女王結婚編最終章
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翌日の朝議にユースティスが現れると家臣達は緊張していた。ユースティスが玉座に座って口を開く。
「昨日はすまなかったな。では、朝議を始める」
どうやらユースティスにはバレていないようなのでホッとする家臣達。新部署の奴等は自分の部署で作業をし、夕方に会議を開く方針をとった模様。新人が中心なので講習会の名目で会議室を借りられる。それにユースティスが気が付くかどうかだが。
それぞれの部署が報告をしていき、全てが終わると《ユウラスティア》が口を開いた。
「最後に俺から……ヴィオ……いや、ユースティス・ファルティス・ファラオ。お前にラヴィーネ・ファルファーシュ・ウルカムルと結婚することを命じる」
「「「!?」」」
《ユウラスティア》の強行に全員唖然とする。ユースティスも驚いている。
「《ユウラスティア》!?」
「これは神の盟約に従い、お前が死ぬまで有効とする。そして……決裁の権限以外の権限をラヴィーネに譲位しろ。実際に動くのはラヴィーネでお前は指示だけを出せ。もし、破れば……お前を幽閉する」
「!?」
いつの間にか作られた盟約の書。これはユースティスの血がなくてはならない。いつ採血した!!と思いつつ、ユースティスは反論しようと口を開くが《ユウラスティア》に先手を打たれた。やつの目は本気だった。
「ッ!!……しかし、これは我が国の問題。お前が」
「諏訪神から許可は貰っている。お前の神としての権限を俺が持つ。お前はただ守護していれば良い」
「ッ!!」
先手先手を打つ《ユウラスティア》にユースティスは何も言えなくなる。《ユウラスティア》はユースティスから何もかもを取り上げる気でいた。今のユースティスは《ユウラスティア》から見て壊れかけの人形。ボロボロで動くのがやっとな状況なのだ。だから、あのような奇行に走った。それを感じ取った《ユウラスティア》はユースティスを休ませようとしているのだ。
「……………わかった」
「ユースティス様!?」
「神の盟約は絶対だ。私とて覆せない」
頷くユースティスに家臣は驚いた。いくら滅びた国の王子だからと言って国政を任せるのは乗っ取られる気がしていたのだ。
「しかし、我が国は!!」
「私の執務をラヴィーネに任せるだけで最終的な判子は私が押す。それで良いだろ」
「あぁ」
「どうせ私はセルジュが大きくなるまでの中継ぎ。こうなることはわかっていたさ」
最終的な判子はユースティスが押すと解れば渋々理解を示す家臣達。これによりユースティスの結婚が決まり、式は一年後に行われることになった。
その間にユースティスからラヴィーネへの執務移行が行われ、ユースティスは毎日のように王宮を抜け出したのだった。
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一年後、ユースティスとラヴィーネの結婚式が行われた。全国民が二人の結婚を祝福した。首都にはたくさんの人が集まり、賑わった。
この一年で色々な事が発展した。老臣が勝手に作った産業部は正式な部署とされ、新人だった者達を中心に色々な開発を進めた。そのお陰で大きな発展を遂げ、豊かになった。その功績を称えられ、調子に乗った奴はユースティスに潰されそうになっていたが平和な日々を送っていった。
セルジュ、六歳の頃だった。
女王結婚編 終了
女王結婚編終了です。
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次章 隣国編です。