隣国騒動編3
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ある時、朝議をしていると報せが入った。城門に鳥達の楽園<プチラーイ>の使者が来ていると。それを受けユースティスが入れるように指示を出す。そして、入ってきたのは背中に翼を携えた者達だった。
「遠路遥々良く来ましたね。歓迎いたします。鳥達の楽園<プチラーイ>の者達よ。私はこの国の王、ユースティス・ファルティス・ファラオです」
「私がラヴィーネです」
約50人の使者が来た。その人数の多さにユースティスと<ユウラスティア>は警戒を強めた。何をする気だ、と。
「お初にお目にかかります、陛下。私はクラヴィス・エロズィオスと申します」
「「エロズィオス?」」
「私はリュミエール・イェラノスと申します」
「「イェラノス?」」
先頭にいる二人が声を出す。その二人が今回の使者団の責任者であることがわかった。しかし、ユースティスと《ユウラスティア》は聞き覚えのある名前に反応する。記憶を探るが出てこない。悩んでる二人を余所にクラヴィスが話を続けると言葉を遮り叫んだ二人。それに笑みを浮かべるクラヴィスとリュミエールがいた。
「この度は」
「「お前ら双子か!!!」」
「流石、父上と母上ですね」
「母様と父様ならわかると思ってたよ!!」
「転生が重なるのは初めてか?」
「はい」
「そうか」
訳のわからない話を始める四人。まず、ユースティスと《ユウラスティア》が口を開いた時点で<ユクレシア>の家臣達はそれを神話と名付け口を挟まない事にした。聞いたところでわからないことだらけだから。使者団は全員、首を傾げるだけ。
「じゃなくてだな。あの書状やそれはなんとかならなかったのか?」
「言ったんですが……聞く耳は持ってませんよ。現王達は自分達は偉いと思っていますから」
「あー……」
書状についてユースティスが文句を言うとクラヴィスは苦笑した。そしてユースティスは<プチラーイ>の王達を思い出した。
「俺達も反対したんだよ?それは駄目だって。でも、大国の奴等は織物さえ渡せば自分達の下につくって考えてるみたい」
「……お前らのそれって死体から剥ぎ取った羽根使ってるんだよな……私、勘弁」
「私も勘弁願いたいです」
「俺も。なんでこんなんが出来たのか理解できない」
全員して<プチラーイ>の織物を批判。自国の王子達にも批判され、使者団はショックを受けていた。それよりも他国の王が作り方を知っているのに驚いた。門外不出の製造法なのに。
「お待ちください!!」
「「「ん?」」」
「何故、他国の王である貴女様が織物の製造法方を知っているのですか!?」
「あー……それ……」
「聞かれたくないよな……」
「あぁ……」
使者団から指摘が入る。それに遠い目をするユースティスと《ユウラスティア》。
「我が国に疚しいことがおありなのですか?」
「無礼者!!ここは<ユクレシア>であるぞ!!口を慎め!!」
「良い、ラクシェ。言わぬ私が奴等を付け入らせているだけだ」
「しかし、陛下!」
「うるさい。私が良いと言っているのだ。口を慎まぬか」
「…………」
卑しい顔をする使者団の面々にラクシェが反発するがユースティスに叱られて黙るしかなかった。
「お前達が一時壊滅した時期があっただろ?」
「確か……約二千年前ですね」
「それ、私が原因なの。あの時、色々あってこの星を滅ぼそうとしてたからね。その時に生き残った奴等が独自の文化を築いた。その一つが鳥翼種の生きとし生けるものは無駄にしない、と言う精神だ。それが、死者すらも食べる……なんて事に繋がるとは思わなかったけどね」
「「「!!!???」」」
ユースティスが説明を始めると歴史を思い出す家臣や使者団。そして、ユースティスのカミングアウトに全員が驚いた。色々な意味を含めて驚いた。
