勝率をできるだけ上げなくてはいけません。確かに迅速さは大切ですが、それで負けては本末転倒。此処はブラックとイエローの到着を待つべきです」

 それは実に当然の命令だったのだろう。


 勝てるかどうかわからない相手。

 であれば出来るだけ万全の戦力で当たるべきだ。



 しかし。


 しかし。


「いや、俺は今行きます」

「レッド…」

 レッドはそう言い切った。


「勝機は有るんですか?」

「ありません!」


 レッドは大声でそう言い放った。

「レッド!?」

 ブルーは驚きの声を出したが、天地は無言で唯レッドの方を見続けていた。

 勝機は無いと言い放つレッドだが、その目は勝負を捨てたそれで無いことが天地には解った。


「…」

「勝機は…無いです。でも、でもコレは別に無謀な特攻とかそういうんじゃ無いっす」


「なるほど…ではどういう意味ですか?」

「司令。モニタリングはしてるんですよね」

「ええ、高速の監視カメラは全て我々の監視下にありますし、その車の前方や貴方達のスーツのに付いている小型カメラも使っています」

「なら、俺達の戦いの記録は皆見てるし記録もされてる。もし、俺達が無様に負けても、その記録は残るってことですよね」

「ええそうですね」

「なら、その戦いで開いての怪人の強さとか、スタイルとかそういうことは判るようになると思うんです。例え俺が負けても、次の戦いに勝機が見えるようになるかもしれません」

「…」

「…」

「それって、たぶん全員で一度に戦うより、勝率が高いと思います」


 その視線には決意が宿っていた。


 レッドの心に焦りが無いと言えば嘘になるだろう。前回の怪人との戦いで手も足も出なかったことに焦りを感じていたのは確かだ。

 何処かヒロイックな自己犠牲に酔っている部分も有るかもしれない。


 しかし。

 彼のそれらの感情の根本は、紛れもなくヒーローの持つべき正義の心から来るものだった。

 そして天地はそれを感じ取った。

 嘗て憧れたヒーロー達が宿していた正義の炎。

 その火種が、今レッドの中に灯りつつある。


 だから天地もただ黙って頷いた。


 天地の頷きを肯定と受け取ったレッドは一直線に走りだす。 

 ブルーも釣られるようにその後を追う。


 本来ならば天地はそれを止めるべきなのかもしれない。いや、司令という立場で有るならば絶対に止めるべきなのだ。

 しかし天地は止めなかった。


 止められなかった。


 ただ走りだすレッドの後ろ姿と、その後ろを走るブルー。


 天地はただ彼らの無事だけを祈った。


 


◆◇◆◇◆◇◆◇



 意外なことに、怪人は佇んでいた。

 その周りの道路はクレーターのように壊れていたが、今現在、怪人は暴れるでも無く、何かを壊すでも無く、只々、そこに立っていた。


 そして怪人はレッドとブルーの姿を確認すると。

「遅かったなフォルノンジャー」

 そう言った。


 身構えるレッドとブルー。

 その動きに怪人は笑い声を上げた。


「ははは、まあそう慌てるな。見れば君らは二人しか居ないじゃないか、他のメンバーはどうしたね?」

「お前程度、俺達二人で十分だ!」

 レッドのその言葉に、怪人は何かを思案するような仕草を見せた。


「ふむう、十分…ではないなあ。君らは前回の戦いでキメラニアは負けはしたが戦闘力で君らを凌駕していたと聞く。であれば決して十分ではない…その自覚が無いほど馬鹿では無いはず…なのに今こうして私の目の前には二人だけしか居ない。コレは一体どういうことかな…。伏兵…はあり得ないな。仮にも正義の味方だ。では普通に考えたら他の二人にトラブルがあって来れない、あるいは遅れているといった所か?しかし前回の戦いでの負傷者はフォルノンジャーには居ないし、遅れているにしても他の二人を待ってから戦ったほうが勝率が高いはず…」

 レッドとブルーという敵である二人を目の前にしても怪人は冷静な態度で思案をしている。


 その様子に2人は戸惑う。

 目の前の怪人は如何にも静かだ。


 破壊活動をしていると言う報告から好戦的な怪人を想像していたが、見る限りでは破壊活動は高速道路を少し破壊した程度。

 特にそれ以上何かを壊すという風でもなく、現れたレッドとブルーに対しても攻撃をしてくる様子が無い。 

 むしろ好戦的ですぐにでも戦闘に入ってくれれば楽だった。しかしこうして目の前で思案されては戦いにくい。

 正義の戦士として、まさか考えている相手に不意打ちをするわけにもいかず、2人ただ怪人の前で構えることしか出来なかった。


 そこで怪人が大声を上げた。

「なるほど。そういうことか!」

「何がそういうことなんだ!」

「つまり君らは斥候かな?勝率を上げるためにまず2人で戦い、私の弱点でも探ろうという心算だろ?」

「「!!!」」

 その言葉にレッドとブルーは驚愕した。


「なんだ、図星か。如何にも君たち仲間思いのヒーローが考えそうな事だ。命を掛けてまで弱点探しなんて」

「無駄とはなんだ!前の怪人はその弱点で死んだぞ!」

「いやいや、悪い悪い。勘違いさせてしまったな。いや、弱点なんぞ探しても無駄と言うのは、弱点を攻める意味が無いという事じゃないんだ。態々探す必要がないという事さ。なにせ私は別に弱点を隠していないからね」

