女王誕生編5
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【藍水院】《ヴィオリウム》
「………儀式用の宝石がごっそり無くなってるな………《ヴィオステラ》の方もか?」
離宮に帰ってきたユースティスが一番始めにしたのは儀式用の装飾品チェックだった。宝石の間に置いてある《ヴィオリウム》と《ヴィオステラ》の宝石は魔力が込められており、人間の使用は許されるものではない。今はユースティスの封印があるため、何もないが何が起こるかわからない。ユースティスは急いで【星夜院】《ヴィオステラ》に向かった。
【星夜院】《ヴィオステラ》
「………こっちもか………」
ユースティスが《ヴィオステラ》の宝石の間に入れば中はすっからかん。《ヴィオリウム》は子供の時に付けていた装飾品が保管されているため、隠していた儀式用の装飾品以外は残されていた。しかし、《ヴィオステラ》は大人用の装飾品が置いてある。それが全て無くなっていた。誰がやったのか一目瞭然だった。
「これは……」
「フレイアか」
《ヴィオステラ》の宝石の間に来たフレイアは中を見て目を見開いた。
「どうしたと言うのですか?」
「全部無くなってる。儀式用だけじゃなくて私の装飾品もな」
「それは……」
宝石の間にあった大人用の装飾品が全て無くなっていたのだ。ユースティスが大人になった時のために作って隠していた装飾品が。フレイアは瞬時に誰がやったのか理解した。
「愚王に愚妃……お似合いじゃないか。私を怒らせたんだ。覚悟するがいい…」
「…………」
そしてユースティスの怒りに触れた兄夫婦は自らの首を絞める結果となった。
《ヴィオリウム》に戻ったユースティスの前に女性の騎士が現れた。その女性はフレイアと瓜二つだった。
「フレイ!」
「お久し振りです。ユースティス様」
女性―フレイ―を見たユースティスは喜んだがそれと同時に呆れた。
「フレイも元気そうだな。と、言うより…本当に騎士になったんだな」
「はい。全ては神のお告げの通りに」
「君の場合、お告げと言うより本能ね」
フレイとフレイアは運命の双子。それぞれ使命をもっている。それがフレイで言う戦う力……騎士になることだった。騎士となったフレイはとても生き生きしていた。それを見たユースティスは何も言わなかった。
「まぁ、フレイがそれでいいなら良いけどさ。今日の夜勤はフレイが担当?」
「はい。他に四人ほど待機します」
「了解。後は任せるよ」
ユースティスは後をフレイに任せて私室に戻っていった。フレイとフレイアはその後ろ姿を見ているだけだった。
「……フレイア、ユースティス様はだいぶお怒りだな。どうした?」
「ユースティス様の宝石が全て盗まれたのです」
フレイはユースティスの機嫌の良し悪しを完全に把握していた。普通にしていてもフレイだけは欺けないのだ。フレイアはそんな双子の妹に苦笑しつつ、理由を話した。
「!?ユースティス様の私物をか!?」
「はい。犯人はわかっていますので後はタイミングだけです」
「……わかった……」
フレイアの話にフレイは怒りを露にした。しかし、フレイアに釘を刺されフレイは渋々頷くのだった。