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隣国騒動編7

*****



「ユースティス!!花火!!花火!!」

「慌てるな、藍。はぐれるだろう」

「だって……」

「こうすれば、はぐれずに済むだろ?」

「ユースティス……うん!!」


甘い雰囲気を醸し出すユースティスと藍。だが、忘れてはならない。二人が女だと言うことを。いくらユースティスの背が平均値より高くても、藍の背が平均値より低くても、女であるのは変わらない。街娘達は二人をうっとりとした目で見ていたが、あの二人は女である。


「花火が始まるまで時間はある。急がずに行こう」

「うん!!」


回りの視線に気が付いているユースティスが遊ぶ。無駄に色気を振り撒くユースティスに街娘達が騒ぐ。藍の手をとり、人混みの中に消えていく二人を見て街娘達はため息をついた。あんな彼氏が欲しいと。

そんなことを思われていると知らない藍はユースティスに食べ物をねだっていた。諏訪神に見せない程の甘えっぷりを発揮している。ユースティスだから甘えられると言うのもあるかもしれない。打ち上げ花火の穴場に藍をエスコートするユースティス。その場所から見える花火は一段と輝いていた。藍はそれを気に入り、また来たいと騒いだ。それに苦笑しつつ、泊まっている宿へと戻っていった。








ユースティス達が楽しんでいた頃、月と太陽の国<リリステラ>では藍がいないと騒がれていた。


「姫はまだ見つからぬのか」

「全土を探すのに時間が必要です。もう少しお待ちいただけませんか」


月と太陽の国<リリステラ>の主城、二条城の広間に集まるのは<リリステラ>の武将達。宰相である織田信長を始め、それぞれ主要なもの達が集まっていた。


「藍様は何処に行かれたのでしょう?」

「姫様だって遊びたいときはあると思うよ?」


藍に関しては一部心配症になるやつらに毛利元就は呆れぎみ。


「それにしては戻るのが遅すぎます!」

「あんな奴が居なくてもこの国はやっていける。わざわざ探す必要もないだろ」


心配する真田幸村。しかし、伊達政宗が突っ掛かる。


「政宗殿、我が国の天皇をその様に仰るのはいかがなものかと」

「実際にそうだろ。執務の殆どを任せて、やってるのは最後の印だけだろ」

「やめい!!見苦しいぞ」

「「…………」」


大々的に出来ないので少人数で動いていた。結果が思わしくないのは仕方ない。何故なら<リリステラ>にはいないからだ。それを知らない彼らは必死になりながら藍を探すのだった。







神々の聖域エリュシオンでは諏訪神が藍とユースティスの様子を見ていて憤怒していた。


「おのれ……!!《ヴィオリウムステラ》!!!」


怒り心頭な諏訪神に全員ドン引きである。皆は《ヴィオリウムステラ》に妬くなよ……と言うのが本音だったりする。この場にユースティスがいれば馬鹿らしいと一刀両断されたに違いない。我が身第一と考え、その場から消えていくのだった。








「なんですって?もう良いと言うのですか?」

「はい。皆様のお陰で改善点がわかりましたから」

「「「…………」」」


使者団が謁見を申込み、ラヴィーネ代わりに玉座に座り謁見が始まった。しかし、彼らの一言目は国へ帰ると言うことだった。それに全員が眉間にしわを寄せた。


「ふーん。俺はそう思わないけどな…」

「黙れ!!反逆者!!貴様らなど我が国を売ろうとした逆賊だ!!」

「………は?」

「……意味がわからないな」

「……クラヴィス、こいつらは俺達の加護が要らないらしい。我ら双子の神は《エリュシオン》に戻ろう。さすれば鳥翼種は死に絶えるだろう」

「そうだな」


クラヴィスやリュミエールも眉間にシワを寄せて言えば使者団が逆上した。それにリュミエールは怒りを露にして消えてしまった。クラヴィスも静かに怒り消えた。それに《ユウラスティア》はため息を吐いた。


「……ならば、早急に帰るが良い。ぐだぐだしていたら軍隊を派遣する。貴様らがしたことを俺達が知らないと思うなよ」

「「「!!!」」」


《ユウラスティア》の睨みに使者団は怯える表情をした。


「アガレス、使者団の方々がお帰りです。道中案内しなさい」

「はっ!!」


ラヴィーネはラクシェを呼び出して幾人かの騎士を呼び出し護衛させることにした。

国境を越えるまで騎士団に護衛されて帰路についた使者団。途中で寄り道をしようとしていたが騎士団が許さなかった。無事に国境まで送り返された使者団は自国の状況を知るのはだいぶ先となる。









「使者団が帰った?」

「あぁ。教わることはないって言ってな。ラヴィーネが騎士団に護衛させて帰したから何もないと思うが……」

「水面下の火種はなんとも言えないからな……」


ユースティスのところに《ユウラスティア》が報告に来た。それを聞いたユースティスが難しい顔をする。


「《エロズィオス》と《イェラノス》は怒って戻ったぞ」

「だろうな。あの二人、見かけによらず短気だからな…」

「これで<プチラーイ>は滅びるだろうな」

「あー………原種病を抑えてたの二人だからな…」

「あいつらが国に着いたときには全滅しているだろう」


クラヴィスとリュミエールが戻ってしまった以上、鳥翼種を蝕む原種病と呼ばれる種族特有の感染症が蔓延するだろう。それでまた一つ、種族が滅びる事となった。







「なんだ!?これは!?」


使者団が戻った国は腐敗した死体だらけ。腐臭が蔓延するそこはまさに地獄だった。ただこの原種病の恐ろしいところは死体の中で成長し生ける同朋を食い殺す事だった。


「!?ギャァァァァ!!!」


原種病は神々の戦争時代に撒かれた細菌兵器。作り出した神の呪いが今もなお残っている。



*****




神々の聖域エリュシオンに在する神々が全員して鳥神を見た。それに二人は拗ねていた。


「あんなやつらは必要ないよ!!」

「……私達を鳥神と知っての狼藉です。容赦をする意味はありません。死ぬのが運命だったのでしょう」


完全に他人事だった。それに神々は頭を抱えるのだった。




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