「隠していないだと!?」

「どういう意味です!?」


 怪人は自分の体を指さし。


 そしてこう言った。

「私の弱点は防御力だよ。ハッキリ言おう。私の防御力は普通の人間と然程変わらない。君たちの攻撃で簡単にやられてしまうだろうな」


「「!?」」


「嘘では無いよ。事実だ」

 怪人の言葉は堂々たるものだった。

 勿論この弱点は敵の欺瞞である可能性がある。いや、むしろその可能性のほうが高い。

 しかし、その怪人の口ぶりは、如何にも真実で有るように二人には思えた。


「何故だ!何故自ら弱点を口にした!」

「私達を欺こうとしても…」

「…欺く必要は無いとも。理由は簡単だ。弱点を言ったところで、何ら問題は無いからだ」

「「何!?」」

「私の攻撃力はキメラニアと同等、そして素早さは20倍、一度動き出したら誰にも捉えられることはない。例え防御力が弱くても攻撃が当たらなければどうという事は無いのだよ」

 その言葉には確固たる自信に満ちていた。

 例え弱点を知られても、その弱点を絶対につかれないという確固たる自信だ。


「さて、これで君らは私の弱点を調べる必要は無くなったわけだ」

「ぐ…」

「…」

 二人は焦った。

 

 もはや戦力の温存に意味は無い。

 弱点をつけないと解った今、二人で戦う事に意味は無く、単に戦力の低下に他ならない。

 この状態で戦うのはタダの悪手であった。


 しかし、怪人の口から以外な言葉が出た。

「では、待とうじゃないか、お前たちが全員揃うのを」

「…」

「…?」


 怪人の出した予想外の言葉に、レッドとブルーは顔を見合わせた。

 まるでレッドとブルーの先程の覚悟を否定するかのように、全員を待つと言う怪人。

 怪人に取っては各個撃破の方が楽だろうから、この怪人の発案は怪人に取って不利でしか無い。

 なのになぜこんな事を言ったのか?

 

 レッドとブルーは理解が出来ず戸惑い、その戸惑いを見て怪人は愉快そうに言った。


「意外か?私がこうしてお前たちが揃うのを待っていることが」

「…」

「…余裕ですか?」

 忌々しげにブルーがそう言ったが、その言葉に対して怪人は首を横に振った。


「余裕。まあそうだな、その感情が無いわけではないが。余裕なのとは少し違うな。実際の所、コレは私の…いや、我々の主義のようなものだ」

「主義だと?」

「そうとも。私達の敵は、君ではない、君たち二人でもない。フォルノンジャー個人になぞ興味が無い。我々が戦いたいのは、フォルノンジャーそのものだ。いわば正義そのものと戦いたいのだよ。なにせ私はこの時を18年も待っていたのだから」


「「18年?」」

 18年。それは嘗て旧フォルノンジャーと旧ゲルニッカーズが戦っていた時代。


「18年、つまりお前は18年前に一度壊滅したゲルニッカーズの生き残り…」

 レッドのその言葉に


「いや…まあ、そうとも言えるが、微妙に違うな。そうだな、全員揃う前の暇つぶしに一応自己紹介でもしておこうか。私は再生怪人、復活ドレキセイだ」

「再生怪人!?」

「復活!?」

 ドレキセイの名乗りにあった言葉にレッドとブルーは反応した。


「そう、読んで字のごとし、私は再生された怪人なのだ。本当の私は18年前に既に死んでいて、今の私はそのクローンなのだよ」

「何だって?」

「生き返る…」


 再生という言葉は二人に衝撃を与えた。


 生き返る。


 それは二人にとって絶望的な言葉に思えた。

 なぜなら生き返ることが出来るならば例え倒しても無駄である。

 ゲルニッカーズは倒された怪人たちを次々に復活させることが出来るのだから。

 そうなればゲルニッカーズは永遠に負ける事は無い。


「つまり、貴様は昔フォルノンジャーに倒された怪人とい言うわけか!?」

 衝撃を感じつつも搾り出すように出したレッドのその言葉に。


「!!!違う!巫山戯たことをヌカスな!!俺達怪人は!命をかけて奴らと戦った!あいつらの敗北は誇りあるものだ!それを汚すような事を言うな!!!!」

 先程までの紳士的とも言える態度から一転して、ドレキセイは大きな声を上げた。

 その突然の態度の変化にレッドとブルーは驚き戸惑った。


「過去に戦った怪人達は命を掛けて戦った。その身の全てを掛けて戦った。彼らの戦いは何よりも尊いものだった。その彼らを復活させて戦わせると言うのならば、彼らの戦いは何だったんだ?彼らの掛けた命はやり直しが効くような安っぽいものじゃないんだ!!」