「ちょっ!?母上、星滅ぼししようとしたの!?」
「死者食べるとか……う゛……」
「ほら、食料無かったからね。大陸の半分を海に沈めたし」
「ユースティス様……」
「いや、だってさ……あの時色々あって荒れてたんだよ……」
「………確かに色々あったな」
ユースティスの言葉にクラヴィスのキャラが壊れ、リュミエールは顔を真っ青にし、家臣や使者団がうぇ…と言う顔をしていた。ルイーズが呆れたように言うけどユースティスにとってあの出来事は忌まわしき過去。
「思い出すだけでも皆殺しにしたいくらいむかつくから話題に出したくなかったんだよね。てゆうか、本当にむかつく!!」
「落ち着け、ヴィオ。奴等は死んだ。お前が魂まで粉々にしたから転生もしない。だから、本当に落ち着け」
「奴等の子孫が生きているだけでもムカつくのに!!!」
思い出すだけで怒りがふつふつと沸き上がってくる。ユースティスは玉座の肘掛けを思いっきり叩く。それで肘掛けは半壊した。ユースティスはすぐに直したがそれをみて使者団は驚いた。《ユウラスティア》がユースティスを宥めるが意味が無かった。
「……どんだけ嫌いなの?母様」
「え?全人類を滅ぼして一から作り直したいくらいに」
「「「……………」」」
暴れるユースティスにリュミエールが聞けば普通に恐ろしいことを行った。それに全員が恐怖した。
「ヴィオならやりかねない…と言うよりやったしな、お前。諏訪神を半殺しにしてぶんどってたよな」
「あー……あいつら今でも生きてるのかな……」
「「「……………」」」
《ユウラスティア》が顔をひきつらせながら過去を思い出した。それにユースティスも遠い目をした。ユースティスのやることはハチャメチャである。もう恐怖しかない。
「この前行ったけど廃墟だったよ」
「生命反応はありませんでしたね」
「んー……あいつらさ、地下に永久機関作ってるんだよね……」
「「……永久機関……」」
ユースティスと《ユウラスティア》の言葉の意味を知るクラヴィスとリュミエールが言うとユースティスは遠い目をした。その内容にリュミエールとクラヴィスも遠い目をした。
「ですが、あれは……」
「まぁ、言うな。あれは私より恐ろしい」
「「…………」」
クラヴィスの言葉を遮りユースティスが止めた。それに《ユウラスティア》とリュミエールも沈黙した。もう完全にユースティスと《ユウラスティア》とクラヴィスとリュミエールの世界である。
「……父上、いかがいたしますか?」
「……終わるまで待ちましょうか。私では決められません」
「……そうですね」
親子の会話に全員が納得するしかなかった。どう割って入っても無理な気がする。その雰囲気は感じ取っていたのだった。
一時間以上放置された家臣や使者団は飽きてきていた。そこに乱入者が来た。
「ユースティス!!!」
「どわぁ!?」
乱入者は玉座に座るユースティス目掛けて飛び込んだ。それをもろに食らったユースティスは半分死にかけた。
「《アイヴェリア》、ヴィオが死にかけてる」
「え?失礼しました。ユースティス、大丈夫?」
「………」
乱入者は月と太陽の国<リリステラ>の現天皇、諏訪神藍。諏訪神の奥方にして太陽神でもある。
「……自分でしときながらそう聞くって……《アイヴェリア》様は相変わらずなんですね」
「あ!エロズィオスとイェラノス!?久しぶりね!!」
「久しぶり!!アイお姉様!!お元気でしたか?」
「私は元気よ。二人に会ったのって確か子供の時よね?」
「はい。母上に命を救われてからあまり時間がたっていない時でした」
ユースティスはお腹を押さえて蹲っており、それを普通に聞く藍にクラヴィスはため息。リュミエールは藍とキャッキャッしている。
「あー…うん。わかったから、《アイヴェリア》。なんのためにきた?」
「ユースティス、当分の間やっかいになりますね」
