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隣国騒動編6

*****



使者団が来てからと言うもユースティスの心労は増すばかり。ラヴィーネやセルジュだけではなく藍達も心配していた。クラヴィスやリュミエールも使者団の勝手な行動に何度キレていたことやら。最終的にユースティスがぶちギレて大人しくなったがそれでも夜な夜な部署を荒らされていた。偽の情報を持っていっているとは知らずに。と言うか、各方面の官吏達の説明を断り独自で動いている奴等がいけないのだが。

一方、サリシェは相変わらず城下に繰り出しハンニバルもそれに付いていく。正直、ハンニバルがシャーリーについてどう思っているのかわからないが特に気にしている様子は無いようだ。形式的に来た可能性の方が高い。藍もユースティスやセルジュ達と出掛けたりして楽しんでいた。





「…………」

「ほらほら、ユースティス。落ち着いてくださいな。向こうはラヴィーネ様方がなんとかしてくださいますよ」


とある温泉街の一室でのやり取り。


「……だが……」

「あまり手を出しすぎては成長しませんよ?」

「…………」


ユースティスは藍に誘拐されて<ユクレシア>にある唯一の温泉街ハンナエルに来ていた。


「今日はそんなこと忘れてぱぁーと遊びましょう!」

「その為に(誘拐されて)来たんだからな……」


どうやらラヴィーネとセルジュも関わっているようで二人の心遣いを無下に出来ないユースティスは温泉に行くのだった。






「母上と姉上は楽しんでるかな?」

「安心するといい、セルジュ。アイテールはああ見えても子供の気遣いは無下に出来ない。セルジュが関わっている以上、楽しんでくるはずだ」

「……うん!」


セルジュの心配にサリシェは普通に答える。それに頷くセルジュ。


「……聞いていいか?サリシェ」

「何かね?《ユウラスティア》」

「なんでお前が執務室にいるんだよ!!!」

「僕がいたいからさ」


《ユウラスティア》の問いに普通に答えるサリシェ。それに青筋をたてる《ユウラスティア》がいた。執務室ではラヴィーネが執務をしていてセルジュが《ユウラスティア》から勉強を教えてもらっていた。そこにどこからともなく現れたサリシェ。神出鬼没である。


「………」

「!?ハンニバル!?」

「………シャーリーの件は報告したよ。王は喜んでいたけどね。シャーリーが殺されたなら戦争ものだったけど呪ったなら……話は別。シャーリーはアトレイド王家としての義務を果たした」


そして影の薄いハンニバルがちゃっかり寛いでいた。シャーリーの件を知るのはこの場では一人だけ。


「………それで?お前はいつまでここにいる気だ?」

「……ボクの気がすむまで」

「オイ!!」


ハンニバルの報告を流した《ユウラスティア》は茶をしばくハンニバルに突っ込みを入れた。


「あ、いたいた。ちー様」

「誰がちー様だ。やくすな」

「いたっ!!きょーぼー!!」


またもや勝手に入ってくるクラヴィスとリュミエール。好き勝手のし過ぎだ。リュミエールの馬鹿加減は昔から変わらず呆れていた。


「父上、馬鹿はほっといてください」

「そうだな」

「ぶーぶー!!」


クラヴィスと《ユウラスティア》はリュミエールをほっとく事にした。


「父上、お願いがあります。現段階で我が国に必要な事項をリスト化したのですが、確認願えますか?見学させていただいた物の中で使えそうなのと必要な物を揃えました」

「現状がわからないからなんとも言えないが……」


クラヴィスの言葉に苦笑する《ユウラスティア》。


「それはわかっています。現段階でのレベルで必要な物、で構いません」

「わかった」


経済面ではユースティスの方が詳しい。ユースティスに確認してもらうことにした《ユウラスティア》は資料を受け取るだけ受け取った。


「父様、この前の神会議なんですが、何か問題ありましたか?」

「特にはないな」

「了解です。ここなら未だしもあの場所から神々の聖域エリュシオンに行けないから心配だったんですよね〜」


リュミエールが思い出したように聞くと《ユウラスティア》が答えた。


「……?リュミエール達も神様なの?」

「そうだよ!私達二人は双子の鳥神で私が《フリージア・イェラノス》でこっちが《フェジリット・エロズィオス》なんだよ!!」


ハンニバルが首を傾げれば、サリシェがそっぽを向く。リュミエールとクラヴィスがユースティスを母、《ユウラスティア》を父と言っていたのはこれが理由だった。


「?鳥神は女性では?」

「……今は男ですよ。転生は時々により変わりますから」


ラヴィーネの突っ込みがクラヴィスの心を然り気無く抉りながらもちゃんと答えてあげるクラヴィス。


「も、ってことは他にもいるの?」

「……サリシェが神だよ。国の神……だっけ?」

「《ビビ》か……。お前、会議サボるなよ…」

「すっかり忘れていたのだ」

「まぁ、お前は昔からそうだったな」


セルジュの的確な突っ込みにサリシェの正体がバレた。サリシェの言い訳に《ユウラスティア》はため息をつくのだった。


「ねぇ、父。なんで神様は人に混じってるの?」

「「「…………」」」


セルジュの疑問に神は黙る。これは答えづらい質問だった。


「セルジュが生まれるよりもずっと昔に神様達が喧嘩したんだ。その時に色々あって人の中に生まれてることにしたんだ」

「喧嘩しちゃダメだよ?」

「大丈夫。今はそんなことないからな」

「仲良しなんだよね?」

「あぁ」

「母上が言ってたよ。喧嘩したら仲直りしなさいって」

「仲直りならしてるから平気だ」


セルジュの言葉に《ユウラスティア》以外の神は沈黙した。この結末を知るのは神しかいない。《ユウラスティア》は苦笑しながらセルジュを撫でた。そして《ユウラスティア》は子守唄を謳い、セルジュを眠らせた。


「……この結末を知るのは俺達だけで良い。ラヴィーネ、ハンニバル、今のは聞かなかった事にしろ」

「………わかりました」

「………」


《ユウラスティア》の圧力でラヴィーネとハンニバルはそれ以上聞かない。雰囲気がそれを物語っている。この話はここで終わり、《ユウラスティア》がセルジュを部屋に連れて帰ることにした。




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