 

 驚いた。

 悪の組織ゲルニッカーズ。

 その怪人たちがこのように戦いに誇りを持っているという事実に、レッドとブルーは驚いた。

 

「私が此処に居るのは、志半ばで命を散らしてしまった私に対するゲルニック様のご好意である!!嘗ての私はフォルノンジャーと戦うこと無く死んでしまった。そう、だからこそ復活したのだ!!」


 そして合点がいった。


 目の前の怪人が、破壊活動然程していない理由。

 そして弱点を堂々と明かす理由。

 いまこうしてフォルノンジャーが揃うのを待つ理由。



 つまり、目の前の怪人の目的は戦いなのだ。

 18年前したくても出来なかった戦いを今したいのだ。


 破壊活動をしたのはフォルノンジャーを呼び出すため。だから申し訳程度にだけ破壊活動しかしていない。

 弱点を明かしたのはレッドとブルーが二人だけで戦う理由を潰すためだ。コイツは4人揃ったリゾフォルノンジャーと戦いたがっている。

 そして。

 4人と戦いたがるその理由。


「負けた怪人を復活させてお前たちを倒して、その何処に誇りが有る?破れていった同胞にどうして報いる事が出来る!?我々はなりふり構わずただ相手を、お前たちを倒しいのではない!打倒したいのではない!潰したいのではない!私達は『勝利』したいのだ!悪が正義を正面から潰す!その図式こそが我々の望みなのだ!」



 レッドとブルーは2つのことに気がついた。


 一つは目の前の怪人とは絶対に相容れないと言う事。

 ゲルニッカーズは完全なる悪で自分たちと敵対し、そしてそれを目的としている。

 


 そして、もう一つは同時に目の前の怪人の目には決意が宿っているということ。


 こいつらは愉快犯的に悪をなしているのではない。確固たる決意をもったうえでの悪なのだ。

 その信念は、ある意味ではどこかフォルノンジャーのそれに通じるところがあると2人は思った。




「そう!悪には悪のブベラアアアア!!!!!!!!!」

 その時。


 突如として現れた軽トラックによって再生怪人は吹き飛んだ。


 その光景はまるでスローモーションの如くレッドとブルーの目に映る。


 飛ぶ怪人。


 飛ぶ軽トラ 


 助手席で泣き叫ぶイエロー。


 叫ぶブラック。


  




 呆気にとられ、混乱する頭の中で、レッドとブルーは状況を理解できなかった。

 

 ただ。



  ものすごく釈然としない何かを感じた。




◆◆◆


次回予告


 見事怪人を倒したブラックとイエロー。しかし、その代償は大きかった。

 そんな折、ゲルニッカーズからあるものが届く。

 それはフォルノンジャーが驚愕する物だった。


 次回!ヴァルマ戦隊 リゾフォルノンジャー!

     『復活のオッサン!』

           お楽しみに!


◆◆◆◆用語解説


・ヴァルマ重合金

 レニウム、炭素、オスミウム、ウンペントオクチウム、フォルタクトチウム、等からなる合金。それぞれの原子が共有結合においてフラーレン形状に近いものとなることでヤング率1500以上の恐ろしい迄の硬さを誇る。


・フォルノ軽合金

 チタン、マグネシウム、亜鉛、マンガン、金、モリブデン等の金属を独自の製法でじっくりコトコト混ぜ合わせる事で7000MPAを超える抗折力を実現しました。


・核シェルター

 オブイェークト279を超える強度を持っているので有る意味では核シェルター並と言えるかもしれない。

 だが実際に核爆発に巻き込まれたとして、装甲の強度的にはある程度耐えられるかもしれないが、熱は伝わるし、車体の形状は衝撃を受け流すようにはできていなく、おそらく車自体は吹っ飛ぶので、衝撃と熱で中の人間は死ぬと思う。

 ちなみにガラス部分は超硬硬窒化ホウ素。


・普通のトラクター

 中古の小型トラクター『ハンマーナイフ付き』を適当にカスタムしたもの。


・ドレキセイ

 土瀝青、つまりアスファルトが名前の由来。

 嘗てフォルノンジャーと戦うこと無く死んでしまった怪人。

 そして今回も殆ど戦わずに死んでしまったある意味とても可哀想な怪人。


・再生怪人

 再生怪人、復活怪人は弱いというのはもはやお約束。

 ヒーロー物にはお馴染みの再生怪人だが、復活した怪人や怪物は何故か弱体化しており、場合によっては自我がなくなっているような者も多い。

 ゲルニッカーズには怪人を復活させる技術が有るようだがその使用はかなり限定的のようだ。

 

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