「………家出か。そうか……《ユウラスティア》、諏訪神をどうにかしてこい」
復活したユースティスは藍に聞くと藍は綺麗な笑みを向けて言い放った。それにユースティスは頭を抱えた。
「……なんで俺が……」
「世界崩壊と押さえ付けるの、どっちが良い?」
「いって参ります」
「……そんな極端な……」
「今の私なら諏訪神を殺しかねない」
「「……………」」
《ユウラスティア》はユースティスの言葉に不満を漏らしたが、すぐに行動した。リュミエールが苦笑するが案外間違いではない。一同それに黙るのだった。しかし、世界崩壊には二重の意味が込められているのに気が付くものはいなかった。
そこにさらに乱入者が登場。それにはユースティスも手を上げた。
「遊びに来たぞ!!殺戮王よ!!」
「てんめぇ、こんな忙しいときに……!!!」
「!!!!!!」
乱入者はユースティスが放った魔法をかわしつつ、その人物に驚いた。何故ならそれが自分の知る人物だから。
「アイテール!?」
「んだよ、うるせぇな。サリシェ」
「いつの間に王にまで上り詰めたんだい!?」
「元々王族だし」
「もしかして…行方不明になってた王女だったんかい?」
「大正解」
乱入者―サリシェ―はユースティスを見てある考えが頭をよぎった。そして、それが正解であるとユースティスがお怒り状態で言った。
「ユースティス様、そちらの方は?」
「サリシェ・アドリアナ・アカムエラ。火と鉱石の国<アカムエラ>の放蕩王子。序でにサリシェの後ろで隠れてるのが豪遊の国<アトレイド>の第三王子、ハンニバル・アトレイド」
「「「!!!!」」」
<アトレイド>と聞いて家臣が驚いた。それはもう目が飛び出るのではないかと思うほどに。そして名前を呼ばれた本人も驚いていた。
「!!!」
「いや、バレてないとか思うなよ……」
「……シャーリーの墓参りに来た」
「………後で案内してやる」
ユースティスはハンニバルの言葉に沈黙してから了承した。
「僕は殺戮王が見たかっただけだよ」
「貴様はさっさと帰れ!!」
サリシェの言葉にぶちギレた。次々と現れる乱入者にユースティスは頭を痛めながらも受け入れるのだった。
「<プチラーイ>から来た皆さんを賓客棟に案内しろ。藍は……私の宮を使え。サリシェとハンニバルも賓客棟だ」
「俺達は?」
「お前らも賓客棟だよ」
「「はーい」」
「それとお前達全員に監視をつけさせてもらう。無闇に動き回るなよ。では、本日の謁見は終了とする」
精神的に疲れたユースティスは謁見を切り上げた。それぞれ指示されたように賓客を誘導する。しかし、一部は言うことを聞かなかった。
「僕は城下に行くよ」
「ちょっ!?」
「あー…ほっとけ。夜には戻るだろ」
サリシェの行動にはユースティスも呆れている。これはどうしようもできないので放置することにした。
ユースティスはハンニバルを連れて王家の墓に赴いた。巨大な霊廟。その中は常に霊が行き交っている。自らの業を押し付ける為に。その一番最下層の最奥にシューナッツとシャーリーの遺体が安置してある。それらは腐臭を放ち、存在する。ユースティスはそれを浄化し、最奥に続く道を歩く。その後を《ユウラスティア》とハンニバルが続く。最奥に並べられた二つの棺桶。その内の王妃の棺を開く。中にはシャーリーが愛用していた品と灰の入った特製のガラス陶器が入っていた。それを見てハンニバルは何があったのか理解した。
「………アイテール、シャーリーは誰を呪ったの?」
「さぁな。私にはわからない」
「…………そう……」
惚けるユースティス。ハンニバルは灰の入った陶器を撫でるだけ。
「………ありがとう……もう良いよ……」
「長居は無用だ。行くぞ」
気がすんだのかハンニバルは棺を閉めた。それを見てユースティスが踵をかえす。それに付いて地上に戻っていった。




