隣国騒動編最終章
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一年後、セルジュはユースティスとの約束通り学校を卒業した。諦めずに頑張ったセルジュの努力の賜物だ。そして、旅立ちの日を迎えた。
「セルジュ、旅には色々な困難が立ちはだかる。それらは全てお前の糧となろう。恐れるな、立ち向かえ。それを乗り越えた時こそ、お前は成長する」
「はい!」
セルジュの旅立ちには家臣総出で送り出すことになった。セルジュはユースティスから賜る言葉を心に留めるように力強く頷く。
「お前はまだ子供。よって同行者をつける。ミシェル、マリク、ラフィーネ、《ヴィオレッタ》」
「「「はい」」」
呼ばれた四人は前に出る。ユースティスの手際の良さにセルジュは苦笑。こうなることがわかっていたようだ。
「この四人をお前の同行者とする。まだ子供のお前には出来ないことが多い。それを代行させつつ、セルジュ自身でそれを修得しろ。この者達をお前が成長する糧にしろ。それが王になるための修行でもある」
「はい!」
セルジュと同行者四人は王に対する正式な礼をとった。
「セルジュ、これが母からの最後の言葉になろう。心して聞くがよい」
「はい」
「気を付けて行ってきなさい。セルジュ」
「はい!!行って参ります!!」
セルジュはユースティスの言葉に頷き、旅立っていった。
セルジュ、八歳の事である。
「行ったな、ヴィオ」
「あぁ……ゴホォ、ゴホォ!」
「大丈夫か?」
「心配をかけさせるな。ユウ」
「気にするな」
《ユウラスティア》とユースティスが空から五人が城下を出たのを確認した。《ヴィオレッタ》はそれに気が付き、振り返るが見なかったことにして歩き出した。そして《ユウラスティア》が呟く。我が子のように可愛がったセルジュが旅立った。ユースティスとの別れが着々と近付いているのを知っているのは《ユウラスティア》だけ。シャーリーの呪いがユースティスを蝕み、体調を悪化させている。吐血するユースティスを労る《ユウラスティア》。セルジュがユースティスの言葉の意味を知るのは大分先の話となる。
セルジュの旅立ちまで滞在していたサリシェとハンニバルも自国へと戻っていった。藍も《ユウラスティア》により強制送還され、<ユクレシア>は平和を取り戻すのだった。
隣国騒動編 終了
隣国騒動終了です。
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次章 最終章 ユクレシアです。